独行法反対首都圏ネットワーク

公立小中で20人授業(読売新聞報道)
2000.12.9 [reform:03268] 公立小中で20人授業(読売新聞報道)

 読売新聞が「公立小中で20人授業」という大きな見出しを付け、1面トップで次のように報道しています。文部省が30人学級の要求には応じないものの、教科によって少人数授業を実施するための概算要求をしたというもの。記事では増員とされていますが、正確には「少子化に伴う教員減を行わない」というもので、実質的に5年間で2万5千人の教員が従来の採用計画より多く採用されます。
到達度別のクラス編成という狙いもあるようですが、少人数授業の実施自体は歓迎すべきことです。すでに今年の新潟県の教員採用試験の結果、予算が通れば採用するという合格通知を受け取った受験者がおり、100名程度の加配が行われたもようです。非常勤講師でというような大蔵省の査定を打ち破る運動が必要だ
と思います。reform−EDに送った記事と併せてお読みください。
                 新潟大学教育人間科学部 森田竜義


〈読売新聞 12月4日付け〉
公立小中で20人授業
主要教科で実施
来年度から
学習効果高める


 公立小学校と中学校の国語、算数などの主要教科の授業を、通常の学級とは別に20人程度の少人数グループで行う新制度が2001年から導入される見通しになった。文部省が少人数授業の導入を目指して、来年度予算に要求している教職員定数の改善(増員)計画について、大蔵省が大筋で認める方針を固めたためだ。文部省は少人数授業に合わせた教員の配置を来年度からスタートし、5年後に少人数授業を全国で完全実施する考えだ。


5年で全国実施目指す

 
 少人数授業の教科は、英語、算数(数学)、国語、理科などの主要教科の中から、各都道府県が3教科を選び、2学級の児童・生徒を3グループに分けて、20人程度の編成で授業を行う案が有力になっている。
 授業の少人数化は、教員の目が届きやすくなるほか、子供の適性や興味、成績などに応じたグループ編成も可能になり、学習効果が期待されている。私立中学などではすでに実施しているケースが多い。
 公立の小、中学校は現在、授業などほとんどの活動が「学級単位」で行われている。しかし、文部、大蔵両省は、現在の「40人学級」体制のまま、画一的な授業を改革して学習効果を高めるには、教科に応じてグループを編成する少人数授業が効果的と判断した。
 文部省は来年度予算の概算要求で、少人数授業の実施のため、2005年度までの5年で計2万2千5百人の教員を増員する「教職員定数改善計画」を求めている。初年度分としては、小・中学校で計4千5百人の増員を要求している。
 教員給与など国庫負担金の要求総額は、前年度当初比703億円増の3兆936億円となっている。
 大蔵省は、少人数授業の導入を認める方針ながら、要求の増員数については厳しく査定する。財政負担の少ない非常勤講師や、教務主任などで授業を行っていない教員の活用により、予算の圧縮を強く求める見通しだ。
 教員の定員数は児童・生徒数に応じて算出されているため、現状では少子化の影響で減少する見通しになっている。しかし、少人数授業が導入されると、実際の教職員数がほぼ横ばいとなる可能性がある。
 このため、教職員定員をめぐる予算折衝の最終決着は、政府案決定の直前まで持ち越される公算が大きい。
  
「しんぶん赤旗」に注目すべき記事が出ています。
文部科学省の2001年度概算要求に盛り込まれた第7次教職員定数改善計画において、児童・生徒数の減少に伴う教員の減員を行わずに維持するというもの。すでに新潟県では、今年度の小中学校教員採用において、当初の採用人数より約100名多く合格させ、増員分に相当する合格者には予算が通った場合に採用するとの通知を行っているもようです。各県の教員採用計画には減員分が見込まれているので、今後少なくとも5年間の教員採用数は当初の見込みより増加すると思われます。他県で同様の兆候はないでしょうか。以下は記事の抜粋。       
   11月2日 reform−ED世話人
                 新潟大学教育人間科学部 森田竜義
                      morita@ed.niigata-u.ac.jp



2001年度予算 概算要求の焦点4 文教 (しんぶん赤旗(9月12日)


 来年度から公立小・中学校の第7次教職員定数改善計画がスタートします(5ヵ年計画)。「財源難」を理由に30人学級をやらない文部省ですが、国民の強い要求を無視できず、一定の改善を図りました。今後5年間で、児童・生徒数が約60万人減り、それに伴う教職員が2万6900人減る計算になります。それを「減らさず」に維持するという計画。
 学級定員は40人のままですが、計画が達成されれば、国語(中学では英語)・算数(同数学)・理科の3科目で20人授業が可能になると文部省は試算します。こうしたやり方には習熟度別(できる子、できない子でクラスを分ける)授業導入の狙いもありますが、実際に習熟度別にするかどうか、この3科目以外の教科で実施できるか、などについて、文部省は各学校の判断に任せるとしています。

 養護教諭、学校栄養職員は配置基準を改善し、5年間でそれぞれ974人、962人増やします。養護教諭はこれまでに比べ約4倍の学校で複数配置が可能になります。
 このほか子どもたちの相談相手になるスクールカウンセラーの配置が制度化されます。来年度3750校、5年で1万校の公立中学に配置するための補助金が要求されています。


第7次公立小・中学校など教職員定数改善計画(5ヵ年計画)


改善事項       5年間の改善総数(人) 2001年度要求


小・中学校の     2万2500       4500

少人数授業など    うち小8600      1720
へのとりくみ       中3900      2780
への支援


教頭複数配置の拡充      612       122

養護教諭等定数        974       195
学校栄養職員定数       962       193
事務職員定数         726       145
特殊教育諸学校        914       183
研修など定数(長期      212        42
社会体験研修への対応)         
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計          2万6900人      5380人



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