『日本経済新聞』2001年1月10日付
独立法人化で実力主義
「貿易保険」賞与最大2割増
5段階の業績給 権限も委譲
経済産業省は今年4月に独立行政法人として分離する「日本貿易保険」の役職員に業績給を導入する。1人1人について業務の効率性や迅速性などの成果を有識者による評価委員会がチェック。職員は月収の約5ヵ月分の賞与について、公務員の平均より20%増から20%減まで5段階の差をつける。役員報酬も業績に応じて変動させる。政府機関で業績給をとるのは極めて異例。組織の簡素化や個々の職員への権限委譲を併せて実施し役職員のやる気を引き出す。
独立行政法人は中期目標のもとに機動的な運営による効率性向上を目指して設立される。日本貿易保険は法律上の身分保障のない非公務員型の人事制度をとり、民間の経営マインドを取り入れる方針だ。
経済産業省からの出向者が中心だが、約180人の役職員の2割近い約30
人を銀行、生損保、電力会社、財団法人貿易保険機構から採用、役員や部長、グループ長などに登用する。
企画立案やリスク分散のための再保険業務などのため本省にも35人の職員を置くことにしており、合計すると現在より30人程度増える。審査の難しいプロジェクト案件や相手国政府の保証のない案件を積極的に手掛けることで、民間の貿易・投資の拡大を支援する。また全国に拠点のある損害保険会社と保険契約で提携することで、地方の企業の利便性を高める。