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国大協6月総会議事録2/2
2000.12.01 [he-forum 1466] 国大協6月総会議事録2/2
場所 が三掌士会館(神囲)210号室
1.協議
1.当面する諸問題について
(1)独立行政法人化問題について
会長から次のように述べられた。
[33]昨日に引続き法人化の問題についてご意見を伺い,議論を収斂させていただきたいと思うが,その前に、法人化問題から離れて私の考えを3点申し述べたい。
[34]その一つは,現在制度改革の問題を議論しているが、制度を変えることなく実現可能な改革もある。たとえぱ、男女共同参画の問題もその一つである。これを各大学が真剣に受け止め,女性の教育者,研究者の国立大学への任用を高める方法を各学長にとっていただきたい。
[35]第2点は、教養教育の問題である。学生が初めに大学を大学として認識するのは1年生の教育においてである。新しく大学に入ってきた学生が大学への信頼と興味をもち,大学がそれに十分応え得るよう教養教育の充実に大学は一層エネルギーを注いでいただきたい。なお、これについては、昨年特別委員会がまとめた報告(「大学教育におけるくリベラル・アーツ>の役割について」)などもご参照いただきたい。
[36]第3点は,学生への視点の大切さということである。大学は,現在,周囲の状況からとかく防御的になり,その構成員を教授あるいは教授会構成員であるかのような錯覚に陥りがちちだが、我々の最大の務めは学生に対する教育にあり、その上で研究があるのであって,教育の質の向上をなおざりにして大学の変革はあり得ないと思っている。当然のことではあるが,学生への教育が十分いき届いているかどうかという視点を大事にお考えいただきたい。
以上のように述べられ、引き続き会長から独法化問題について次のように述べられた。
[37]昨日来の議論を通じていくつか問題が浮かびあがり,それに対する対応として,対外的に必要なことと国大協内部で必要なことがある。そこで,我々は外に向って何を言い、同時に我々お互のコンセンサスとして認めあうことが必要か,私なりの考えを披露し,ご意見を伺いたい。その上でこれを文章化し、午後、改めてお諮りしたいと考えている。
[38]引続き会長から,その趣旨、(1)既に法制化されている独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適月することに反対するという姿勢は維持されており,今後も堅持されよう、(2)国立大学の設置形態を検討するため,副会長を正副委員長とする「設置形態検討特別委員会」(仮称)を新たに設置する,(3)上記(1)及び(2)を踏まえ国大協は、文部省に設置が予定される「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」に出席する用意がある,(4)高等教育政策の必要性に鑑み、科学技術基本計画に対応する学術文化基本計画の策定に向けた議論の場を設定すべきである旨の説明があった。
○[39] 特別委員会を発足させて,内外に向って政策提言を行うということについては,独法化問題が起こって以来待ち望んでいたことであり,賛成したい。また,学術文化基本計画の策定ということも実現を望むが、実際にどういう場を考えられているのか。
○[40]一つは文部省に対し〈提言したい。あと,科学技術会議の議員のほか,理解ある政治家など各方面に働きかけ、実現できる方向にもっていきたい。
○[41]調査検討会議に国大協から会長、副会長,常置委員会委員長が入っていった方が国大協の意見をより有効にできるとの判断があるのか。
○[42]会長,副会長が調査検討会議に入るべきかどうかは議論のわかれるところと思うが,調査検討会議に対してかなり強い国大協の意見を反映する形での人事が行われるのが望まししい。
○[43]国大協の中の意見には幅があるから,調査検討会議へ参加する国大協からの委員については、当然、地域等のバランスを考慮する必要があると思うが,会長がそこに入っていくのはどうかと思う。
○[44]会長提案の4点について基本的に賛成する。ただ,国大協の調査検討会議への参加ということでは,国大協は調査検討会議の重要な構成員だが国大協がマジュリティとなって圧力団体化するのは好ましくない。その点,会長は,速絡会議に関わるのはよいとしても,調査検討会議とは距離をおいた方がよいと思う。また,調査検討会議への関わり方であるが,たとえば,昨日話があった会計制度,税制の問題にしても、地財法の問題にしても独法化のフプンダメンタルをつくるのに極めて重要であり,二れらの問題は特別委員会で議論し,調査検討会議に投げる形をとった方が有効と思う。文部省に対してだげでなく,大蔵省、自治省、総務庁等の関係官庁を相手に渡り合えるように理論武装を特別委員会に期待したい。それから、文部省が重要な節目を政治日程との関係で動いたことに対しては,今後のこともあるので声強い不満の意を表わすべきと思う。
