独行法反対首都圏ネットワーク

ac-net の御相談 (2)
 2000.10.28 [reform:03220] ac-net の御相談 (2)

(Weekly Reports 配信先の一部の方にBCCしています。)
---------------------------------------------------------------------
reform 会員の皆様
[reform:03210 ac-net の御相談] に対して励ましのメールや御提案を頂きまし
た。それを踏まえて「申しあわせ」を修正しました。
 御意見・御提案等を引き続きよろしくお願いします。
 国立大学協会総会が開催される11月15日にac-netの設立(あるいはac-net 準備会の設立)の呼びかけを行うことも検討しています。
辻下 徹
北海道大学大学院理学研究科数学専攻
tel&fax 011-706-3823(office)
tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tjst/


--目次---------------------------------------------------------------

【設立趣旨補足】【申しあわせ Ver 0.9】【提案の紹介】【ご意見の紹介】
---------------------------------------------------------------------
【設立趣旨補足】前回の御相談と同時に[reform:03211/3つの提案とお願い]をお送りしたために、ac-net の活動のイメージを狭めたのではないかと懸念しています。
 提案行為を会員の活動例と考えてお送りしたもので、提案の内容〔教授会への働きかけ等)を、ac-net会員の活動の典型と考えているわけではありません。
 前回と多少重複しますが、ac-net 設立を検討している意図を簡単に説明します。
 大学での自由な知的活動をdiscourageする要因が日々増大しています。独立行政法人化の脅威を別にしても、大学評価機構の動きは大きな危険性を孕んでいますし、今年度から始まった予算配分方式の変更や大学運営の中央集権化は、大学によって程度の差はありますが、大きな脅威となりつつあります。しかし、それらの要因を無害にする方途が今の日本にはまだ十分残されています。選択肢は急速に減少していますが全く消滅するまでには若干の時間はあります。
日本のような規模の国家には大脳が不可欠です。自由な知的活動を趣味として位置づけ公的活動から排除することは、前頭葉除去手術と同様のおぞましい無分別な行為です。
知的活動の母胎は思考の自由と喜びにあると信じる者が、知的営為の小さな一部として社会への発信を組み込み、相互作用を持ち、新しい知のコミュニティを形成していくことが、回り道のようですが最も効果のある実質的な積極的な永続的な対策だと信じます。
ac-net の主目的は、IT技術が可能性を開いた全く新しいタイプのコミュニティの形成を試みることにあります。権力が力を行使できない自由な知的活動の広大な場を作ってしまい、「教育基本法第10条:教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。
(2) 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」を事実上達成してしまうことを目指したいと思います。
独立行政法人化に象徴される外科手術により、今後長期的な知的荒廃を免れない大学に替わる知の空間を形成することが急務です。また、知的荒廃の進行を少しでも食い止め、再び健全な知の空間を大学に甦らせる迄の期間を出来る限り縮小しなければなりません。これが、私たちの直前の世代の数百万の人柱の上に建てられた日本国憲法が
第二十三条 学問の自由は、これを保障する。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、 これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつ て、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
により、知的活動を職業とする私たちに、**今**、命じていることです。
--------------------------------------------------------------------------
【申しあわせ(案 Ver 0.9)】
1.名称
 (仮称)アカデミア e-ネットワーク (Academia e-Network, ac-net)
2.目的
 日本における自由な知的活動の場を維持強化し新たな場を形成し、学問研究に多くの人に参加を呼びかけ一般の人々に成果の普及に努め、日本社会全体の知的活動を活性化させる。
3.活動
(1)上記目的のための個人的・集団的活動・大学などの組織的活動を、会員・非会 員にかかわらず、支援する。
(2)目的に基づいて日本の大学、学術の発展の課題について意見をまとめ表明をす る。その意見を普及する。
(3)インターネットを中心として広報活動・情報交換等を行なう。
4.会員の資格と会員の活動
 上記目的の全部または一部に賛同する個人または団体は会員になることができる。 会員は可能な範囲で(1)独自の判断にしたがって上記目的のために活動を展開する。
(2)他の会員や非会員に、上記目的に効果的な活動等を提案する。
(3)上記目的のための活動の助けとなる活動を行なう。
(4)会の活動を広め会員を増やす。
5.運営
