独行法反対首都圏ネットワーク

附属図書館を育てるのは誰か(下)
2000.11.1 [he-forum 1374] 三重大学附属図書館報106号

三重大学附属図書館報『学燈』No. 106 (2000.10.20)
http://opac.lib.mie-u.ac.jp/Gakuto/Gakuto106/Gakuto106.html

附属図書館を育てるのは誰か(下)
人文学部  柴田正美(前附属図書館長)

(前略)

 研究支援機能について、今まで述べてきたことは、資料・情報の探索に関することである。探索の結果として判明した資料・情報のデリバリー機能がしっかりしていなければ、研究者・教官は「隔靴掻痒」の状況に追い込まれることになる。「サービスを展開する・実施する」とは、利用者の求めている資料・情報そのものを提供して始めて完結するということを忘れてはならない。デリバリー機能は、各大学図書館が、完全な意味での自己充足的環境を作り得ないことが明確になっている現代においては、必須のものとなっている。この時の大学図書館は、より仲介機関としての能力を果たすことである。相互協力体制をこれまで以上に強力に推進することが求められている。けれども、今、論議が進んでいる国立大学の「独立行政法人化」は、この体制を崩壊させる契機になる可能性が在ると見ても良いだろう。個別に独立した法人は、その範囲での効率化を競うこととなるので、よその法人のやむにやまれぬ要求への理解度は低下してゆく。むしろ、よその機関の要求を実現させないことが自らの地位を優位にすることになるので、「相互協力」といった局面は成立しなくなると考えてもよい。かつて「地域的に成立していた同種の分野・テーマをもった専門図書館の協力組織」が、図書館員たちの努力にもかかわらずあえなく崩壊してしまう事例を私たちは歴史の中で知っている。国立大学、大学全般に、そのような雰囲気が生まれてしまうことを危惧するもので、それを避ける提案を早急にとりまとめる必要があるだろう。  

(後略)




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