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東大4研究科が教官任期制導入
2000.11.4 [he-forum 1384] 東京新聞11/04
『東京新聞』2000年11月4日付夕刊一面
東大4研究科が教官任期制導入
実績なければ再任せず 近く決定
東京大学(蓮実重彦学長)大学院の医学系、工学系、農学生命科学、教育学の四研究科が、来春から教官の任期制導入に踏み切ることが、四日までに固まった。教官の定年が二〇一三(平成二十五)年度までかけて段階的に六十五歳に延長されるのに伴い、教育・研究に不熱心な教官の居座りを防ぐなど、人事の流動性を確保するのが主な狙い。各研究科とも、五十五歳以降を二期十年の任期制とする案が有力だ。東大の教官は原則として大学院に所属し、学部でも教える。教官の任期制を学部・研究科全体で導入する国立大はほとんどなく、実現すると、総合大学では初の本格導入となる。
55歳以降は2期10年
関係者の話では、任期制の検討が最も進んでいるのは、工学系研究科(工学部)。既に専攻長会議で導入の方向を決定し、今月九日の教授会で移行が正式に決まる予定だ。
原案では、各教授は五十五歳以降、二期十年(移行段階は一−四年)の任期制に転換。六十歳の時点で再任を希望する場合は評価を行い、“合格”した教授だけが、二期目に入る。助教授以下は「昇進のインセンティブ(刺激、誘因)がある」(小宮山宏研究科長)などとして、導入を見送る。
農学生命科学研究科(農学部)でも、同様のやり方で任期制を導入する方向で一致。年内に最終結論を出す。対象は全教官だが、各教官が任期制移行を承諾することが前提になる。
教育学研究科(教育学部)も、全教官が任期制に移行することで合意。六十歳以降も残る割合をめぐり、議論を詰めている。
医学系研究科(医学部)では、助手の任期制を「五年任期、二期十年まで」とすることでまず合意。教授、助教授についても五十五歳以降を任期制とする方向で検討している。
東大には十三の研究科があるが、四研究科以外にも新領域創成科学研究科では、既に助手全員に五年間の任期制を導入。プロジェクトごとに研究者が集まっていることから、教授や助教授についても年齢ではなく在職年数による本格的な任期制を目指している。しかし、来年度の退職者がいないため、来年いっぱいかけて検討するという。
また、情報学環(学際情報学府)は、三分の二の教官が三−五年の任期で他の研究科から来ている。このため「差し迫った必要性は感じない」(浜田純一学環長)としているが、他の研究科の状況次第では来年四月からの導入もあるという。
一方、理学系研究科(理学部)は「五年の任期をつけると、五年で評価される仕事に取り組まざるを得ない。小さくまとめる方向に走ることが予想され、科学の発展に役立つか疑問だ」(小間篤研究科長)として見送る方針。その代わり、助手から助教授、助教授から教授への内部昇進を認めないことで、人事の流動性を高める方針だという。
教官の任期制は、北陸先端科学技術大学院大学(石川県辰口町)で全学的に行っているが学部を持つ大学で本格導入した例はない。