大学教員にも競争原理導入
研究費たくさん欲しけりゃ優れたテーマを 名工大
2000.12.8 [he-forum 1491] 中日新聞12/07
『中日新聞』2000年12月7日付
大学教員にも競争原理導入
研究費たくさん欲しけりゃ優れたテーマを
名工大
名古屋工業大(名古屋市昭和区、柳田博明学長)は、これまで各教員に平等に配分してきた研究用経費(校費)の一割を、学内から公募した優秀な研究テーマに優先的に配分する「大学研究活性化経費」制度を導入することを決め、六日、初年度分として二十七件の研究テーマを選んだ。文部省が本年度から競争的な配分を認めるようになったのを受けた。中部地方では豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)も同様の制度を設けており、国立大でも教員の能力主義評価が進みそうだ。
“研究室の広さに差”も検討
名工大の活性化経費は三部門に分かれる。「特別研究」は工学の枠を超え異分野との融合で新しい学問領域を開拓する先端テーマが対象で、年七百万から一千万円を三年間給付する。「一般研究」は基礎系と応用系に分かれ、年百万から三百万円。「奨励研究」は三十五歳以下の若手研究者が対象で、年五十万円まで。
選考は学外を含む十人の審査委員が担当。「特別研究」は実績と、審査委員の前での発表(プレゼンテーション)、「一般」と「奨励」は外部資金の導入実績や論文、受賞歴などによって判定された。初年度は百四十件の応募があり、「特別」二件、「一般」五件、「奨励」二十件を選んだ。
活性化経費の枠は来年度が校費の二割、二〇〇二年度には三割に引き上げる予定。また、研究室の広さについても、研究内容の評価によって差をつけることを検討している。
学内での競争を伴う制度が導入された背景には、独立行政法人化が検討されるなど国立大をめぐる環境の厳しさがある。限られた研究費を互いに争うことで研究意欲の向上を目指すとともに、外部資金の導入を増やす狙い。
豊橋技術科学大も「教育研究活性化経費プロジェクト」を始め、教育と研究の二部門で二十四件を選定した。
名工大の審査委員長を務めた松井信行副学長は「国立大は従来、研究成果に関係なく研究用経費も研究室の面積も均等だった。これでは今後の大学間競争に生き残れない。競争原理の導入で、教員の意識改革につなげたい」と話している。
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