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大学改革―ビッグバンをめざせ(朝日速報版)
 2000.10.24 [he-forum 1359] 大学改革―ビッグバンをめざせ(朝日速報版)

大学改革―ビッグバンをめざせ


朝日新聞ニュース速報

 国立大学を独立行政法人という組織形態に変えるための検討が文部省で進んでいる。法人としてどんな目標や計画を立て、それをどう評価するか、人事や財務会計はどうするかなど、来年度中のとりまとめをめざす。
 長期的な視点から大学のあり方を考える懇談会も発足し、こちらは今年度いっぱい議論を重ねるという。
 法人化論議は行政改革の一環として始まった。公務員削減の数合わせから出た発想、という面はあったものの、閉鎖的、硬直的な日本の大学を変える格好の機会でもある。
 大切なことは、法人への組織改革を教育と研究の活性化に結びつけることだと思う。
 大学改革はこれまで何度も試みられたにもかかわらず、日本的なあり方が温存されてきた。文部省は、制度を変えても改革に取り組まない大学に不満を募らせ、大学は文部省の強い規制を批判する。
相手をなじりつつ、実はもたれ合ってきた構造を、今度こそ変えなければならない。
 金融ビッグバンによって、金融機関の競争と自己責任の時代が始まった。大学行政にも同じような改革手法が求められている。文部省も大学も、そのことを認識すべきだ。
 大学の現状を憂える声は多い。たとえば西田耕三・名古屋市立大教授は、大学が抱える慢性病として次のようなものを挙げる。
 「過当受験競争病」、入学後の学生に症状が出る「勉強しない病」、教師の多くが患う「教育軽視病」や「学生に役立たない講義を恥じない病」、「研究効率無視病」……(『大学をリシャッフルする』近未来社)。
 最近かかった病ではない。西田さんによれば、四十年以上も続いている。長年の持病を治すには、相当な決意と覚悟がいる。
 国や自治体は支出を増やさなければなるまい。日本は大学・大学院教育に、国公立、私立合わせて国内総生産(GDP)の〇・四%しか支出していない。先進各国の〇・九%から一・五%に比べ見劣りがする。
 高等教育の質を確保する仕組みも考える必要がある。質の評価は難しいが、避けては通れない課題である。
 研究の活性化には、研究者の流動性を高めるのが有効だろう。交流を阻む制度や慣行をすべて洗い出してみることだ。
 国立大学協会の委員会は、法人化した後の教員について、「現行の教育公務員特例法によって保障されている身分が保障されなければならない」との見解を示している。
 法律によって定年まで職が保障されるという今のあり方がいいのか。私立大学や公立、民間の研究所とも行き来しやすい制度の導入を考えてはどうか。若手に早くから独立した研究環境を提供することも大事だ。
 欧州では、国を超えた学生・教員の交流や大学間協力が進んでいる。
 職種や職場の枠を超え、次世代の育成のために協力する知識人たちの姿を見て、ある日本人教授はこう思ったという。「大学改革を、自分の大学がよそより良くなることとしかとらえない日本との、何という違いか」


[2000-10-24-00:27]





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