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国立大法人化、今年度内に法案大綱
2000.12.27 [he-forum 1538] 東京大学新聞12/12
『東京大学新聞』2000年12月12日付全文(要旨は投稿済み)
国立大法人化、今年度内に法案大綱
評議会に戦略会議
「東大憲章」も制定へ
21世紀の東大のあるべき姿を長期的展望に立って探る「東京大学21世紀学術経営戦路会議(UT21会議)」(座長・蓮實重彦総長)が10月に発足審議を進めている。独立行政法人化問題への対応が議論の焦点と見られ、大学にふさわしい形の法人像を具体化した「国立大学法人法案」の大綱と、東大の総合大学としての基本理念や大学自治のあり方を定める「東京大学憲章」の骨子を制定する。蓮實総長が任期を終える3月までに評議会で承認を受けることを目標としており、急ぎ足での審議となりそうだ。会議では、大学の構成員(教職員・学生)から広く意見を求めるとしており、1日からホームページで意見を募集している。
学生から意見募集
会議は、昨年報告を発表した「東京大学の経営に関する懇談会」に続いて評議会のもとに設置された。同懇談会で提案された国際化や組織編成などを、「東大憲章」として具体化する。
また、これまで総長の私的諮問機関として、望ましい法人のあり方を検討してきた「東京大学の設置形態に関する検討会」、「国立大学制度研究会」での議論の経緯をふまえ、初めて大学の正式機関である評議会の下で法人化について全学レベルの議論を行う。
国立大法人法案と東大憲章の策定が会議での焦点となるため、「法人化小委員会」(委員長・青山善充副学長)および「憲章小委員会」(委員長・小林正彦副学長)の二つの専門委員会(=図)を置く。その下に「国際化」、「組織整備」(自治の構造、執行機関など)、「教育体制」(学生の役割など)、「研究体制」(附置研究所の役割など)、「施設」、「法制度」、「財務」の各小委員会を設け、個別に議論を行う。さらに意見の集約を行い、評議会への程案を作成する「幹事小委員会」(委員長・蓮實総長)を置く。
東京大学のホームページでは26日まで、学内者からの意見を受け付ける投稿フォームを設ける。フォームは学内サーバー経由でのみアクセス可能で、総論、憲章、国際化、組織、教育、研究、法人化、財務、施設・環境―の各項目について800字以内で記入する。
《解説》
東大では、これまで国立大法人化に関する議論は、いずれも総長の私的諮問機関の「東京大学の設置形態に関する検討会」、「国立大学制度研究会」で、行ってきた。一方、UT21会議は、大学の正式な意思決定機関である評議会の下に設けられた。会議で策定される法人法案大綱は、評議会決定を経た、初の東大公式見解となる。文部省は国立大の独立行政法人化について2001年度中に具体案をまとめる方針で、現在調査検討会議を設け審議を進めている。
この検討会議には、国立大学協会(=国大協、会長・蓮實総長)からも委員が参加しているが、議論が文部省主導で進むことへの大学関係者の危機感も強い。
東大憲章の制定は、「設置形態に関する検討会」の「理想形態ワーキンググループ」の最終報告で提案された。大学全体と各部局の間で権力を分立する「階層的自治」の理念を実現し、部局自治を確保することが当初の趣旨だった。
今回学生の意見を聞く姿勢を示したことは評価できる。ただ、全学の意見を聞いて東大の21世紀を議論するというのであれば、審議の内容をホームページ上で逐一公開することが望ましいのではないだろうか。