独行法反対首都圏ネットワーク

総務庁による「無駄な研究」の行政監察の記事をみてびっく
2000.12.18 [he-forum 1515] Re: 無駄な科学技術研究を指摘 総務庁行政監察(朝日新聞)
he-forum の皆様


 さっき流れてきた、総務庁による「無駄な研究」の行政監察の記事をみてびっくりしました。


 確かに無駄な研究も多々あるでしょうし、税金の無駄使いを減らす努力は大いに結構なんですが、同じテーマに2つ以上の研究機関で取り組んではいけない、というのが心配です。


 研究テーマの重複を避け1機関に重点配分する、ということは、この間、あちらこちらで声高に言われているようですが、これは科学研究の根幹に関わる深刻な問題だと思います。


 旧ソ連の計画経済ではあるまいし、1テーマは1機関に限定というやり方で、競争も情報交換もなしに、どうやって科学を進歩させる気なんでしょうか? あるいは、一面的な見方で誤った結論を出す危険性をどうやって回避する気なのでしょう?

 何のために科学論文には「材料と方法」が明記され、誰でも実験が再現できるように書かれているのか。
 一方では、「競争原理の導入」をうたっていながら、同じテーマに関する競争は認めないというのはおかしな話だと思います。


 大学の科研費なども、この行政監察が対象になるとすると、他大学なり、農水なり、県なりで、似たようなテーマのプロジェクトがある場合は、頭を下げてそのメンバーに入れてもらわない限り、良いアイディアがあろうが、既往の研究報告に疑問点があろうが手出しはできないというふうになっていくのでしょうか..。

 あるいは、自分が(運良く)科研費をもらったテーマは、もう日本中どこを探しても、ほかに誰も取り組む人がいないという不毛な環境で研究をしなくてはならない日が来るのでしょうか。


 テーマへの縛りが少ない経常経費(=校費)が減る一方で、科研費などのプロジェクト予算がそういう方向に行くのは勘弁してほしいです。


# 朝日もあんな記事を喜んで取りあげるんなら、NK紙は経済面、

# Y紙はスポーツ面、M紙はスクープ、ほかに取り柄のない
# 朝日は社会面専門で大同合併したらどうなんだ。
# そう考えたら、記者には競争がなくてお気楽でも、質は落ちるし、
# 紙面が偏るくらいのことは、すぐ分かるだろうに..。
# (あれっ、政治面が抜けてる...)


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阿部 淳 (栽培学研究室助手) 
東京大学大学院 農学生命科学研究科 生産・環境生物学専攻
Tel 03-5841-5465 (森田助教授と兼用), Fax 03-5841-5070 (専攻事務室)
E-mail:  abejun@cup.com




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