独行法反対首都圏ネットワーク


経産省官僚グループが試案としてまとめた「国立大学法人法(案)」
2001.4.12 独立行政法人反対首都圏ネット


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここで紹介する「国立大学法人(案)」は、経済産業省(元通産省)の官僚グループがまとめたもので、非常に重要な文書です。

<首都圏ネットに寄せられたコンメト>

済産業省官僚Gによる大学法人法案の特徴

                 
全体として、国家主義的な、"官僚主導の産業政策"のごとき発想。
しかし、文部科学省の官僚のそれと違って、コンセプトは明確。

基本的なコンセプトは、
 国家主導で大学法人をコントロールするというもの。
a そのトゥールは、管理運営組織と中期目標・計画−評価制度

管理運営組織:
 経営と教学を分離 −>経営は経営のエキスパートに、という発想
 学長… 学外者を含む「運営会議」が選考、文部科学大臣が任命。
 評議会… 廃止(明記されていないが)、「運営会議」に代わる。「運営会議」の構成は、学    外者が1/2または1/3以上。 … 経済界などとの連携が明示。
 教授会… 廃止しても良い(!!)

中期目標・計画−評価
 中期目標は、文部科学大臣が与える!…科学技術基本計画等の「国家政策との整合性」
 中期計画は、協議によって決定 (事実上自主的な決定はできないだろ)
 計画に基づく評価は、財政配分と連動 (の点はきわめて明確):評価のための委員会が財政配分も決めるということになっている。
その他の特徴
 教員は非公務員型、職員も教員と同じにする。つまり、どちらも非公務員型。
 財務会計制度は、企業会計原則を原則。投資家など外部への透明性のあるものに!(これは債券発行、借入などが可能となるため)


全般的感想
○  法律形式は問題でない。… この案は、通則法の特例法という形式をとっていない。独自の「大学法人法」で内容において通則法のスキームを使うというスタイル。… 東大研究会報告などには、この点での誤解がある。運動においても、法律形式(通則法特例か、大学法人法か)が問題ではない。法人法の形式をとっても内容はいくらでも悪くなりうるということ。… 運動の側でも注意が必要。
○   評価制度は、結局のところ、この通産案のように(財政配分との連動)なるだろう。また、中期計画も「協議」によるからといって、大学側の自主性が増すわけではない。この点でも、東大研究会報告は甘い認識。評価制度、中期目標などの枠組み自体を採用すべきではないだろう。これらは、佐々木毅氏が言うように、「複雑な課題」で「ただ大学のエネルギーを消耗させるだけ」(『論座』)だろう。
○  管理運営組織は、抜本的に変えられる可能性がある。国大協内にあるような、法律の規定はどうであれ、「運用」で現状を維持することは可能、というようなのんきなことを言っていられる状況にはないことをこの案は示している。
○  「大学憲章」にもこの案はふれている。しかし、大学がつくることはよいが、別にそれでどうなるものでもない、という扱い方。
○  通産案は、独法化のねらいを明確に示しているという点で重要。こんごさまざまな政治的妥協がなされるとしても、これが基本的な筋であること。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

