(2000.10.2 [he-forum 1305] 平成13年度文部科学省要求科研費)
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高等教育フォーラム 各位 10/2/00
山形大学理学部 品川敦紀
本日全大教より送られてきました「改革」関係資料集第53集に紹介されている「2001年度文部省の大学高等教育関係概算要求」に付属した学術国際局による資料の科学研究費補助金について、下記のような記載がありました。少々危惧を感じますので、ご紹介いたします。
この文部科学省概算要求で特徴的なことは、「日本新生特別枠」を利用しての各種科研費の対前年度6-7%増額しているということと、新たに対照科研費の約30%分の間接経費(オーバーヘッド)制度の導入を要求しているということです。
科技庁審議会での「新科学技術5ヶ年計画」の議論の中で、全体に基盤的経費(通常の校費に当たる経費)を極力抑え(あるいは削減し)る一方での競争的経費の充実とオーバーヘッド制の導入が取りざたされていましたが、この方向が今回の概算要求ではっきりと打ち出されているのが特徴です。
問題なのは、オーバーヘッド制が、今回の要求のような30%程度なら、その研究にかかる水光熱費などの実費分という風にも理解できますが、もしそれが現在議論されているように、50-100%にまで引き上げられるようになると、大学、研究機関の基本的運営経費がこのオーバーヘッドに大きく依存することとなることです。そうなると、そうした科研費のとれ具合によって基本的経費の大幅な変動がおこり安定した研究が困難になること、ま
た、そうした大型のオーバーヘッドのついた科研費のとれない大学、研究機関は、その大学、機関の運営維持すら困難になるでしょう。さらに、大学、研究機関の運営が、特定の科研費をとれる特定研究者に従属するということにもなりかねません。
********資料**********************************
○科学研究費補助金
(前年度予算額141,900,000千円)
要求額152,900,000千円
〈日本新生特別枠14,000,000千円含む〉
(趣旨)
21世紀における我が国経済社会の新生を図るためには、科学技術の基盤であり、科学技術創造立国の原動力となる大学等における独創的・先駆的な基礎研究を推進することが必要である。このため、我が国の研究基盤形成のための基幹的研究経費である科学研究費補助金について、総額1,529億円を要求する。
科学研究費補助金は、我が国を代表する競争的資金であり、「科学技術基本計画」(平成8年)及び学術審議会答申「科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について」(平成11年)等においても、科学研究費補助金等競争的資金の大幅な拡充を図るべきことが指摘されている。今回の要求では、独創的・先駆的な基盤的研究を推進する「基盤研究」等の充実、21世紀の我が国経済社会の発展に資するような研究領域を特定し、機動的かつ効果的に研究を格段に推進する「特定領域研究(C)」の充実などを図る。また、研究機関において優れた人材を確保し、より質の高い研究環境を創出するため、間接経費(オーバーヘッド)制度の導入を図ることとしている。これらによって、さらに多くの独創的・先駆的研究が実施されることになり、我が国の学術研究水準が格段に向上する
ことが期待される。
(1)基盤研究など 71,230,000(内4,900,000日本新生特別枠) 前年比 4,900,000増
(2)特定の研究領域の格段の推進 39,838,000(内3,000,000特別枠) 前年比 2,508,000増
(3)若手研究者のすぐれた研究の奨励 14,770,000(内660,000特別枠) 前年比 540,000増
(4)研究成果普及・公開の促進 3,442,000 前年比 102,000増
(5)すぐれた研究計画の推進 18,180,000 前年比 2,490,000減
(6)間接経費(オーバーヘッド)制度の導入 5,440,000(内5,440,000特別枠) 前年比5,440,000増
単位千円