独行法反対首都圏ネットワーク |
東大「UT21会議」−国大協との関連はー
2000年 12月5日 独行法反対首都圏ネット事務局
東京大学は、「東京大学21世紀学術経営戦略会議(UT21会議)」を設置し、精力的な検討を開始しました。この「UT21会議」は、東大における「東京大学のあるべき姿の検討とその実現方策(実施計画)の策定」に留まらず、現在、国大協「設置形態検討特別委員会」で進められている検討項目・内容に大きな影響を与えることは必至であります。
国大協は、11月30日の「設置形態検討特別委員会」で「基本的考え方」を討議したもようで、この「基本的考え方」を来年3月までにまとめたいとしています。なぜ、3月なのか。「UT21会議」の2つの委員会も3月までに評議会上程ということで、国大協の日程と重なります。それは、蓮實東大総長(国大協会長)の任期が来年3月―東大の次期総長は12月21日に決まりますーまでだからです。さらに、国大協執行部の有力学長の何人かも3月末、4月末交代です。従って、東大も国大協も現執行部での「責任」は、果たしておきたい(次期学長、会長をしばらない)ということであろうと思われます。4月からの国大協の会長人事をどうするのかー平時だと副会長が会長代行をし、6月定例国大協総会で会長を選出するのだが・・・。7月に文部省「調査検討会議」の中間報告が予定されている中で、一番大事な時期に「会長代行」では、国大協の舵はとれないと思います。ましてや、「独法化」急先鋒の副会長が会長代行にでもなったら、それは悲惨です。4月以降の国大協会長人事は、重大な関心ごとであります。
東京大学の「UT21会議」の内容と国大協の動向から次のことが推察されます。
・ 「東大憲章」が全国大学の「大学憲章」作成のモデルとなると思います。現在、「名大学術憲章」(名大HP掲載)があるのみです。大学憲章は、その大学の基本理念、特質などを明確にするという点だけであれば、なんら問題ないと思います。しかし、「通則法」の枠内での「大学憲章」は、「通則法」を糊塗する役割をはたす危険性があることに留意すべきだと思います。
・ 「UT21会議」は、「法人化した場合の条件整備」、「国立大学法人法大綱の制定」を今年中、来年3月までとしていることに注目せざるをえません。今回の「UT21会議」の一連の文章から「独法化」という言葉が消えた印象を受けるが、東大の「国立大学制度研究会報告」は、「通則法」の枠を超えていませんので、その真意がわかりません。むしろ、東大として、「通則法の枠内でなく、東大が良いと思う法人化をめざす、それが認められないなら東大は国立のままで良い」というようなわかりやすい態度表明をしてほしいと思います。
・ これまでの事例からすると、東大の「教授任期制」導入が、国大協、他大学の引き金になる可能性があることから「教授任期制導入」にも十分留意する必要があるように思います。
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資料
東京大学21世紀学術経営戦略会議(UT21会議)
2000年10月17日評議会で設置が承認。
1 設置の趣旨
東京大学は、近年、「東京大学の経営に関する懇談会」、「東京大学の設置形態に関する検討会」及び「国立大学制度研究会」等様々レベルで、設置形態の変更を含む本学の教育・研究・経営の在り方を検討してきた。
21世紀を迎えるにあたり、質的にも変容すべき時が到来している。本学が、社会にまた世界に対し、あらゆる差別を超えた真に自由な学問の府として存在し続けるために、長期的視点から設置形態の検討も含め学術経営戦略の議論を全学的に展開する必要があると判断される。
そこで、「東京大学21世紀学術経営戦略会議(UT21会議)」を評議会の下に設置し、諸課題について検討することとしたい。
2 任務
東京大学のあるべき姿の検討とその実現方策(実施計画)の策定
3 構成
座長 総長
委員 ・副学長
・研究科等の長
・研究所等の長
・学内共同教育研究施設又は全国共同利用施設の長 若干名
・広報委員会委員長
・事務局長
・総長が特に必要と認めた本学教職員
4 その他
・広く全学構成員の意見を聞き、その集約を図る。
・特定の事項を審議するため、必要に応じ、本会議の下に専門委員会を設けることができるものとする。
・ 本会議において意見がまとまったものから、順次、評議会に上程する。
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UT会議の進め方
2000.11.14
座長
1、
会議及び専門小委員会の活動・審議の進め方
1、専門小委員会は、9つが独立して平行して活動する委員会ではなく、9つが有機的結合体として活動する委員会とする。
2、現執行部の責任時間内には、2つのプロジェクト課題を設定し、これを実現するための具体的なかつ短期的な目標を定めて、9つの委員会の中の関連委員会を統合する形で審議をすすめる。この期間内には、そのプジェクトの中心となる小委員会を親委員会として、関連する小委員会との密な連携の下に審議を進める。
3、親委員会はまず審議内容とその進め方を提案し、関連する小委員会はこれらを検討して、両委員会の協議の下に各小委員会の活動の方向を決める。小委員会における審議結果は頻繁に親委員会にフィードバックし協議を行う。この作業は、主に幹事小委員会が行う。
4、親委員会は、審議内容をまとめる時期をあらかじめ数段階設定し、その審議結果を全体会議に図る。
5、各小委員会では、親委員会から提案された項目の検討の間に、それぞれの委員会に関連する新たな課題を生じた場合、各小委員会は、現在検討が進んでいるプロジェクトテーマの中で検討されるべき事項か否かを判断し、検討すべき事項の場合はすみやかに親委員会に提案する、そうで無い場合にも、そのような時期に検討を行うべきか(年度内、来年度以降)について問題点を整理し、関連委員会との打ち合わせや幹事小委員会などで報告し、次の活動に反映させることができるようにする。
