独行法反対首都圏ネットワーク


新たな飛躍の機会に
2001.2.22 [he-forum 1667] 東京新聞社説2/21


『東京新聞』社説 2001年2月21日付

新たな飛躍の機会に

 国公立大学で、統合や連携の動きが進んでいる。東京都が都立四大学を統合するのなら、新たな「知」を創造する場に育ててほしい。
 東京都は四年後をめどに、都立大、都立科学技術大、都立保健科学大、都立短大の四大学を統合する方針だ。
 国立大学では、筑波大と図書館情報大、山梨大と山梨医大、東京商船大と東京水産大などで統合の話が出ている。私立大学でも、単位互換やインターネットを利用した共通授業といった連携の動きが活発だ。
 大学統合が具体化してきたのは、少子化による学生の減少、政府や自治体の財政難とともに、従来の学部、学科の枠に収まりきれない学問の分野が生まれているせいもある。
 金融工学、福祉経営学、文化経済学、行政情報学などを扱うには、大学の在り方から変えたほうがいいというわけだ。
 東京都は、この夏におおよその統合計画をまとめる。その場合、まず現在の学部や学科をいったんご破算にして、ゼロから見直してほしい。

 例えば、都立大に期待されている役割の一つに自治体職員の養成がある。法律や行政そのものの知識だけでなく、地方分権の時代にふさわしい地域政策の形成をはじめ、経営、福祉、環境、情報、危機管理などについて、広い視野からものを考えられる人物をどう育てるか。
 都立大は、都市研究では伝統がある。この蓄積を、防災や居住、情報格差といった都市問題の解決と結びつける教育体系も欠かせない。統合を機に、こうした角度から、伝統的な法、経、理、工といった学部や学科を組み替えてはどうだろう。
 大学が活性化するには、人事や予算運用などで自主性を強める必要がある。大学としての声望も高めたい。独立行政法人化や第三者評価の導入は、そのためのテコになり得る。
 生涯学習の場を、区市町村と協力して各地に設ける。法曹、行政、経営などの大学院を都心や副都心につくる。学生のボランティア活動を強力に支援する――。こうした展開を通じて、住民に親しまれる大学という認識が広がるのも望ましい。
 都庁内には、四大学合わせて年間百七十億円近い税金の節減を、統合のねらいとする向きがある。統合は新たな「知」を生み出す場づくりが第一の目標であることを、理解すべきだ。
 東京都も教職員も、全国の大学改革のモデルをつくる意気込みで取り組んでもらいたい

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