独行法反対首都圏ネットワーク

藤高等教育局長の挨拶概要
(2000.10.16 [reform:03199] 工藤高等教育局長の挨拶概要)

工藤高等教育局長の挨拶概要

「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」の第一回会合(8月24日)における工藤高等教育局長の挨拶概要が文教ニュース1589号(9月4日付け)に掲載されています。
                                  10月16日 大学改革情報ネットワーク世話人
                  新潟大学教育人間科学部 森田竜義
                   morita@ed.niigata-u.ac.jp
                  
 ご案内の通り日本の教員養成制度については永い歴史があるわけでございます。その中で常に量と質の両面において大きな課題を抱えておるわけです。懇談会発足にあたりまして一部報道で大変センセーショナルな記事がございまして、委員をお引き受けするにあたりご迷惑をお掛けしたのではないかと心配をしているわけです。若干うがった見方の記事でもございまして、それの修正を兼ねてお話しをします。
 大きな課題が教員養成の場合にあるわけですが、日本の学校指導者養成が進められてきたわけで、戦後、戦前の閉鎖的な教員師範学校型タイプからの脱却を目指して開放性といっている一般大学・学部出でも誰でも教員になれる仕組みにしたわけです。戦後の量的に先生の数が足りないことから大変あわただしい中での教員養成の量的拡大、さらには質的向上に努めてきたわけです。この間、色々な変遷があるわけですが、一般学部をも含めた教員養成の仕組みでは北海道から沖縄にいたるまでの個々の子ども達が同じ教育を受ける優れた教員の維持向上が必要であるので、国立教員養成大学・学部を中心にし教員養成が行われてきたわけです。
 大学紛争を経て大学改革の気運が盛り上がった中で、もう少し新しい形での教員養成を目指す必要があるのではないかということで、3つの新しい教員大学院大学を重点に置いた教員養成が図られたわけです。
 近年、少子化の影響もあって国立でせっかく教員を目指して励まれても教員の就職率が年々低下してきました。いまや3割の水準にまでなってきています。そのため平成10年から今年まで3年間にかけて入学定員1万5千人のうち3分の1の5千人を削減するというドラスチックな改善をしていただいたわけです。量的な問題が必ずしも済んでいるわけではないですが、兼々言われていますが、質的な問題が、逆に顕在化した面がないわけではありません。
 先程、阿部委員のご紹介がありましたけど、私も阿部教職員養成課長に仕えた時に今でも口グセで覚えているのは「教育学の先生が色々な事を研究をするのはいいが、カエルの研究者、枕草子なり源氏物語ばかりやっていては困るのである。それを子ども達にどう教えるか教科教育がいかに大事なのである」が当時の課長だけでなく関係の先生から随分出されたわけです。それがうまくはたして機能しているのだろうかを含めて色々な問題があります。
 他方、学校現場では今さら申すまでもなく子ども達の中で、いじめ、学級崩壊などの問題があるわけです。ただ問題があり1万5千人を1万人に量的な縮減をする大学自身の若干リストラめいた対応もあって、なんとなくシュンとした後向きな気がする。そうはいっても教員養成の需要はなくならない、益々重要性を増していくものであります。そのためにはどうすればいいのか、質的改善についてそれぞれ各界の立場の方々からぜひご意見を賜わりたいというのが懇談会の趣旨です。
 たまたま、今年4月に初めてG8教育大臣会合が東京で開かれ、そこの議題調整で教育改革国民会議が立ち上がる時期でもあったので、テーマの1つに教育問題を取り上げようと私どもが提案したのですが、欧米諸国が大変消極的で色々調べると、もっと日本以上にケタが違うほど問題を抱えているので、彼らの反応はどうしてもこういう問題をやると暗くなる、そうじゃなくて前向きに考えていこう現状と課題風でなくてチャレンジという言葉でこれからの教育を設定していこうということになりました。日本はちょっとした問題があるとマスコミも我々もなんとなく倍加して過剰反応するきらいがないではない。少しちょっとした自虐的な国民性というのか、そういう感じを欧米諸国の方々がもらしていたのが印象深かったのであります。
 別に今の問題あることをネグレクトすることではなく後向きでなく前向きにこれからの教員養成、まだまだ子ども達のために素晴しい先生を送り出す任務があるわけです。そういう要請が高まっているので学部段階でのカリキュラム、教員養成大学自身のあり方なりこれまでにとらわれない新しい世紀に向かって大所高所からのご意見をたまわれればとご協力をお願い致します。


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