都立病院改革会議が各病院視察や意見交換へ
(2000.10.17 [he-forum 1343] 都政新報10/10)
『都政新報』2000年10月10日付
●都立病院改革会議が各病院視察や意見交換へ
都立病院の再編整備を検討している都立病院改革会議(座長=高久史麿・自治医科大学学長)の第二回会合が五日開かれ、都側は都立病院・老人医療センターの現状と課題を説明した。また、十人の委員で構成する小委員会を設置し、財政問題を含めた都立病院改革の具体案を検討する。
都立病院・老人医療センターの現状では、国立病院や民間病院との役割分担、高度・専門、行政的医療の考え方、主な医療機能、病院別の経営状況のほか、平均在院日数など経営改善にかかわる各種の経営指標が示された。
一方、都立病院では(1)多くの医療課題を重複して実施している(2)都内には高度医療を行う特定機能病院が多い(3)立地に地域的な偏りがある(4)補助金の百億円削減が求められている−−などの現状を踏まえ、今後の課題として「高度・専門、行政的医療を担うという都立病院の役割は従来通りでよいか」「重複している医療課題は現行のままでよいか」「一般会計が負担すべき経費をどのように明確化するか」などを提起。
同様に、老人医療センターについても、「高齢社会における老人医療センターの役割は従来通りでよいか」「国、民間等との役割分担はどうするのか」「企業会計を導入する場合、一般会計が負担すべき経費をどうするか」などの課題を挙げた。
会議の中では、各委員から「(都立病院の)独立行政法人化を課題として挙げたり、民営化の形態を模索しないのか」「平均在院日数が低く、病床利用率が高いのに、なぜ赤字なのか。その理由がよくわかるデータを示してほしい」「膨大な赤字を抱えていて、高度専門医療をやる必要があるのか。都としてどうしてもやるべき医療を明確にすべきではないか」といった意見や疑問が出された。
独立行政法人化、民営化について、衛生局は「都立病院は地方公営企業法に基づき運営されており、実質的には独立行政法人と同じになっている」「議論の中で民営化の可能性が出てくれば受け止める。ただ、形態については法令等の問題がある」と答えた。
この日の会議では、都立病院と老人医療センターの視察日程を決めた。今月から十一月の九日間にわたって、都立病院十四カ所、老人医療センター二カ所を視察する。次回以降の会議では各都立病院との意見交換を行い、都政モニターなどアンケート結果を踏まえた討議も予定している。