6、専門小委員会は、幹事小委員会を媒体として有機的結合体となるべきものであり、専門小委員会の幹事は小委員会委員長を補佐すると同時に、各委員会間の連携の媒体としての役割を果たす。
7、全体会議の検討は合議とし、小委員会の意見交換にのみ電子メールを使うものとする。また、各方面からの意見聴取はホームページ経由によるものとし、その管理は、幹事小委員会が行うもにとする。
8、専門小委員会には、必要に応じ特別委員を加えることができる。特別委員は、当該小委員会に審議に必要な参考意見を述べることができるものとする。
2会議の検討方針
・文部省、国大協等において様々な形で検討されている設置形態の議論のなかで、東京大学のとるべき姿勢の選択は、今後、東京大学が総体としての力をどのように発揮できるかにかかっている。例えば、外的制御の道具として最も悪用されうる運営経費について、仮に東京大学がその総意として、「自由な発想による教育研究と如何なるものにも制約を受けない自由な発言力を保持することを重視し、現在の基盤経費(教育経費+最低必要経費(生活費))を保障するため、競争的資金等の一部をプールし基盤経費の確保に活用する」ことを合意するなら、部局の利害得失を離れた総体としての判断にたつことができ、本学の設置形態の論議に対する姿勢は、堅牢な後ろ盾を得ることになる。同時に、東京大学が一個の有機体としての力を発揮できる組織的機能を整備することは、法人化の制度設計にあたっても、きわめて強固な鉾を得ることになる。
・従って、東京大学が早急に行うべきことは、東京大学が如何なる設置形態の下にあろうとも、学問自由、部局と大学の自治を総体として堅持しうる態勢を固めることであり、そのための合意を形成することであると考える。
・東京大学の将来を構想しつつ合意を形成するためには、先に提案した9つの小委員会はいずれも必須の視点を担う委員会であることを再認識する。ただし、このことは現執行部の責任期間を超える来年度以降の本会議の在り方を少しも規定するものではない。
・この備え立ての上で、大学法人制度を検討することは、磐石の備えを得ることになる。
3、3月までのプロジェクト
以下の2つのテーマについては、お互いに関連が深いので、AとBの間で頻繁に審議経過をフィードバックすることが望まれる。審議期間を3つに別け、第1期を1月中旬、第2期を2月末、第3期を3月末として検討の概要をまとめあげる。
A 大学憲章の制定
親委員会:憲章小委員会
関連専門委員会:国際化、組織整備、教育体制、法制度、施設
○理念と全体構想は親委員会が中心となって検討を進める。
B 法人化を視野に置いた組織・制度の理念と設計
親委員会:法人化小委員会
関連専門小委員会:法制度、財務、組織整備、施設
○国立大学制度研究会の中間報告および外部の動向との関連については、親委員会が中心となって検討を進める。
東京大学21世紀学術経営戦略会議(UT21会議)検討組織
◇幹事小委員会
{機能}
・意見集約(各専門小委員会の意見集約、構成員・学外関係者等からの意見集約=ホームページの開設管理と意見聴取)
・審議案策定(会議審議案>評議会上程案の策定)
・共有しうる国際・国内的将来展望の策定と本学の位置付等の検討
・設置形態の区分の再定義(国立大学の教育研究、東京大学の個性)
・総長以下本小委員会の委員は、適宜各小委員会に出席
{構成員}
―省略―
A 大学憲章の制定
◇憲章小委員会(親委員会)
{機能}
・東京大学憲章の構成の検討、関連小委員会への諮問
・同骨子(大綱)の策定(13年1月まで)
・東京大学憲章草案評議会上程(13年2月)
{構成員}
−省略―
・国際化小委員会
{機能}
・教育の国際化、研究の国際化、社会の国際化への貢献の検討
{構成員}―省略―
・組織整備小委員会
{機能}
・自治の構造と透明性・自主性
・構成員の協力体制(身分と組織構成、定員管理の在り方等)
・運営組織(執行機関、決定機関、審議機関と運営諮問会議)
{構成員}―省略―
・教育体制小委員会
{機能}
・学生の位置付け(大学の構成員としての役割と社会に対する貢献)
・大学院教育及び学部教育の充実策(修業年限、単位制限、教養教育、精鋭教育等)
{構成員}
―省略―
・研究体制小委員会
{機能}
・研究所と研究科における研究の連携方策
・研究の効果的推進のための制度設計
{構成員}
―省略―
・施設小委員会
{機能}
・施設の整備運営の長期戦略
・施設分配管理方策
法制小委員会
B 法人化を視野に置いた組織・制度の理念と設計
◇法人化小委員会(親委員会)
{機能}
・法人化するとした場合の条件整備(本年中に骨子を作成)
・国立大学法人法案大綱の制定(13年3月まで)
・憲章小委員会との連携
・法制度小委員会、財務小委員会、組織整備小委員会への諮問
・法制度小委員会
{機能}
・設置形態に関する法制度の検討(法人設立根拠法、国立学校設置法)
・構成員に関する法制度の検討(教育公務員特例法、国家公務員法)
・教育に関する法制度の検討(大学設置基準、学校教育法、教育基本法)
・研究に関する法制度の検討(科学技術基本法)
・財務に関する法制度の検討(財政法、会計法、国立学校特別会計法、地財法等)
・施設・環境に関連する法制度の検討(建築基準法、環境関連法令)
・財務小委員会
{機能}
・長期的視野に立った財政的基盤の確立方策(財投の受入と処理方策等)
・法人化した場合の財政及び会計制度
・歳出概算要求と評価制度
・現業的附属施設の運営基盤及び管財(資産管理)
・組織整備小委員会
・施設小委員会