独行法反対首都圏ネットワーク

<射程> 外国で評価されたノーベル
(2000.10.17 [he-forum 1342] 熊本日日新聞10/14)

『熊本日日新聞』2000年10月14日付

  <射程> 外国で評価されたノーベル賞

 ノーベル化学賞に白川英樹筑波大名誉教授が選ばれた。日本人を鼓舞する名誉な受賞である。
 白川さんは報道機関からの最初の知らせに「ええっ、まさか自分が」と絶句したという。テレビのインタビューに答える姿勢は、控えめで温厚。失礼だが、歳を超えたさわやかさを感じた。
 当人は不意の受賞だったようだが、スウェーデン王立科学アカデミーが発表した理由を見ると、大変な研究だったことが分かる。白川さんが開発した導電性プラスチックは「分子エレクトニクス(電子工学)の起爆剤」と絶賛している。
 それに対して国内の評価はどうだったか。白川さんの研究の意義をいち早く評価したのは、同時に受賞する米国の二人の教授だった。その研究はペンシルベニア大学で発展した。悔いの残る経過ではないか。
 今、国立大学の独立行政法人化が計画されている。狙いは市場競争に基づく大学運営の合理化。即効性が尊ばれ十年も二十年もかける研究は排除される恐れがある。
 これでは、学問の流行にとらわれずコツコツと独自の道を切り開いた白川さんのような仕事は、ますます評価されなくなるだろう。若者の理科離れと同様に心配な点だ。


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