弘前大、「白い巨塔」体質改善へ 教官任期制を検討(朝日新聞ニュース速報)
(2000.10.16 [he-forum 1339] 弘前大、「白い巨塔」体質改善へ 教官任期制を検討(朝日新聞ニュース速報))
弘前大、「白い巨塔」体質改善へ 教官任期制を検討
朝日新聞ニュース速報
各講座の教授が大きな権限を持ち、人事や運営などに閉鎖性が強いとされる国立大学の医学部。そうした体質を改善しようと、弘前大医学部(青森県弘前市、遠藤正彦学部長)が、講座制度を対象にした全国でも珍しい外部評価を実施し、教授ら教官への任期制の導入や、人事面などでの不満処理委員会の設置など、改革に乗り出した。
国立大医学部の「講座制」は明治以来続く制度とされる。専門領域ごとに細分化され、教授1人をトップに助教授、講師、助手らが置かれる。専門の研究や教育、学問の継承には利点がある半面、独立性が強いため、外部からの批判を受け入れず、人事や運営が教授の独断になりがちという弊害も指摘されてきた。
弘前大医学部でも昨年12月、付属病院老年科で教授とのあつれきから助教授、助手が一斉に辞任し、診療がストップ。今年2月には、第3内科で十分な説明と同意なしに、大学院生にラットのホルモンと同じ合成物質を注射する臨床試験が行われたことが判明、講座制の弊害が明るみに出た。
このため同学部は、北大、東北大の医学部長、青森公立大学長、地元の公立病院長と弁護士ら外部の5人に委員を委嘱。大学側からの聴取や教官へのアンケートを実施する一方、大学院生以上に本音を聞くため、匿名の投書を呼び掛け、94通が集まった。目立ったのは、講座の中心にいる教授の権限や資質に対する批判、意思疎通不足からくる不満だったという。
4カ月かけてまとめた報告書は、「人間関係の悪さは、職務分掌の不明確さに起因している」と指摘。教授、助教授、講師、助手の役割分担をはっきりさせ、トップの各教授に対しては「権限よりも責任を自覚し、講座の円滑な運営を心がけるべきだ」などとしている。
これを受け同学部は、(1)人事の不満を処理する人事委員会の設置(2)「目安箱」の常設(3)教授の権限と責任の明確化(4)教授の選考方法の改善(5)定年まで身分保障されている教員に、任期制を早期導入することなどを軸に改革策を検討している。
[2000-10-14-15:04]