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山梨大との統合 利点は教養教育の充実
2001.0.9 [he-forum 1626] 読売新聞2/8
『読売新聞』(山梨版)2001年2月8日付
山梨大との統合 利点は教養教育の充実
山梨医科大・吉田洋二学長に聞く
国立大学同士で初の統合を目指す山梨医科大(玉穂町下河東)と山梨大学(甲府市武田)。二〇〇二年十月の統合を目指し、両大学が進めている協議の現状や今後の課題について、山梨医科大の吉田洋二学長に聞いた。
――医大にとって統合のメリットは何でしょうか。
「医学以外の学問と連携することで従来の考え方から一歩踏み出した新しい技術開発が可能になる。新しい医療器材や素材の開発で新たな治療法が確立でるかもしれない。また、総合大学となることで、教養教育が充実し、医学教育でも倫理面での教育や医療経済の分野に力を入れられる。養護教諭の育成のため今年度から両大で単位を互換しているが、一つの大学になればその必要もなくなり、事務局の行政効率も上がるはず。国立大学の独立行政法人化も目前に来ており、学生に選んでもらうためにも、より魅力ある教育、研究内容にする必要がある。世界に認められる研究成果を生み出すための学内の活性化も期待できる」
――実現に向けた協議の現状と今後の課題は。
「概算要求する六月一杯には最終的な形を出さなければならないが、課題は山積している。まずは名称。将来の希望を託せるような名称にしたい。両大学で十程度に絞ったが、さらに山梨大の椎貝博美学長と三つか四つに絞り、国に要望したい。ほかに学長の選考方法、学則、教育カリキュラム、事務局の具体的な構成などで詰めの協議が必要。急ピッチで協議を進め、なんとか間に合わせたい」
――独立研究科の研究内容はどんなものになるのでしょうか。
「人間と環境との相関関係を科学的に研究する『人間・環境研究科』などを考えている。脳のメカニズムの解明には工学的な考え方が必要。精神的なケアを図るためにも、精神科、看護学、心理学の研究者が力を合わせ”癒し“を科学的に研究したい」
――起草委員会で検討中の新大学の理念・目標はどのようになるでしょうか。
「既成概念にとらわれず新しい天地を目指すという方向で検討している。若干修正は加えるが、『豊かな教養、高い専門知識、技術、倫理性、道徳性に富んだ人材を輩出する』『地域における知の中核となる、知を世界発信して国際社会にも貢献する』など。統合の先例となるだけに、納得してもらえる結果を出したい」