独行法反対首都圏ネットワーク

佐賀大学物理科学科の声明文
2001.1.12 [he-forum 1567] 佐賀大学物理科学科の声明文


各位

                    840-8502 佐賀市本庄町1
                    佐賀大学 理工学部 物理科学科
                       学科長 豊島耕一


佐賀大学理工学部物理科学科は2001年1月9日の教室会議において、国立大学の独立行政法人化問題に関して次の声明を採択いたしました。皆様にこの声明をお知らせし、私どもの考えをどうかご理解いただくようお願い申し上げます。


2001年1月12日


なお声明文は次のサイトにも掲載しています。

http://www2.cc.saga-u.ac.jp/saga-u/riko/physics/japanese/sbseimei.html
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         国立大学の独立行政法人化に反対します


                     佐賀大学理工学部物理科学科


文部科学省が国立大学をいわゆる独立行政法人に変えるという方針(独法化)を決定して以来、その方向での準備が政府レベルで進みつつあります。


独立行政法人制度の下では、従来行政組織で行われてきた「企画・立案」機能を政府の行政機関(文部科学省)に、「実施」機能を国から独立した独立行政法人に分離されます。独立行政法人は主務大臣から目標を指示され、それを達成する「中期計画」を立てます。その認可を受けて運営費を与えられて一定期間の実施の後に業務の評価が行われます。それを受けて次期の指示を受けるという制度です。


この制度を大学に適用するに際して、大学で教育・研究に携わる者として以下のような問題があると考えます。


1. 大学教育に独法化は適さない

教育に関しては現場で教育を行っている者以外が企画・立案をすることが出来るのでしょうか?またその実施について正当な評価をする方法は確立されているのでしょうか?これらの問題を解決せずに制度だけを独立法人化することは高等教育のあり方を歪め、取り返しのつかない過ちを犯す危惧があります。


2. 大学での基礎研究を衰退させる

大学で行われる研究には実用化を直接の目的とせず、それにも拘わらずその成果が人類の文化に貢献したり技術革新をもたらしてきたものが数多くあります。情報技術を支えるエレクトロニクスやソフトウェアの開発、環境問題、医療・生命科学の分野でも基礎科学の成果が飛躍的な進歩のきっかけになっているのです。このような基礎研究は数年単位の中期計画で成果がでる保証はどこにもありません。したがって正当な評価もされずに衰退する懸念があります。


3. 地方大学存続の危機

地方国立大学はその地域から多くの学生を受け入れ、地域の小・中・高校の教員を輩出し、人材の育成や産業の活性化に寄与してきました。大規模大学とは設備や教員数が異なる地方大学は、一律の基準で評価されれば不利になることは明らかです。運営費が不足すれば授業料値上げで対処することも考えられますが、教育の機会均等を損なうことになります。また地方大学では多様で特色のある研究が行われてきましたが、独法化されると短期的な評価を受けやすい研究テーマに偏重し、日本での学問の発展に歪みを来すという危惧があります。


以上の問題は日本の将来に強く影響し、一度間違うと取り返すのに長年を要する非常に重大な問題です。それにも拘わらず、国民に開かれた場で議論されることなくその準備が進められています。私たちは現場で教育・研究に携わる者としてこの問題を懸念し、独立行政法人制度を大学に適用することに反対します。


2001年1月9日


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