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鳥大次期学長選挙  史上まれに見る激戦
2001.1.24 [he-forum 1591] 新日本海新聞1/24


『新日本海新聞』2001年1月24日付

鳥大次期学長選挙
史上まれに見る激戦

 鳥取大学(鳥取市湖山町、高橋和郎学長)の次期学長選が、史上まれに見る激戦の様相を呈している。候補者数は過去十二年間で最高の六人。二十四日の投票日を前に、候補者が所信表明を各教官に郵送する新しい選挙戦術が登場したほか、教職員組合も候補者への公開質問とその回答を掲載した新聞を初めて発行するなど、選ぶ側、選ばれる側ともに従来型の選挙に新風を吹き込んでいる。

昨年から活性化
 鳥取大学は、迫り来る大学教育改革や二〇〇三年からの移行が予想される国立大学の民営化(独立行政法人化)など、課題が山積している。地元と密接な関係を持つ国立大の学長選だけに、ポスト高橋をめぐる動きは昨年から活発化していた。
 学長選は推薦制で、当初、学内評議委員会に推薦されたのは▽竹下研三・前医学部長(65)▽道上正※副学長(59)▽安室喜正前農学部長(64)▽吉谷昭彦・教育地域科学部長(64)−の四人。

 しかし、昨年末になって各学部の構成員から成る推薦委員会が能勢隆之医学部長(59)、高階勝義副学長(62)の二人を追加推薦。候補者は六人となり、「前回、前々回を合わせた三回の選挙では最多」(同大事務局)の人数となった。
 ただ、「推薦は受けたが、意欲を持って選挙に臨む気はない」とする候補も複数あり、実質的には竹下、道上、吉谷の三氏による戦いとなっている。

所信表明を次々
 竹下氏は学長選が告示された九日、自らの所信表明をいち早く学内の全有権者(助手以上の専任教官)に送付した。学長選始まって以来という竹下氏の取り組みは学内でも反響が大きく、「小さくとも特色のある、開かれた大学」を目指し、学長への専用メールや大学中枢への投書箱開設など六点を公約に「現場の末端まで心を開いて話し合う」対話重視の姿勢を基本に据えている。
 これに追随して道上、吉谷両氏も所信表明を各教官に送付。道上氏は教育問題を最重要項目に位置付け、「先端的研究とともに実践的教育と成果の評価」に力点。「地域社会と密接に連携し、産業と文化に貢献するキーパーソンの育成」を掲げ、「大学に求めるだけでなく、大学に何を提供できるかを考えてもらいたい」と呼びかける。

 吉谷氏は「大学の評価を重視するあまり、対策に終始することは問題」として、全学のコンセンサス形成を図る組織体制の整備を強調。教養教育の再構築、大学から地域社会に発信する情報戦略の確立を目指し、「各学部のスリム化で特色ある大学を」と訴える。

生き残りをかけ
 鳥取大学教職員組合の岸田悟組合長は、学長選への関心が高まっている背景について「国立大学を取り巻く状況は厳しく、学長の良しあしで今後の生き残りが決まる」と説明する。
 次期学長は、大学改革・再編の波を乗り越え、大学の生き残り策を絶えず打ち出す必要に迫られるほか、独立法人化後の初の学長として、中央省庁と渡り合える交渉力も望まれる。

 同組合は昨年十二月、各候補に初の公開質問を行い、一人を除く全員が回答。先週は大学運営について各候補の「ビジョンを聞く会」を計画したが、出席の意向を示したのは二人にとどまり、実現しなかった。

 岸田委員長は「急な申し出で、日程調整がつかない候補もあった。欠席だからどうこうという判断はない」とする一方、「忌たんのない意見を聞く機会だっただけに残念」として二十二日、公開質問の回答を掲載した新聞を全教官に配布。「幅広い情報をもとに候補を選択してほしい」と呼び掛けている。

 注目の学長選は二十四日に投票が行われる。九日現在の有権者数は六百八十五人。投票の結果、トップが過半数を獲得できなければ、二十五日に上位二人で二次投票を行う。【注】※印は規の夫が矢

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