独行法反対首都圏ネットワーク

教員養成のあるべき姿」を来夏までに方向
:(2000.10.3 [reform:03173] 「教員養成のあるべき姿」を来夏までに方向(「文教ニュース」))
8月28日開催の「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」
のもようが、「文教ニュース」に紹介されています。この記事は懇談会に
おける文部省事務局(教育大学室長)の趣旨説明を要約したものと思われ、
添えられている高等教育局長の挨拶概要と併せて読むと、文部省の意図を
読み取ることができます。また従来の報道では、懇談会は来年3月までに
見解をまとめるといわれていましたが、「来年夏までに」と修正されたも
ようです。高等教育局長挨拶については次回、お知らせします。
          10月3日 大学改革情報ネットワーク世話人

「文教ニュース」1589号(9月4日付け)

「教員養成のあるべき姿」を来夏までに方向
―第1回懇談会、子どもに目を向けた教育研究や学校現場の経験を議論―

 文部省の「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」の第1
回会合が8月28日、霞ヶ関東京会館で開かれた。冒頭に工藤高等教育局長
が、教員幼生のこれまでの経緯に触れながら教員養成のあるべき姿を前向き
の意見を頂戴したいと挨拶した。座長に高倉翔氏(明海大学長)を互選、今
後は月1回程度のペースで議論、来年夏までに基本的な考えをまとめる。

 現在学校現場では(1)いじめ、不登校、学級崩壊、学力低下への対応、(2)
生きる力、考える力を育む教育への取り組みや総合的な学習の推進、(3)新
学習指導要領や学校完全週5日制導入に対応した教育の推進−−など様々な
教育課題を抱えている。平成9年7月の教育職員養成審議会の答申にも、今
後これらの困難な課題に的確に対応できる力量ある教員の養成が求められて
いる。開放制の教員養成制度の中で、特に国立の教員養成大学・学部は教員
養成の専門学部として、国民の期待に応えていかなければならない。
 教員養成学部には、何よりも学校現場や子どもに目を向けた教育研究が求
められ、教員養成学部は教職専門、教科教育法、教科専門等様々な専門分野
の教員で組織されているがそのような教育研究は専門分野の如何に関わらず
取り組むべき課題となっている。そのような方向に目が向いていない教員が
少なからずいるのではないかという指摘がある中で、教員養成学部の存在価
値を高めていくためには、できるだけ多くの教員がその方向に目を向けてい
くことが重要な課題であるとされている。
 一方、少子により教員の採用数が減少し教員養成学部卒業生の教員就職率
が低下してきている。文部省としては平成16年度の教員就職率が6割程度
に改善されることを目標に平成10年度から12年度までの3年間に、教員
養成課程の入学定員を5千人削減し、1万人体制とした。この結果同課程の
平均入学定員は約200人となるとともに、入学定員が100人以下のもの
が3分の1を占める状態になるほど小規模化が進んでいる。
 教員就職率の減少は昭和60年頃から顕著になってきたが、昭和62年度
以降多くの大学では、教員以外の職業分野へも進出することを想定した新た
な人材養成を目的として、教員養成課程の入学定員の一部を教員養成を目的
としない発足当初はゼロ免課程とよばれていた「新課程」に改組してきた。
その結果新課程の入学定員は、平成12年度には6千人を超え、教員養成学
部に占める割合は39%となっている。
 この新課程は教員養成学部の中に置くことに、発足当初から賛否両論あっ
たが、設置後10数年が経過した現在も、「新課程が教員養成にとってプラ
スかマイナスか」という基本的なところで評価が分かれる。長期的観点にた
った教員養成大学、学部の在り方を検討するにあたって、その点をもう少し
クリアーにする必要があるのではないかとみられている。
 懇談会ではこのように質、量両面の必要性から検討をするわけだが、力量
ある教員を養成するための学部、大学院、附属学校の果たすべき役割や、そ
れらを踏まえた組織・体制の在り方などについて、個々の大学の枠にとらわ
れることなく、いろいろな角度から幅広くご議論(原文のママ)されるもの
と思われる。
 教員養成大学・学部の在り方については、教員養成課程の5千人削減計画
を進めるにあたって、今回と似たような趣旨の「調査研究協力者会議」を設
け、平成9年8月から10年10月にかけて検討した経緯がある。会議とし
てのとりまとめは諸般の事情により行いませんでしたが(原文のママ)、事
務的に検討結果をまとめている。今回はそれを土台としつつ、それに加え先
の協力者会議では検討が十分ではなかった課題、あるいは新たな課題につい
て、更に議論を掘り下げていく。
 第1回会合では、「子どもに目を向けた教育研究」が、教育学部以外の出
身者で占める教科専門分野の教員に意識が薄いという意見が出された。また、
個々の専門分野の教育研究に比重が置かれるきらいがあることや、学校現場
の経験がある教員が少ない(22.8%)指摘を中心に意見を交換した。




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