国立大学法人法(案)=経産省の官僚グループが試案としてまとめたもの


基本原則
(目的等)
第一条 この法律は、各国立大学に法人格を与えることにより、自主性と自律性及び自己 責任を基本とした大学運営のもとで、各国立大学が開放的かつ競争的な環境の中でより一層の教育及び研究の活性化が実現されるよう、当該国立大学法人の運営の基本その他の制度の基本となる共通の事項を定めるとともに、各国立大学法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律(以下、「個別法」という。)と相まって、国立大学法人制度の確立を図り、もって我が国における有意な人材の育成と知識基盤の強化に資することを目的とする。
2 各国立大学法人の組織、運営及び管理については、個別法に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
(定義)
第二条 この法律において「国立大学法人」とは、国立学校設置法の規定に基づき文部省に設置されていた国立大学を基本として、我が国における学術研究及び専門的人材育成を行う中核的機関として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。
(業務の公共性、透明性、自主性)
第三条 国立大学法人は、その行う業務が公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであることにかんがみ、適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならない。
(名称・目的・事務所等)
第四条 各国立大学法人の名称は、個別法で定める。
(目的)
第五条 各国立大学法人の目的は、第二条の目的の範囲内で、個別法で定める。
(事務所)
第六条 各国立大学法人は、主たる事務所を個別法で定める地に置く。
2 各国立大学法人は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
 (財産的基礎)第七条 国立大学法人は、その業務を確実に実施するために必要な資本金その他の財産的基礎を有しなければならない。
2 政府は、その業務を確実に実施させるために必要があると認めるときは、個別法で定めるところにより、各国立大学法人に出資することができる。
(登記)第八条 国立大学法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)第九条 国立大学法人でない者は、その名称中に、国立大学法人という文字を用いてはならない。
(民法の準用)第十条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、国立大学法人について準用する。
評価
(国立大学法人審議会)第十一条 国立大学法人審議会は、国立大学法人に関する以下の事務を処理するものとする。 国立大学法人が行う高等教育及び学術研究上の業績に関する評価に関すること。 その他この法律又は個別法によりその権限に属させられた事項を処理すること。
2 国立大学法人審議会の運営に関し必要な事項は、政令で定める。
設立手続
(設立の手続)第十二条 各国立大学法人の設立に関する手続については、個別法に特別の定めがある場合を除くほか、この法律に定めるところによる。
 (学長及び監事となるベき者)
第十三条 文部科学大臣は、国立大学法人の長(以下、単に「学長」という。)となるべき者及び監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された学長又は監事となるべき者は、国立大学法人の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ学長又は監事に任命されたものとする。
(設立委員)第十四条 学長となるべき者は設立委員を指名して、国立大学法人の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、国立大学法人の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その旨を文部科学大臣に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された学長となるべき者に引き継がなければならない。
(設立の登記)第十五条 学長となるべき者は、前条第二項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第十六条 国立大学法人は、設立の登記をすることによって成立する。
役員及び役員人事
(役員)
第十七条 各国立大学法人に、個別法に定めるところにより、役員として、学長一人及び監事を置く。
2 各国立大学法人には、前項に規定する役員のほか、個別法で定めるところにより、他の役員を置くことができる。
3 各国立大学法人の役員の名称及び定数並びに監事の定数は、個別法で定める。
(役員の職務及び権限)第十八条  各国立大学法人の学長は、国立大学法人を代表し、その業務を総理する。
2 個別法で定める役員(学長を除く。)は、学長の定めるところにより、学長に事故があるときはその職務を代理し、学長が欠員のときはその職務を行う。
3 前条第二項の規定により置かれる役員の職務及び権限は、個別法で定める。
4 監事は、国立大学法人の業務を監査する。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、学長又は文部科学大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命)

