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大学「17歳入学」自由化

2001.1.10 [he-forum 1564] 大学「17歳入学」自由化 (読売新聞)

大学「17歳入学」自由化

読売新聞ニュース速報

 文部科学省は十日、学校教育法の基本条文などで、現在、原則「十八歳以上で、高卒同等以上」としている大学入学資格制限を大幅に緩和・撤廃し、これまで厳しい条件があった十七歳からの「飛び入学」を自由化することを決めた。
 大学院の入学資格についても、「大卒同等以上」を見直し、大学三年や大学中退などからの入学制限を緩和する。次期通常国会に同法の改正案を提出し、早ければ来春の入学者から実施する。教育改革国民会議の提案を受けたもので、本格的な大学改革の第一弾とする。年齢制限の撤廃により、将来は中学卒業年齢程度から直接、大学に入学というケースも出て来そうだ。 大学の入学については、学校教育法で、「高卒かその同等
以上の学力が認められる者」と厳格に定めており、関連の省令などの規定と合わせ、事実上十八歳以上に制限している。例外的に、高校二年修了か、大学入学資格検定に合格した十七歳の生徒で、数学・物理の優れた資質を条件に「飛び入学」を認めているが、この場合もほかの教科での「高卒同等以上」の学力が求められる。こうしたハードルの高さから、実際には飛び入学は、千葉大で九人が在籍しているに過ぎない。
 今回、同省では、この数学・物理の限定を撤廃し、大学側が資質を認めればどの分野でも飛び入学が可能と同法に明記し、その場合の他の教科についての「高卒同等以上」の条件も問わない方針。十七歳入学が広まった場合、義務教育修了年齢にあたる十五歳程度からの入学も可能とする考えだ。
 大学卒業についても、今年度入学の学生から三年間で優秀な成績で必要な単位を取得した際は卒業を認めることにしており、この周知徹底を図る。
 一方、大学院の入学資格も、同法で「大卒か、同等以上の学力」としている原則を緩和し、現在の例外扱いをやめる。
 具体的には〈1〉現在、大学三年からの大学院進学が可能な単位面などの条件を緩和
〈2〉短大卒、大学中退者など大学卒業者以外が入学する際、現在は二十二歳以上としている年齢制限を撤廃――などにより、大学院の多様化、自由化を進める。
        ◇
 ◆原則の“呪縛”から踏み出す◆
 <解説> 「優れた才能」への例外措置を求めた一九九七年の中教審答申以降、限定的な十七歳の大学「飛び入学」などの例外制度がいくつか実現し、大学・大学院の入学資格弾力化は一息ついた感があった。それが今回、文部科学省が基本条文の改正を決断した背景には、こうした措置があまりに例外的で、大学の活性化や研究成果につながっていない、という経済界などの懸念があった。
 現在飛び入学者は全国でも九人。大学三年からの大学院入学も昨年度は三百人以下で、修士課程入学者の0・4%に過ぎない。これには、突出を嫌う日本的風潮や、大学側の消極的な姿勢も影響しているが、基本条文が、大学入学は「高卒同等以上」、大学院は「大卒同等以上」としている影響も大きかった。
 厳格に運用すると、例えば飛び入学する高校二年生は数学・物理以外の科目も優秀でなければならない。これでは、ある分野での秀でた才能を伸ばす趣旨を外れ、どの教科も早くこなす「受験エリート」だけに有利になりかねない。国民会議の報告は、原則の呪縛(じゅばく)から踏み出すきっかけを与えたと言える。ただ、人格成長の重要性を考えれば、「必ずしも早く進学し、卒業することが良いわけではない」(国民会議)。
大切なのは、一人ひとりの資質、希望に応じた学ぶ道を柔軟に開いておくことだろう。
〈社会部 小松夏樹〉
[2001-01-11-03:00]

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