独行法反対首都圏ネットワーク |
『科学新聞』2001年2月9日付
2001.3.20 [he-forum 1739] 科学新聞2/9
『科学新聞』2001年2月9日付
初の国立大評価を開始
大学評価・学位授与機構は、大学評価委員会(委員長=阿部謹也・共立女子大学長)において、今年度着手する国立大学および大学共同利用機関を対象とした評価の具体的な内容・方法等を決定した。同時に、関係機関に実施要領等が送付され、第1回目となる大学評価がスタートした。今後、スケジュールに従って評価活動が行われ、第1回目の評価結果は平成14年3月にまとめられ、当該大学等や文部科学省に提供されるとともに、インターネットなどで公表されることになる。大学評価・学位授与機構では、こうした大学評価事業は日本では初めての取り組みであることから、平成12年度から14年度までは、実施するテーマや分野、対象機関数を絞って段階的に実施し、必要な態勢を整えた上で、平成15年度から本格的に実施するとしている。
15年度から本格実施へ
評価は、全学的な課題をテーマとして設定し評価を行う「全学テーマ別評価」、各学部・各研究科を対象に教育活動等の状況について評価する「分野別教育評価」、各学部、各研究科、各附置研究所、各大学共同利用機関を対象に研究活動等の状況について評価する「分野別研究評価」の、3区分で実施される。平成12年度から着手する全学テーマ別評価のテーマは「教育サービス面における社会貢献」と「教養教育」、また分野別教育評価と分野別研究評価の対象となる学問分野は理学系及び医学系。ただし、「教養教育」は2年計画で実施されるため、初年度は実情調査を行い、その結果を整理・公表し、2年目に評価を実施する。
今回実施する機関は、「教育サービス面における社会貢献」では、政策研究大学院大学と短期大学を除く98国立大学および全大学共同利用機関14機関、「教養教育」は大学院のみを置く大学と短期大学を除く95国立大学。「分野別教育評価」の理学系分野では、千葉大学、東京大学、新潟大学、大阪大学、広島大学、熊本大学の理学部や理学系の研究科・専攻が、医学系(医学)分野では、秋田大学、群馬大学、岐阜大学、京都大学、高知医科大学、長崎大学の医学部と医学研究科、専攻がそれぞれ対象となる。
「分野別研究評価」の理学系分野では、東北大学(理学部、理学研究科)、埼玉大学(理学部、理工学研究科)、金沢大学(理学部、自然科学研究科)、神戸大学(理学部、自然科学研究科)、愛媛大学(理学部、理工学研究科)、国立天文台が対象となる。一方、医学系(医学)分野では、北海道大学(医学部、医学研究科)、筑波大学(基礎医学系、臨床医学系、社会医学系)、東京医科歯科大学(難治疾患研究所)、福井医科大学(医学部、医学研究科)、岡山大学(医学部、医学研究科)、宮崎医科大学(医学部、医学研究科)が対象となる。
分野別研究評価は、対象組織(機関)の研究活動等の状況について、その取り組みが研究目的および目標の実現に貢献するものであるか、取り組みの結果がそれを達成しているかなどの視点から、項目別評価と総合的評価を書面審査、ヒアリングによって実施する。
項目別評価には、5項目が設定されている。
各機関は7月末までに自己評価書を大学評価・学位授与機構に提出。それを受け、同機構に設けられた大学評価委員会の専門委員会で、書面調査、訪問調査、ヒアリング等を行い、来年1月末頃までに評価結果をまとめ、各機関に通知する。各機関は2月下旬までその結果に対して意見の申し立てができる。その後の大学評価委員会の検討を経て、3月末にはインターネットや報告書の形で一般に公開される。
今回始まった大学評価における研究評価では、研究の質そのものも重視されているが、それ以上に体制や自己改革の達成状況が強調されているのが特徴である。国内外を問わず様々な場面で指摘されていることだが、日本の研究や人材は高い評価を受けているが、日本のシステムや体制に対する評価は低い。大学評価に、そういった視点が盛り込まれ強調されていることから、大学評価によって日本の大学が持つ硬直的な体制やシステムが浮き彫りにされ、大幅に改善されることが期待される。