○[45]4つの提案の(1),(2),(4)は賛成であり,(3)も基本的には国大協が関与するので賛成だが,文部省案では,各グループ15名の委員のうち国大協からは学長が3名と少ない。文部省の提案をそのまま受けるのか。
○[46]文部省提案はまだ固まったものではなく,変更の余地はあり得るし、提案をそのまま受け入れることは考えていない。ただ、国大協が参加しないかぎり調査検討会義は実質的に機能しない。
○[47]調査検討会議に国大協が参加し文部省をサポートすることが大事である。その意味でも国大協に特別委員会を設置することに賛成であるが、その場合,特別委員会と調査検討会議との関係が難しいのではないか。こちら側の意見が先方に十分伝わるよう,両者の委員をリソクさせる必要があろう。
○[48]国大協が包括的に高等教育,学術文化政策について問題提起をしていくことは大事なことと思っているが,その趣旨からすると,新たに設置する特別委員会の性格はもう少しふくらませて考える必要があるのではないか,名称だけからみる.と少し狭いように感じる。
○[49]会長が調査検討会幾に加わることに反対ではないが、可能であれぱ,むしろ賢人会議に出席いただくことが望ましいのではないか。
○[50]調査検討会議に会長や副会長が入るのは疑問がある。仮に会長が4つのクループのいずれかに加わると国大協の意見が分散されるおそれがある。また,調査検討会議である程度納得できる結論を得たとしても,その後総務庁、大蔵省等との調整があり,それがそのまま法案として通るかかどうか疑問である。そうであれぱ、会長は,調査検討会議からは離れた立場でいた方がよいと思う。
○[51]特別委員会及び調査検討会議等の審議の状況について各大学にどのような形で情報を流していただけるか。
○[52]まだ相談してないが,Eメール等により,少なくとも特別委員会の記録は速やかに送れるようにしたい。形式的には理事会への報告を経たのちということたなるが、今は非常時なので、理事会を待たずにこれを行うようにしたいと考えている。
○[53]独法化問題の議論を聞いていると,地域性,規模、歴史の違い等大学はバラバラに富んでおり、考え方もそれぞれ違う。そういうことからすると,調査検討会議の委員構成は,バランスに配慮しつつもう少し多く学長が入るのがよいのではないか。
○[54]特別委員会での議論は,調査検討会議の4つのクルーブに対応した形をどらて進めていくことになるのか。
○[55]調査検討会議の4つのグループは、それぞれ与えられた課題についてだけ検討するので,全体的な視点というものを絶えず意識され行動していただくことが大事であるから,各グループに参加される方が特別委員会にも入っていただく仕組みが必要と思っている。
○[56]調査検討会議への参加に関しては,会長,副会長はこれに入らない方が組織論的な整合性がとれるように思う。ただ,全体の調整を行う場である連絡会議の方に会長,副会長などが国大協の代表者として関与する余地はあろう。
○[57]連絡会議に副会長が入り,賢人会議に会長が入るのがよいのではないか。
○[58]賢人会議は最終決定機関であり,そこに会長がいると,そこで決定されたことに関して国大協が縛られるおそれがないわけではない。それは,ここで結論を出さずに,よりよい選択をするよう考えてみたい。
○[59]「設置形態健闘特別委員会」の重要性を内外に示すためにも,これの委員長を会長にやっていただけないか。
○[60]なるべく出席するつもりだが,会長が特別委員会の委員長になることは避けるべきだと思う。
○[61]「設置形態検討特別委員会」(仮称)の委員構成については次のように考えている。 △副会長を正副委員長とする、△第1、第8、第4、第6各常置委員会からそれぞれ委員長及び委員1人,第2、第3、第5、第7、各常置委員会はそれぞれ委員長。ただし,委員長が出席できない場合は予め指定した常置委員会の代表が代って出席する、△会長が必要と認めた者。
○[62]調査検討会議で国大協の意見を通すためには,学長委員は文部省案の3人ではなく5人程度入る必要があるのではないか。また,ここに参加する委員の地域バランスを考えるのは文部省ではなく,国大協がこれを考えて派遣する形をとってもらいたい。
○[63]国立大学の学長としては3人という限度があると思うが,研究者等のところで少なくとも3人は国大協の関係者が入っていただけるものと思っている。また,委員を考える際のバランスということに関しては,常置委員会委員長の判断にお任せすることではいけないか。
