独行法反対首都圏ネットワーク


一橋大学大学院社会学研究科教授会決議要旨

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独行法反対首都圏ネット事務局です。

一橋大社会学研究科「15原則」 の要旨の「投稿」が「首都圏ネットホームぺージ」にあり、アップしましたのでご紹介いたします。

<以下にも、コピーします>
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一橋大学大学院社会学研究科教授会決議要旨

国立大学の法人化の場合、充足されるべき15原則
2001.03.14.社会学研究科独法化問題WG


 現在文部省の調査検討会議では、大学の独立行政法人化を具体化すべく「中間報告」の作成が進んでいる。こうした大学法人化のあり方の基本骨格に関する検討が進む中、東京大学もかかる法人化に際して貫かれるべき原則を5条件という形で提起している。こうした情勢を受けて、本学でも、独法化に関するワーキンググループが文部省の「検討の方向」に示された独法化を前提としてその具体的問題点を検討した第1次報告をまとめ公表したところであるが、それとは別に、「検討の方向」を離れて、あるべき国立大学の法人化の枠組みの原則を検討し提案することは、現在の段階では極めて有意義であり、かつ必要と考える。
 そこで、社会学研究科教授会は、3月14日の教授会において、別紙のように、国立大学を法人化する場合には採用さるべき原則を決議し、広く議論を呼びかけることとした。以下にあげるものはその決議を15項目の原則に要約したものである。これは国立大学が法人化される場合に、国立大学法人法というようなものに盛り込まれるべき項目という形でまとめたものである。
 こうした作業を広く全国の大学、学部が行い、国立大学法人化の際に最低限満たすべき条件についての広い合意をつくっていくことを訴える。


1 国立大学法人化の目的を明記する

 国立大学法人化法には、国立大学は、学問の自由と大学の自治のもと、従来の形態以上に自主的・自律的な意思決定の範囲を拡大することにより、教育研究の一層の発展に資する目的で法人化することを明記する。


2 国立大学法人の基本形態は一大学一法人

 国立大学法人は、上記の目的に資するため、各大学の自主的で多様な発展をより開花させられるよう、原則として一大学一法人となることを明記する。


3 国立大学運営における教学の優位

 大学の法人化の持つ目的の特殊性にかんがみ、大学法人においては、教学と経営は一体として運営されるものとするのみならず、経営は、あくまで教学上の目的の、より十全な達成の見地からのみなされるべきことを、法に明記する。


4 中期的な目標・計画は大学の理念・長期目標に基づいて

 国立大学の運営に際し中期的目標や計画を立てる場合には、あくまで各大学の建学の精神並びにこれまでの歴史と伝統に裏打ちされ民主的に合意を見た、長期にわたる目標に沿って立てられるべきである。そのため、各大学法人は、各々の長期目標を大学憲章など何らかの形で民主的に決定し公表することを、法において義務づける。


5 中期的目標や計画の期間はなるべく長い幅で、自主的に

 中期的な目標・計画の期間については、大学法人の特殊な性格にかんがみ、学生が2巡する8年を基準に、各大学ごとに柔軟に決定できるようにする旨、法で規定する。


6 中期的目標・計画の性格を明記

 大学の中期的な目標や計画は、通例の独立行政法人がもつとされる目標・計画とは根本的に異なることをふまえ、その目標・計画の持つ固有の性格を、たとえば「中期的な目標と計画は、大学の教育研究が非定量的性格を有し、経済的効率性に必ずしもなじまない点を考慮して立てられなければならない」という形で法に明記する。


7 中期的目標・計画の策定は大学自身で

 大学の目標・計画の性格から中期的な目標は、大学自身が決定し、主務大臣の承認を受けるとすること、また計画は、かかる目標に基づいて大学が自主的に決定し、主務大臣は、後に述べる独立の評価機関の意をふまえて意見を述べることができるにとどまるものとすることを法で明記する。
8 外部評価は独立第三者機関で
 大学法人の活動に対する国民のチェックは、必要なものである。したがって、大学は、何らかの形で公正な外部評価にさらされる必要がある。
 その場合、通則法の想定するように、評価委員会という主務大臣の設置する機関が評価を行うことは、大学の自主性にとって致命的な影響をもたらしかねないところから、大学の外部評価機関としては、独立の第三者機関を設け、その意思を文部科学省のもとに置かれる大学評価委員会は尊重するという形をとることが望ましい。


9 独立第三者機関が充足すべき3条件

 大学評価に携わる独立第三者機関は、国立大学協会の組織の改組が望ましいが、いずれにせよ、この機関は以下の諸点を充足することを法で明記する。
 (a)大学の評価に際しては、大学の自主評価を基礎にすべきこと。
 (b)新たな機関は現に教育研究に携わる大学人が過半数となる構成であること。
 (c)この機関は、大学評価についての基準を民主的に決定し、公表すること。


10 大学への財政配分と大学評価は峻別する

 大学財政は、大学の自主的・自律的運営を確保するかなめとなるものである。大学財政が大学の外部評価により、時々の政策に左右されることを防ぐため大学についての外部評価と大学運営経費の配分とは峻別することを法で明記すべきである。


11 大学への財政配分はできる限り客観的基準に基づいて
   大学の運営経費や施設整備費の配分については、各大学の学生数・教官数等に応じた、できる限り客観的・一義的基準による配分の部分の比重を高めることを規定する。


12 大学経費の傾斜配分は独立第三者機関による

 現状と中期的な計画に基づく傾斜的配分部分については、独立の大学財政委員会というような、独立の第三者機関の審査による順位付けにもとづいて配分がなされるべきであることを、法に明記する。
 大学財政委員会は、各大学に客観的一義的に支給する配分部分の基準並びに中期的な計画に基づく運営経費等の支給原則について、ガイドラインを作成し公表することを義務づけられる。またこのガイドラインは、定期的に見直しがされることが明記されるべきである。


13 削減の続く大学職員数が確保できるような財政配分を

 大学の運営経費の配分に際しては、大学の教育研究を支援するに不可欠でありながら現行制度のもとでは削減が続いている職員数が十分に確保されるよう保障することを、法で明記する。


14 大学の学長人事については従来の大学慣行にのっとって

  法人化した場合の大学の学長人事については、従来の大学の慣行にのっとり、教育研究責任を負う構成員の直接選挙により指名されたものを文部科学大臣が任命すると明記する。ただし上記原則の枠内で、各大学の長期目標や伝統にみあって、個性ある選出法を認めることを、法に明記する。副学長人事についても、大学の自主的決定権を認めることが求められる。


15 大学の管理運営に関する3条件

 法人化後の大学運営においては、従来以上に大学の民主的な総意を反映したものとするため、以下の3条件を法で明記する。
 (a)評議会・教授会は、大学の意思決定機関である旨を明記する。また、評議会の議をふまえた執行機関として、部局長会議を置くことを明記する。なお、文部科学省で検討されている運営会議は学長の補佐機関である旨明記する。
 (b)大学運営にあたっては、大学の教育研究の主体である学生・院生、また大学における教育研究を支援する事務職員等の意見を反映して行うべきことを、法で明記する。
 (c)大学運営諮問会議の役割は、大学を社会の側から見つめ、そのあり方に意見を述べる諮問機関にとどまることを明記する。


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