独行法反対首都圏ネットワーク

公募型基盤研究(S)など 文科省 科研費に2種目新設
2001.2.19 [he-forum 1646] 科学新聞1/26


『科学新聞』2001年1月13日付

公募型基盤研究(S)など

文科省 科研費に2種目新設
大型の4種目全課題に間接経費を交付


 文部科学省は、平成13年度の科学研究費補助金に公募型の基盤研究(S)と、これまで高い成果を出してきた研究等を審査会が選定し重点的に支援する学術創成研究費を新設した。また、科研費のうち比較的大型の四種目について、新規・継続に係わらず、平成13年度に採択された課題すべてに間接経費として研究費の30%にあたる金額が研究機関に交付されることが決まった。独立行政法人化を前提とした大学改革が進む中、国内最大の競争的研究費である科学研究費補助金が改正されたことで、各大学はますます競争的環境にさらされることになる。


代表者クラスの研究者

獲得競争激化へ


 基盤研究は、1人または複数の研究者が共同で行う独創的・先駆的な研究を助成するもので、科研費の根幹をなすものである。平成13年度予算では科研費全体1579億6500万円の半分近くにあたる731億3000万円が基盤研究となっている。その中で、基盤研究(A)は研究費総額2000万〜5000万円(年間500万〜1000万円程度)のもので、それよりも研究規模の大きなものとしては個人ベースよりも研究者組織ベースの色彩の強い特別推進研究(総額5000万〜5億円程度)になってしまい、この間を補完する研究種目の創設が望まれていた。

 そこで文部科学省は、1人または少人数の研究者が共同で行う独創的・先駆的研究を支援する基盤研究(S)を新設。研究期間は5年間程度、1課題あたり総額5000万〜1億円程度(年間2000万円程度)。日本学術振興会が2月前半には公募要領を発表し、3月末くらいには各機関からの申請書を受け付ける。7月頃には内定する予定。予算規模が約20億円弱のため、100件弱が採択される予定である。
 また、今後の学術研究の推進には科研費の研究成果をより発展させることが重要なことから、科研費による研究のうち特に優れた研究分野等を選定し、創造的・革新的・学際的学問領域を創造する研究等を重点的に助成することが必要になってくる。
 そこで、文部科学省は、科研費のうちいわゆる新プログラム方式による研究を行う種目である創成的基礎研究費を再編し、学術創成研究費を新設した。学術創成研究費は、1線級の研究者のピアレビューにより研究分野を選定し、研究期間は5年間程度、毎年3000万〜3億円程度の助成を行うもの。レベルの高い成果を出している研究グループを日本学術振興会内に設けた審査会で選定し、トップダウンで予算を配分する。平成13年度は、従来の新プロの選定が進んでいることから、従来の新プロによる研究課題は四月初旬に内定し、学術創成研究費による新たな課題としては7月頃に20課題程度を内定する予定。
 競争的資金の拡大によって、直接研究に使われる経費は増加してきたが、その競争的資金をより効果的・効率的に活用するためには、研究の実施に伴い大学等に管理費や光熱費などに必要な経費を手当てする必要が生じてきている。そのため、競争的資金を獲得した研究者の属する大学等に対して、研究費に対して当面30%の間接経費を配分することが必要だと次期科学技術基本計画などでも指摘されている。このことから、科研費においても間接経費を導入することが決まった。
 ただ、科研費の場合は種目によって予算規模が大きく異なる(30万円以下のものから数億円以上のものまで)ことから、当面はより必要性の高い大型の研究種目で個人ベースの色彩の強い「特別推進研究」「学術創成研究費」「基盤研究(S)」「基盤研究(A)」の4種目に導入されることとなった。
 他の競争的資金が平成13年度新規課題から間接経費を導入するのとは異なり、科研費は新規・継続に関係なく13年度に採択された課題すべてに間接経費が導入されるのが特徴だ。ただし、間接経費は研究代表者のいる機関のみに配分され、研究分担者が別の機関に所属する場合には、その機関には配分されない。
 文部科学省の河村潤子・学術研究助成課長は「間接経費の導入などで、例えば、大型の科研費を代表者として持ってこれるような研究者の獲得など、各大学に良い意味での競争が生まれることを期待している」と話している。


目次に戻る

東職ホームページに戻る