第十九条 学長は、次に掲げる者のうちから運営会議が選考を行い、当該選考に基づき、文部科学大臣が任命する。
 一 大学に関する高度な知識及び経験を有する者
 二 前号に掲げる者のほか、当該国立大学法人が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者
2  監事は、文部科学大臣が任命する。
3  第十七条第一項の規定により置かれる役員は、第一項各号に掲げる者のうちから、学長が任命する。
4  学長は、前項の規定により役員を任命したときは、遅滞なく、文部科学大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。
(役員の任期)
第二十条 役員の任期は、個別法で定める。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格事項)
第二十一条  政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
(役員の解任)
第二十二条 文部科学大臣又は学長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。
2 文部科学大臣は、各国立大学法人の運営会議の議に基づき、学長が次の各号の一に該当するとき、その他学長たるに適しないと認めるときは、その学長を解任することができる。
 一 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。
 二 職務上の義務違反があるとき。
3 学長は、役員が前条各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
4 第二項に規定するもののほか、文部科学大臣は、各国立大学法人の運営会議の議に基づき、学長の職務の遂行が適当でないため当該国立大学法人の業務の実績が悪化した場合であって、その学長に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるときは、その役員を解任することができる。
5 第三項に規定するもののほか、学長は、役員の職務の遂行が適当でないため当該国立大学法人の業務が悪化した場合であって、その役員に引き続き当該業務を行わせることが適切でないと認めるときは、その役員を解任することができる。
6  学長は、第三項及び第五項の規定によりその任命に係る役員を解任したときは、遅滞なく、文部科学大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。
(代表権の制限)
第二十四条 国立大学法人と学長その他代表権を有する役員との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が当該国立大学法人を代表する。
(代理人の選任)
第二十三条 学長その他の代表権を有する役員は、当該国立大学法人の代表権を有しない役員又は職員のうちから、当該国立大学法人の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(運営会議)
第二十四条 国立大学法人に、運営会議を置く。
2 運営会議は、十名以上の議員をもって、組織する。
3 議員となる者は、次の各号に掲げる者とし、第四号に掲げる者の割合が全議員数の過半数(or三分の一)を超えるようにするものとする。
 一 学長
 二 役員
 三 国立大学法人の教職員のうちから、業務方法書の定めるところにより選任された者  四 国立大学法人の職員以外の者で、大学に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから、業務方法書の定めるところにより選任された者
3 運営会議は、学長が召集する。
4 運営会議に、議長を置く。
5 運営会議は、議員の定数の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決をすることができない。
6 運営会議の議事は、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
7 前項の場合において、議長は、議員として議決に加わることができない。
第二十五条 運営会議は、この法律及び個別法に定める事項を審議するほか、次に掲げる事項について学長の諮問に応じて審議し、及び学長に対して助言又は勧告を行う。
 一 国立大学法人の教育研究上の目的を達成するための基本的な方針に関する重要事項
  二 国立大学法人の教育研究活動等の状況について当該法人が行う評価に関する重要事項
  三 その他国立大学法人の運営に関する重要事項
第二十六条 運営会議は、国立大学法人の業務若しくは財産の状況又は役員の業務執
行の状況について、監事又は役員に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、あるいは監事又は役員から報告を徴することができる。
(職員の任命)
第二十七条 国立大学法人の職員は、学長が任命する。
法人の業務
(業務の範囲)
第二十八条 各国立大学法人の業務の範囲こついては、各法人の理念を踏まえ、個別法で定めるものとする。
(業務方法書)
第二十九条 国立大学法人は、業務開始の際、次に掲げる事項を定めた業務方法書を作成し、運営会議の議を経た上で文部科学大臣の認可を受けなけれげならない。また、これを変更しようとするときも、同様とする。
 一 法人の業務の目的
 二 法人の名称
 三 法人の内部組織
 四 事務所の所在地
 五 役員に関する規定
 六 運営会議及び運営会議議員に関する規定
 七 資産及び会計に関する規定
 八 業務方法書の変更に関する規定
 九 公告の方法
 十 その他文部科学省令に基づき規定すべき事項
2 文部科学大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、国立大学法人審議会の意見を聞かなければならない。
3 国立大学法人は、第一項の認可を受けたときは、遅滞なく、その業務方法書を公表しなければならない。
中長期目標
(中長期目標)
第三十条 文部科学大臣は、中長期的に国立大学法人が(共通して)行う教育及び研究並びに法人運営の改善についての目標(以下、「中長期目標」という。)を設定し、公表するものとする。これを変更したときも、同様とする。
2  中長期目標においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 中長期目標の期間
 二 中長期的に達成すべき高等教育上の目標
 三 中長期的に達成すべき学術研究上の目標
 四 国立大学法人が国民に対して提供するサービスに関する事項
 五 国立大学法人のマネジメントの改善に関する事項
 六 国立大学法人の財務内容の改善に関する事項
 七 その他国立大学法人の業務運営に関する事項
3 文部科学大臣は、中長期目標を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、国立大学法人審議会の意見を聞かなければならない。
中期計画
第三十一条 各国立大学法人は、中長期目標に沿って、当該国立大学法人が五年間に行う中期計画(以下、単に「中期計画」という。)を作成し、文部科学大臣に届出を行い、公表しなければならない。文部科学大臣は、当該中期計画の案について各国立大学と協議を行い、国立大学法人審議会の意見を聞いた上で当該計画案が中長期目標に照らして適切なものとなるよう必要な勧告を行うことができる。なお、これを変更しようとするときも、同様とする。
2 中期計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 大学において行う高等教育・学術研究に関する計画
 二 組繊、財務、人事等のマネジメントの改善に関する計画
 三 財務内容の改善に関する計画
 四 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画
 五 大学施設・設備の整備計画
 六 短期借入金の限度額
 七 重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画
 八 剰余金の使途
 九 その他文部科学省令で定める業務運営に関する事項
3 文部科学大臣は、第一項の勧告を行うときは、あらかじめ、国立大学法人審議会
の意見を聞かなければならない。
年度計画 (年度計画)
第三十二条 国立大学法人は、毎事業年度の開始前に、前条第一項の届出を行った中期計画に基づき、文部科学省令で定めるところにより、その事業年度の中期運営に関する計画(次項において「年度計画」という。)を定め、これを文部科学大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
