国立大獣医学科を再編・統合構想に鹿大も
2001.2.10 [he-forum 1630] 南日本新聞2/9
『南日本新聞』2001年2月9日付
国立大獣医学科を再編・統合構想に鹿大も
−鹿大学長が否定、学部内改革で充実目指す
山口大と宮崎大の国立大学2校の獣医学科を統合し、九州大に新設する獣医学部に移す構想が進んでいることが8日、関係者の話で明らかになった。小規模な学科の学部への統合で教育体制を充実し、国際的に通用する獣医師を育成するのが狙いで、来年4月の統合を目指している。
獣医学部・学科の再編では、獣医学関係の教員でつくる「国公立大学獣医学協議会」が1998年10月、東大と北大を除く8校を、2001年度をめどに獣医学部を新設する東北大と九大に集約、4校体制とすることで合意していた。
しかし、学内などの反発で難航。協議会は昨年10月、学内の理解が得られた山口、宮崎両大を先行して九大に統合する方針を決定した。最終的には帯広畜産大は北大に、岩手大、岐阜大、東京農工大は東大に、鳥取大、鹿児島大は九大に集約、3校体制とすることを目指している。
「畜産県・鹿児島から、獣医学科がなくなることは到底考えられない。鹿大が(九大に)行くことはない」。国立大学の獣医学科統合問題で、田中弘允鹿大学長は統合を全面的に否定した。
鹿大の獣医学科統合は学内での学部昇格も含め、二十数年前からの懸案事項だった。当初は鹿大と宮崎大の学科同士で統合案が出され、その後、山口大を含めて九大に学科新設の動きもあったが、いずれも立ち消えになった。
1990(平成2)年には獣医学科の教育充実を図ろうと、山口大を基幹校に、鹿大、宮崎大、鳥取大の4大学が参加した大学院連合獣医学研究科ができた。
4大学での九大統合が持ち上がったのは98年。鹿大はその直後、農学部内に「将来構想委員会」を設け、獣医学科のあり方を検討中。今のところ、鹿大独自で存続させ、組織改革によって充実させる方向で話し合っているが、学部内の合意には至っていない。
岡達三学科長は「南九州という畜産地域の特性を生かし、産業動物の研究を主体に研究に取り組むなどの案も出ている。九大が動き始めたのであれば、鹿大としても早急に改革案をまとめたい」と話した。
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