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『競争的資金』を増額、評価公正に
首相の諮問機関である科学技術会議の総合計画部会(部会長・井村裕夫元京大学長)が来年度から五年間の「科学技術基本計画」案をまとめたが、研究費の総額などについては、まだまだ議論すべき点がありそうだ。新計画は国民の意見を募ったのち、年内に首相に答申される。
今回の基本計画は、研究者間の競争を促進するため、一律配分でない「競争的資金」を増やすことや、研究成果の評価を公正に行うことが目玉だ。
ところが、五年間の研究費総額を二十四兆円とすることを計画に明記するかどうかをめぐって、大蔵省側とそれ以外のメンバーが対立した。
本年度まで五年間の現・科学技術基本計画では、国の支出する研究費は十七兆円とされた。新計画で登場した二十四兆円という数字は、GDP(国内総生産)の一%程度というのが根拠。
これに対し、財政事情の苦しさを訴える大蔵省側は「欧米でも研究費のGDP比は〇・六%から〇・八%程度で、日本の現水準でも遜(そん)色ない」として数字の明記に反対。「投資に見合う生産性が大学などに期待できるのか、疑問がある」としている。
結局、この点については空白のままで意見募集を行う。
新基本計画は、産業における国際競争力の強化を目標として、生命科学、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の四分野に重点を置いている。一方、これまで巨額の研究費がつぎ込まれてきた、原子力を含む「エネルギー分野」や、宇宙・海洋を含む「フロンティア分野」なども、その他の重要分野として盛り込まれ、総花的な色彩も強くなっている。
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