長尾試案批判で全学長に手紙を発送
2001.2.1 [he-forum 1665] 長尾試案批判で全学長に手紙
長尾試案批判で全学長に手紙を発送
佐賀大学 豊島耕一
「国大協会長への要望書」の世話人3名(辻下,豊島,野田)の連名で,同要望書の最新の賛同者名簿,国立大学以外からの支持者名簿と,「長尾試案*」への批判文書とを送りました.「要望書の趣旨を理解され,長尾試案にとらわれることなく,大学の本質に立ち戻って議論されるように」との手紙を添えています.
国立大学以外からの支持者には次のようにたくさんの著名な方の名前が挙がっています.また,賛同者は69大学818名にのぼっています.詳しくは次をご覧下さい.
署名はまた適切な目標日を設定して継続したいと思います.独法化(ないし名前を変えた独法化)への懸念を共有される方々のご賛同,ご協力をお願いします.また,国立大学の方であればご自分の大学の学長などへの働きかけを是非お願いします.さらに,著名人などへの支持依頼もよろしくお願いします.
以下,
(1) 国立大学以外からの支持者名簿
(2) 「長尾試案」への批判文書
(3) 学長への手紙
と続きます.(3)を除き,いずれも私のウェブサイトのホームからアクセスできます.
* 国立大学協会 設置形態特別委員会 委員長 長尾真,「国立大学法人の枠組についての試案」,2001年2月7日
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(1) 国立大学以外からの支持者名簿
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「国立大学協会長への要望書」
国立大学OB, アカデミズム界, 一般からの支持
2001年2月21日現在 51名
浅井 基文 明治学院大学教授
伊ヶ崎暁生 富山国際大学教授・教育学者
伊藤 堅二 立命館大学名誉教授
梅田 欽治 宇都宮大学名誉教授
大平 聡 宮城学院女子大学教授
大森 昌衛 元麻生大学教授
岡本 三夫 広島修道大学教授
岡本 洋三 鹿児島大学名誉教授
菊池 勇夫 宮城学院女子大学教授
北西 允 広島大学名誉教授
北野 弘久 日本大学教授
鬼頭 純三 名古屋大学名誉教授
銀林 浩 明治大学名誉教授
工藤 英三 元静岡大学教授
國弘 正雄 英国エジンバラ大学特任客員教授・元参議院議員
小出昭一郎 東京大学名誉教授・山梨大学元学長
坂下 志郎 北海道大学名誉教授
佐藤 裕二 元秋田大学教授
佐分利 豊 千葉短期大学教授
塩田庄兵衛 東京都立大学名誉教授・立命館大学名誉教授
白鳥 紀一 元九州大学教授
白岩 謙一 名古屋大学名誉教授
隅野 隆徳 専修大学教授
寺尾 光身 名古屋工業大学名誉教授
暉峻 淑子 埼玉大学名誉教授
永田 忍 宮崎大学名誉教授
中小路 清雄 元日教組書記長
中野 藤生 名古屋大学名誉教授
長野 暹 佐賀大学名誉教授
西岡 啓二 慶応大学教員
服部 学 立教大学名誉教授
針生 一郎 和光大学名誉教授
浜林 正夫 一橋大学名誉教授
松岡 延子 元大阪大学教員
真鍋 毅 佐賀大学名誉教授
宮田 光雄 東北大学名誉教授
森 茂康 九州大学名誉教授
矢倉 久泰 教育ジャーナリスト
山田 浩 名古屋工業大学名誉教授
弓削 達 東京大学名誉教授
渡辺 毅 大阪大学名誉教授
市立名寄短期大学
河合 知子
鈴木 文明
大坂 祐二
毛馬内 常夫
小平 洋子
寺山 和幸
三国 和子
高田 哲
清野 茂
松岡 義和
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(2) 「長尾試案」への批判文書
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「国立大学法人の枠組についての試案*」への応急的な批判
2001年2月20日
「国大協への署名」世話人
北海道大学 辻下 徹
佐賀大学 豊島 耕一
岡山大学 野田隆三郎
1. 国大協の「独法化反対」に反する,事実上の独法化容認案である.
(イ)「独立行政法人の基本的枠組を参考にして」国立大学法人法を作るとあり,これへの批判,「対案」を作ろうという意欲、姿勢が見られない.
(ロ)しかも「中期的な活動の目標」と「その目標達成のための具体的な計画」として「基本法**」と「通則法」の中期目標と中期計画の概念・制度を容認している.「大学が決定する」とはしているものの,「主務省と協議」を認め「行政指導」の受け入れを表明しているのである.
(ハ)「大学の評価は、計画期間の終了時に設定した目標に対する計画の達成度を中心に行う」として,いわゆる中期目標と中期計画を前提にした評価を容認しており,これも「基本法」と「通則法」の通りである.しかも多元的評価と言いながら,「第三者機関」であるどころか,正真正銘の政府機関である「大学評価・学位授与機構」による評価を認めている.つまり国家による評価制度を許容している.
2. 名前が「独立行政法人」でなければよい,あるいは通則法と違う法律であればよい,というものではない.「基本法」と「通則法」の基本的枠組み,つまり内容無限定の国家による指揮・監督・評価が含まれる限り名前を変えた「独立行政法人」である.
3. 法人化を論じる文脈において,現行国立大学制度のどこがどう悪いのかについての国大協による分析を見たことがない.現状分析を踏まえない方針はおよそ方針の名に値しないと言わねばならない。
* 国立大学協会,設置形態特別委員会 委員長 長尾 真氏の2001年2月7日付けの文書
** 中央省庁等改革基本法
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(3) 学長への手紙
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国立大学 学長各位
貴職におかれましては、大学における教育・研究発展のためにご尽力なさっておられますことに敬意を表します。
さて、国立大学の法人化問題が重大な局面を迎えるなか、設置形態検討特別委員会委員長 長尾 真氏による「国立大学法人の枠組についての試案」と題する文書が、過日、貴職にも届けられたことと拝察申し上げます。
「長尾試案」は、同封の別紙において詳しく批判していますように、名称こそ異なれ、実質は「独立行政法人」容認案であり、国大協の従来からの独法化反対の方針にも反するものです。 これで、はたして次世代への責任を果たし、歴史の評価にも堪えうる案と言えるでしょうか。
私たちは昨年6月、国大協が文部省の「調査検討会議」への参加を表明して以来、かかる形での決着を危惧し、国大協が「調査検討会議」から離脱すること、そして真に大学の独立を確保する国大協独自案を作成の上、国民の判断を仰ぐことを求めて署名運動を続けて参りましたが、このたび賛同者が69大学818名(他に名誉教授等46名)に達しましたので、賛同者名簿を添えてお届け致します。
なにとぞ、要望書(別紙)の趣旨をご理解の上、「長尾試案」にとらわれることなく、大学の本質に立ち戻ってご議論くださいますようお願い申し上げます。
2001年2月20日
「国大協への署名」世話人
北海道大学 辻下 徹
佐賀大学 豊島 耕一
岡山大学 野田隆三郎
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TOYOSHIMA Kouichi
Dept. Phys., Univ. of Saga
豊島耕一,佐賀大学理工学部物理科学科