2 国立大学法人の最初の事業年度の年度計画については、前項中「毎事業年度の開始前に、前条第一項の届出を行った」とあるのは、「その成立後最初の業務計画について前条第一項の届出を行った後遅滞なく、その」とする。
業績評価
(各事業年度に係る業務の実績に関する評価)
第三十三条 国立大学法人は、文部科学省令で定めるところにより、各事業年度における業務の実績について、国立大学法人審議会の評価を受けなければならない。
2 前項の評価は、当該事業年度における業務計画の実施状況の調査をし、及び分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該事業年度における業務の実績の全体について総合的な評定をして、行わなければならない。
3 国立大学法人審議会は、第一項の評価を行ったときは、遅滞なく、文部科学大臣及び当該国立大学法人に対して、その評価の結果を通知しなければならない。この場合において、国立大学法人審議会は、必要があると認めるときは、当該国立大学法人に対し、業務運営の改善その他の勧告をすることができる。
4 国立大学法人審議会は、前項の規定による通知を行ったときは、遅滞なく、その通知に係る事項(同項後段の規定による勧告をした場合にあっては、その通知に係る事項及びその勧告の内容)を公表しなければならない。
中期計画終了時の業績評価
(中期計画に係る事業報告書)
第三十四条 国立大学法人は、中期計画の期間の終了後三月以内に、文部科学省令で定めるところにより、業務計画に係る事業報告書を文部科学大臣に提出するとともに、これを公表しなければならない。
 (中期計画に係る業務の実績に関する評価)
第三十五条 国立大学法人は、文部科学省令で定めるところにより、中期計画の期間における業務の実績について、国立大学法人審議会の評価を受けなければならない。
2 前項の評価は、当該中期計画の期間における中長期目標及び中期計画の達成状況の調査をし、及び分析をし、並びにこにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該中期計画の期間における業務の実績の全体について総合的な評定をして、行わなければならない。
3 第三十二条第三項から第五項までの規定は第一項の評価について準用する。
(中期計画期間の終了時の検討)
第三十六条 文部科学大臣は、国立学法人の中期計画の期間の終了時において、当該国立大学法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を諦ずるものとするものとする。
2 文部科学大臣は、前項の規定による検討を行うに当たっては、国立大学法人審議会の意見を聴かなければならない。
財務・会計
(事業年度)
第三十七条 国立大学法人の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
2 国立大学法人の最初の事業年度は、前項の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、翌年の三月三十一日(一月一日から三月三十一日までの間に成立した国立大学法人にあっては、その年の三月三十一日)に終わるものとする。
(企業会計原則)
第三十八条 国立大学法人の会計は、文部科学省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする。
(財務諸表等)
第三十九条 国立大学法人は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他文部科学省令で定める審類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に文部科学大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 国立大学法人は、前項の規定により財務諸表を文部科学大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見(次条の規定により会計監査人の監査を受けなけれはならない国立大学法人にあっては、監事及び会計監査人の意見。以下同じ。)を付けなければならない。              
3 文部科学大臣は、第一項の規定により財務諸表を承認しようとするときは、あらかじめ、国立大学法人審議会の意見を聴かなければならない。
4 国立大学法人は、第一項の規定による文部科学大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに第二項の事業報告書、決算報告書及び監事の意見を記載した審面を、各事務所に備えて置き、文部科学省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
会計監査
(会計監査人の監査)
第四十条 国立大学法人(その資本の額その他の経営の規模が政令で定める基準に達しない国立大学法人を除く。)は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告審について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。
(会計監査人の選任)
第四十一条 会計監査人は、文部科学大臣が選任する。
(会計監査人の資格)
第四十二条 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号)第四条(第二項第二号を除く。)の規定は、第三十九条の会計監査人について準用する。この場合において、同法第四条第二項第一号中「第二条」とあるのは、「国立大学法人法第三十九条」と読み替えるものとする。
(会計監査人の任期)
第四十三条 会計監査人の任期は、その選任の日以後最初に終了する事業年度の財務諸表についての文部科学大臣の第三十八条第一項の承認の時までとする。
(会計監査人の解任)
第四十四条 文部科学大臣は、会計監査人が次の各号の一に該当するときは、その会計監査人を解任することができる。
 一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
 二 会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。
 三 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
損益の処理
(利益及び損失の処理)
第四十五条 国立大学法人は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。ただし、第三項の規定により同項の使途に充てる場合は、この限りでない。
2 国立大学法人は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
3 国立大学法人は、第一項に規定する残余があるときは、文部科学大臣の承認を受けて、その残余の額の全部又は一部を第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの。以下単に「中期計画」という。)の同条第二項第六号の剰余金の使途に充てることができる。
4 文部科学大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、国立大学法人審議会の意見を聴かなければならない。
5 第一項の規定による積立金の処分については、個別法で定める。
借入金
(借入金等)
第四十六条 国立大学法人は、中期計画の第三十条第二項第四号の短期借入金の限度額の範囲内で、短期借入金をすることができる。ただし、やむを得ない事由があるものとして文部科学大臣の認可を受けた場合は、当該限度額を超えて短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、文部科学大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
4 文部科学大臣は、第一項ただし書又は第二項ただし書の規定による認可をしようとする
 ときは、あらかじめ、国立大学法人審議会の意見を聴かなければならない。
5 国立大学法人は、個別法に別段の定めがある場合を除くほか、長期借入金及び債券発行をすることができない。
財源措置
(財源措置)
第四十七条 政府は、国立大学法人に対し、中長期目標の実現のため必要な財源を確保する責任を有する。