世話人の責任で進める。会員は運営について意見をいうことができる。意見の違いについて公開で討議する。
6.財政等
(未定..寄付を主とする、and/or 年1000円程度の会費)
7.連絡先等
(未定)
---------------------------------------------------------------------------
【提案の紹介】以下のようなご意見がありました。
◆<目的>に「学問研究に多くの人に参加を呼びかけ一般の人々に成果の普及に努め る」を加える。(国民の中にも力のある人は多いし、本人がその自覚をもっていない 人もいる。われわれはそうした人の中から研究者になりうる人をリクルートする責任 がある。その力を日本のために、世界のために発揮してもらうことが重要だ。こうし た立場にある知識人はまだまだ少ないから、一人でも多くの人を見いだし、この運動 に参加してもらうことが必要だ。それが日本の未来を切り開き、人類の将来を明るく することになる。)
◆<活動>に「目的に基づいて日本の大学、学術の発展の課題について意見をまとめ表明をする。その意見を普及する。」という条項を入れたらどうか。
#これに対し辻下は「意見をまとめるという作業をac-net から外したいと思う。む しろ根幹で同意する人たちが色々な表現で意見を出すことの方を重視したい」と反論したところ次の趣旨の返事があった。
「まとめるというのは、世話人が意見をだしてそれに賛同する人を集める、ないしは 多くの人に賛同させるという意味ではない。多くの人に意見を出してもらい、世話人 はその最大公約数を整理する、あるいは大方の賛同を得られるような表現を工夫する ということである。これは大筋での一致ということであり、大筋が一致すれば、それ 以上の表現、敷衍はそれぞれの個性を発揮して多様にしていいのではないか。これま での運動ではそうした「自由」がないかのような印象を強く与えてきた。...あく までも自由な立場からの自発的な共同という点を表現上でも追及すべきだ。)
◆<活動>に集団的活動、大学などの組織的活動などへの支援も含める
◆<会員の活動>の「上記目的のための活動時には、会員であることを言明する。」 ははずし「会の活動を広め会員を増やす」ことをいれる
◆「インターネットを利用した活動を中心とする」とした方がよい。メールで発信、 ファクス・郵便で配信、というシステムを利用すれば事務負担という垣根はなくな る。
◆<運営>の項に、「会員は運営について意見をいうことができる」を入れてはどう か。必要によっては、「意見の違いについて公開で討議する」としてもいいのではな いか。
-----------------------------------------------------------------------
【ご意見の紹介】
◆「ac network会員に登録してください。私も大学の枠を越えた国大協でない、また、組合よりも幅広い教員の全国的なネットワークが大切だと考えています。」
◆「標記の件,大賛成です.呼びかけ人に加わってもかまいません。
 「役に立つ」大学,研究,教育など,最近よく「役に立つ」と言われますが,真理の探求を使命にする学問の府は,それを期待されるところではないはずです.本来は,企業こそが役に立つ研究をするところではないでしょうか.しかし,景気を理由にかなりの研究部門を減らしています.
 「役に立つ」とは,「財界に役立つ」と聞こえてなりません.
 大学の独 立 行政法人化反対の広報については,国民に対しての情報提供がいま大切と思います.具体的には,インターネットがどれだけ世論形成の力があるかを試す実験にもなりますね.」
◆「 いよいよac-netの活動の呼びかけを始められましたね。運動の広がりを期待しております。私も個人として可能な限り協力します。」
◆「どういう反応が返ってくるか楽しみですね。うまく進んでいくといいと思います。 日本の大学人がどういう意識でいるか、なにを必要な課題と考えているのかをつかむ 手がかりになると思います。」
◆「現在の大学の中核にいるのは,私もそうですが70年前後の「大学紛争」を学生として経験した世代です.その時のテーマの一つに反大管法があったと思います.今回の事態はいわば「スーパー大管法」であり,当時の記憶を少しでも呼び出すことが出来れば何かのエネルギーを生じると思います.そのようなメッセージがどこかに入るといいと思います。
 呼びかけ人にはもちろん参加させて下さい.」
◆「同時に何人か集まれば実質的な活動をはじめたほうがいいのではないでしょうか。 脇で見ている人は、イメージがもてないと参加するようにならないでしょう。実際の 活動こそもっとも効果的な宣伝です。ネットでの交流は便利ですが、反面嫌な思いを したり、絡まれたらやり切れないなどの思いをしている人がいると思います。そうし た中での活動ですから、近寄ってくるには、「安心」が保障できるか様子を見ている という人が少なくないと思います。そういう人が参加してくれるような「実績」を作 っていくことが必要でしょう。わたしとしてもできるだけの協力はするつもりです。 ネット上で信頼を獲得できる活動をする、そういうネット運営をするというのはやは り新しい課題でしょう。またそれだけ難しいけれどやりがいのある課題だと思いま す。
人類はそのような課題を切り開いていかなければならないのです。そのためのス テップになる活動だと思います。」
---------------------------------------------------------------------------
以上
辻下 徹



目次に戻る

東職ホームページに戻る