独行法反対首都圏ネットワーク

基本3教科20人授業 実効性に「?」
2000.12.27 基本3教科20人授業 実効性に「?」


『東京新聞』2000年12月26日付夕刊


  基本3教科20人授業 実効性に「?」

  先生たちにもっと働いてもらいます
  文部省が3条件 『我々は徹夜で仕事』


  来年度からの五年間で小中学校の教職員を二万六千九百人増やす、文部省の定数改善計画が決まった。少子化により児童・生徒が約六十万人減少するのに伴い、約二万四選任の教員が自然減となるところを現状維持することで、事実上の増員とする計画だ。

  文部省では、これによりすべての公立小中学校(三学級以上)で、国(英)・数・理の基本三教科の「二十人授業」が実現できると説明する。だが、全国に約二万四千校ある公立小学校で八千六百人、約一万校ある公立中学校で一万三千九百人程度の増員(いずれも一般教員分)では、実効性を疑問視する声がある。
  ほんとうに少人数授業はできるのだろうか。答えは「できる。ただし条件が三つある」(文部省担当者)。一つは、完全週五日制になっても、教員が受け持つ授業時間を減らさないこと。児童・生徒が出席する授業のコマ数は、週換算で二コマ減るが、教員は、土曜日の分だけ平日の授業時間を増やす。
  二つ目は、担任を持たない教員も、担任と同程度の授業を受け持つこと。特に小学校では、担任を持つ教員と、専科教員などでは、授業時間の差が大きい。これを平均化する。
  三つ目は、教務主任や生徒指導主任など、授業時間数の少ない教員の授業時間を増やすこと。こうして実際に教壇に立つ教員を増やせば、例えば二学級を三つに分けた授業が可能になる。子どもの興味や関心に応じた授業により、学力は向上し、問題行動は少なくなる―。同省のシミュレーション(非公開)は、そんな学校の未来像を描く。
  三条件に通底するのは「われわれは徹夜も珍しくないのに、教員は楽をしている。給料もいいし。もっと働いてもらうべきだ」(同省中堅幹部)という、教員に対する厳しい視線だ。
  いわば教員の"既得権"を問うているわけだが、現場の教員に聞くと、逆に「忙しい」「大変だ」という答えが返ってくる。心を病む教員の多さを知ると、過酷さが想像できなくもない。
  文部省の三条件は、現場に無理難題をふっかけているのか、あるいは当然の要求なのか。少人数授業の実現には、虎ノ門(同省)と学校現場の意識差が最大のハードルになりそうだ。

(加古陽治)


目次に戻る

東職ホームページに戻る