2 政府は、予算の範囲内において、国立大学法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付することができる。
(余裕金の運用)
第四十八条  国立大学法人は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
 一 国債、地方債、政府保証債(その元本の償還及び利息の支払いについて政府が保証する債券をいう。)その他文部科学大臣の指定する有価証券の取得
 二 銀行その他文部科学大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金
 三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
 (財産の処分等の制限)
第四十九条 国立大学法人は、文部科学省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、文部科学大臣の認可を受けなければならない。ただし、中期計画において第三十条第二項第五号の計画を定めた場合であって、その計画に従って当該重要な財産を譲渡し、又は担保に供するときは、この限りでない。
2 文部科学大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、国立大学法人審議会の意見を聴かなければならない。
(会計規程)
第五十条 国立大学法人は、業務開始の際、会計に関する事項について規程を定め、これを文部科学大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
(文部科学省令への委任)
第五十一条 この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、国立大学法人の財務及び会計に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。
人事管理
(役員の兼職禁止)
第五十二条 国立大学法人の役員(非常勤の者を除く。)は、在任中、任命権者の承認のある場合を除くほか、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。
(役員の報酬等)
第五十三条 国立大学法人の役員に対する報酬及び退職手当(以下「報酬等」という。)は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。
2 国立大学法人は、その役員に対する報酬等の支給の基準を定め、これを文部科学大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
3 前項の報酬等の支給の基準は、国家公務員の給与、民間企業の役員の報酬等、当該国立大学法人の業務の実績その他の事情を考慮して定められなければならない。
(国立大学法人審議会の意見の申出)
第五十四条 文部科学大臣は、前条第二項の規定による届出があったときは、その届出に係る報酬等の支給の基準を国立大学法人審議会に通知するものとする。
2 国立大学法人審議会は、前項の規定による通知を受けたときは、その通知に係る報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、文部科学大臣に対し、意見を申し出ることができる。
(職員の給与等)
第五十五条 国立大学法人の職員の給与は、その職員の勤務成績が考慮されるものでなければならない。
2 国立大学法人は、その職員の給与及び退職手当の支給の基準を定め、これを文部科学大 臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
3  前項の給与及び退職手当の支給の基準は、当該国立大学法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない。
雑則
(報告及び検査)
第五十六条 文部科学大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、国立大学法人に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、国立大学法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(違法行為等の是正)
第五十七条 文部科学大臣は、国立大学法人又はその役員若しくは職員の行為がこの法律、個別法若しくは他の法令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該国立大学法人に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを求めることができる。
2 国立大学法人は、前項の規定による文部科学大臣の求めがあったときは、速やかに当該行為の是正その他の必要と認める措置を講ずるとともに、当該措置の内容を文部科学大臣に報告しなければならない。
(解散)
第五十八条 国立大学法人の解散については、別に法律で定める。
(財務大臣との協議)
第五十九条 文部科学大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。
 一 第○条第一項の規定により中期目標を定め、又は変更しようとするとき。
 二 第○条第一項、第四十五条第一項ただし書若しくは第二項ただし書又は第四十
八条第一項の規定による認可をしようとするとき。
 三 第○条第三項の規定による承認をしようとするとき。
 四 第○条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
〈罰則)
第六十条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 一 第○条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者
 二 第○条第四項の規定に違反して営利企業の地位に就いた者
第六十一条 第○条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした国立大学法人の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
第六十二条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした国立大学法人の役員は、二十万円以下の過料に処する。
 一 この法律の規定により文部科学大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
 二 この法律の規定により文部科学大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
 三 この法律の規定により公表をしなければならない場合において、その公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。
 四 第○条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。
 五 第○条第四項の規定による文部科学大臣の命令に違反したとき。
 六 第○条の規定による事業報告書の提出をせず、又は事業報告審に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして事業報告書を提出したとき。
 七 第○条第四項の規定に違反して財務諸表、事業報告書、決算報告書若しくは監事の意見を記載した書面を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。
 八 第○条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
 九 第○条第一項又は第○条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
第六十三条 第十条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
 附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成○年○月○月から施行する。
(名称の使用制限に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にその名称中に国立大学法人という文字を用いている者については、第十条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。




目次に戻る

東職ホームページに戻る