○[64]国大協から調査検討会議の各クループに参加している委員が特別委員会のメンパーであるように配慮いただきたい。
○[65]調査検討会議の4つのグループで,それぞれの課題をもって法人制度の具体的な内容を検討していくことになるが、個別に詰めていくだけでは不十分で,これらをいかに調整し全体的に有機的な組織設計をつくるかが大事であり,その意味で連絡会議の役割は大きいと思う。その連絡会議に会長あるいは副会長が入って,グループの全体の内容を矛盾なく,国立大学の将来にとって望ましい形になるよう調整していくことが必要ではないか。文部省に対しても,連絡会議を単なる調整にとどまらず,実質的内容をもった内容にすべきということを主張すべきと思っている。
会長から次のように述べられた。
[66]昨日及び本日午前中いただいたご意見を踏まえ,本総会として全会一致で確認したいことを文章化し,お手許に配付した。これについてご意見をいただき,必要な修正を施したうえ決議したい。その上で,設置形態検討特別委員会の委員構成等についてお諮りししたい。
以上のように述べられたのち,配付の文章について審議が行われた。その結果,一部字句修正のうえ次のとおり承認された。
国立大学協会は声第106回総会において,次の4点を全会一致で確認した
[67]1 5月26日の文部大巨の「説明」以後も,国立大学協会は,国立大学の設置形態に関して,これまで表明してきた態度を変更する必要があるとは認識していない。すなわち,すでに法制化されている独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で透用することに強く反対するという姿勢は維持され,今後も堅持されるだろう。
[68]2 教育、研究の質のさらなる向上によって,国民の利益の増進と、地域社会,人類社会の接続可能な発展に貢献することを目指し,その実現にふさわしい国立大学の設置形態を検討するために,副会長を正副委員長とする「設置形態検討特別委員会」を国立大学協会内部に新たに設置し,この委員会を中心に,文部省をはしめ,内外の各方面への政策提言を積極的に行う。
[69]3 上記の二点を踏まえ,かつ,我が国の高等教育と学術研究の健全な発展に資するために,国立大学協会として,文部省に設置される予定の「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」に積極的に参加し,そこでの討議の方向に,国立大学協会の意向を強く反映させるための努力を行う用意がある。
[70]4 一国の高等教育政策は,国民,地域社会,人類社会の利益という視点から,長期的な展望のもとに議論されねばならず,それには,国際的動向をもふまえた恒常的な政策決定の機構が必要である。国立大学協会は,この際,科学技術基本計画に対応する学術文化基本計画の策定を課題とする議論の場の設定を強く訴えたい。
次に,会長から、特別委員会の設置について次のように諮られた。
[71]会則によれぱ,特別委員会の設置については、常務理事会の議を経て理事会で決定することになっているが,この際,理事会を省略し,総会において新たに特別委員会の設置について決定いただきたい。
○特別委員会の名称は「設置形態検討特別委員会」とする。
○委員会に,正副委員長を設けることとし,委員長に長尾副会長,副委員長に中鳴副会長を任命する。(特別委員会の設置に際し当初の長は会長が氏名することとなっている<第24条>)
○委員は、第1、第8、第4、第6の各常置委貴会から,それぞれ委員長及び委員1名、それ以外の第2,第3、第5,第7の各常置委員会から委員長をもって充てる。但し,第2,第3,第5,第7各常置委員会については,委員長が出席できない場合には、予め、当該常置委員会をして指定した代理の委員が出席できるものとする。
○ 上記委員のほか、会長が指名する委員若干名を置く。
この提案について異議なく,承認された。
引読き会長から,特別委員会の設置に関わって次のように述べられた。
[72]これまで,法人化問題全般を第1常置委員会に付託していたが,設置形態検討特別委員会を設置したことに伴い,同委員会の任務が若干変ることになるが,ご了承いただきたい。また,文部省の調査検討会議に4つのグループができるので,各グループに対応する形で,法人の基本に関しては第1常置委員会に,目標・計画,評価に関しては第8常置委員会に,人事システムに関しては第4常置委員会に,財務会計に関しては第6常置委員会に,それぞれ担当をお願いしたい。なお,調査検討会議の各グループに国大協から出席される委員に,特別委員会からの調整,方向の指示が伝わるようにそれぞれの常置委員会と特別委員会との関係を緊密に保っていただきたい。、