科学技術基本計画への意見
2000.12.15 [he-forum 1509] 科学技術基本計画への意見
山形大学理学部 品川敦紀
生物科学系の13の学会からなる生物科学連合が、12月12日、科学技術基本計画にたいする意見を、科学技術庁に提出したそうです。
以下に、その「意見」を転載してご紹介いたします。
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科学技術基本計画案への意見
生物科学学会連合(日本細胞生物学会,日本植物学会,日本植物生理学会,日本進化学会,日本神経化学会,日本神経科学学会,日本生態学会,日本生物教育学会,日本生物物理学会,日本生理学会,日本動物学会,日本発生生物学会,日本比較生理生化学会)
生物科学学会連合世話役学会:(社)日本植物学会
連絡責任者氏名: 専務理事 邑田 仁
職業:東京大学大学院理学系研究科附属植物園
電話番号:03-3814-2625
平成7年に制定された科学技術基本法は,科学技術基本計画に関する第9条2の一において「研究開発(基礎研究,応用研究および開発研究をいい,技術の開発研究を含む)の推進に関する総合的な方針を定めるものとする」として,基礎研究の推進を掲げている.
これを受けた現行の科学技術基本計画では,IIIの(3)「基盤的資金の充実」で,「国立大学や国立試験研究機関における研究者の自主性が重要な基盤的な研究活動を着実かつ効果的に推進できるよう研究者が経常的に使用できる研究資金および研究開発施設・設備に係わる経費の充実を図る」と言明している.
しかし,その後も大学の教官当積算公費等に実質的な削減が続いたため,研究推進上支障が生じるとして,経常的研究を始めとする基盤的研究資金の確保の必要性が強く指摘された(平成11年6月学術審議会答申).さらに平成11年度からは,国立大学の講座積算公費が一律に非実験系講座の算定となり,自然科学分野の多くを占める実験系講座での研究にさらに大きな不安を投げかけることとなった.
今回の科学技術基本計画(案)においてはII-1-1-C「基盤的経費の取り扱い」で,「(前略)教育研究基盤公費については,教育を推進する経費であるとともに大学の運営を支えるために必要な経費としての性格を有すること.研究員当積算庁費については,研究機関の行政上の業務遂行に必要な経費としての性格を有することに留意する」としている.
これは,これら基盤的経費に当然に含まれるべき研究に係わる部分を切り離し,「競争的資金」に振り向けると宣言しているとも受け取れる.もしこれが本意であれば,すべての科学技術の発展に関与しこれを支えている基礎研究を根底から覆すものであり,前述の「基本法」の趣旨に逆らうものであると言わざるを得ない.このような表現を改めるとともに,「基本法」に従って,基礎研究を強力に支援する方策を盛り込んでいただきたい.
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