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診療、未熟な研修医任せ…国立大病院長会議で報告
2001.3.30 [he-forum 1770] 診療、未熟な研修医任せ…国立大病院長会議で報告(読売)


診療、未熟な研修医任せ…国立大病院長会議で報告


読売新聞ニュース速報


 一週間に教授が診療に費やすのはわずか三時間なのに対し、研修医はなんと七十八時間――。大学病院では教授や講師らが、患者の診療よりも研究を優先し、未熟な研修医が長時間の診療にあたっているお寒い実態が、国立大学病院長会議の作業部会が行った調査で浮き彫りになった。
 調査は、全国四十二の国立大病院から十五病院を選び、内科、外科、小児科とその他の診療科一つの計四診療科で、今年一月の一週間の医師たちの勤務実態を聞いた。
 その結果、内科の場合、一週間の診療時間は教授三時間、助教授七・三時間、講師六・六時間。これに対し、二年目の研修医は七十五時間、一年目にいたっては週七日勤務換算でも一日十一時間を超える七十八・四時間に達していた。
 平均で内科の診療の63%を研修医、大学院生、研究生が担っており、ある大学ではこの比率は90%になっていた。小児科は助手以上が比較的診療にあたっていたが、三十時間には達していない。
 一方、助手とその下の医師を見ると、診療時間が週二十時間以下だった医師の三分の一以上が、研究には三十時間以上を割いていた。
 ほとんどの病院では、夜間の診療は患者の顔をろくに知らない当直医が入院・外来双方を担当するが、「必ず引き継ぎを行う」とした診療科は8%。当直医師の連続勤務時間は平均三十三・五時間。一か月の当直回数が八回以上というケースも三十件報告された。当直明け勤務について、「注意力低下が心配」とした医師も70%にのぼった。
 こうした結果を踏まえ、作業部会の報告は、「経験豊富な医師が未熟な医師と組み患者を受け持つ大学病院の体制が機能していない。研究生や大学院生は本来研究に専念すべきで、給与の支給も受けておらず、医療の中心を担うべきではない」と指摘。こうした実態の背景に、医師数が抑制されている中での患者数が増加し続けていることや、研究論文業績を過度に重視する傾向をあげた。
 未熟な研修医による医療事故は、この一年間に発覚しただけで十一件に上る。


[2001-03-29-23:41]


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