第2回設置形態検討特別委員会(議事の概要)
(2000.9.1 [he-forum 1232] 第2回設置形態検討特別委員会(議事の概要)
日 時 平成12年7月19日(水) 9:00〜11:15
場 所 国立大学協会会議室
出席者 長尾委員長
中嶋副委員長
丹保、阿部、鈴木、梶井、内藤、佐藤、石、西塚、杉岡、江口、田中各委員
(大学共同利用機関)堀田凱樹国立遺伝学研究所長
(オブザ−バー)大島国立極地研究所管理部長
長尾委員長主宰のもとに開会。
議事に先立ち、委員長より次のように述べられた。
第1回設置形態検討特別委員会の議事の概要は、国大協事務局から各大学にE・mailアドレスを照会し回答のあった93大学に、昨日の午前に送信した。今後ともその都度、議事の概要を送信し、特別委員会の審議状況をお知らせしたい。
〔議事〕
1.専門委員会の運営方法及び専門委員の位置づけについて
委員長より、前回の特別委員会で専門委員会の設置を承認いただいたが、専門委員会並びに専門委員の位置づけ、特別委員会と常置委員会の関係等について不明確な点あるとの指摘があったので、審議願いたい。
これについて種々協議の結果、次のとおりとなった。
(1) 第106回総会で設置形態検討特別委員会を設置したのは、いわば戦時であるので、機動性を発揮し、速やかに緊急事態に対応できる体制として、常置委員会を中心とする審議方式と別の方法を取ったものである。
(2) 調査検討会議の4グループに対応して、A〜Dの各専門委員会が詳細かつ具体的な問題についての実質的な審議をしていただくが、各専門委員会の座長はそれぞれ第1・4・6・8の常置委員会の委員長でもあるので、その取りまとめに際しては十分各常置委員会委員の意見を反映するように配慮する。従って、関連の常置委員会への審議内容の伝達やその意見の反映の仕方等については、各専門委員会の座長の判断に委ねる。
(3) 専門委員の身分は委嘱の経緯に鑑み、前回特別委員会の決定どおり、特別委員会の専門委員とする。
2.本特別委員会及び専門委員会の検討項目について
委員長より、配付資料「『設置形態検討特別委員会』における検討項目(集約したもの)」(修正したものを添付)に基づき、全体としての課題、A〜Dの各専門委員会の検討事項の案の説明があった。
これについて逐次協議した結果、特別委員会及びA〜Dの各専門委員会において、以下の項目を追加して検討を進めることとなった他、各専門委員会の検討項目に重複があるが、それぞれの視点から検討を進めるととともに、審議漏れ防止の意味でも、必要に応じて検討項目に関しては幅広く解釈し検討を進めることとなった。
(1) 全体としての課題に次の項目を追加する。
○地方自治体と国立大学または公立大学との関係
○公的投資等における他省庁との関係
○法人の役員・組織(部局長の取扱いを含む)
(2) 専門委員会「B 目標・計画・評価」の検討項目に次の項目を追加する。
○基礎研究の擁護
(3) 専門委員会「C 人事システム」の検討項目に次の項目を追加する。
○教職員及び学生定員の問題
○教官組織の在り方
○教員の流動性を確保する仕組み
また、大学共同利用機関代表の堀田国立遺伝学研究所長から、次のような発言があった。
大学共同利用機関としては国立大学と一緒にやっていく方針であるので、よろしくお願いしたい。一昨日、所長懇談会のタスクフォース会合を開催した。会議には文部省の研究機関課の担当官も出席し、説明を聞いた。その中で、内容の変更はないと説明はあったが、調査検討会議の「法人の基本グループ」が「組織業務委員会」と名称変更したとのことである。我々としてはまず基本的・根本的な問題を明らかにした上で、細部の検討に入るのが本来の検討の進め方と考えるが、「組織業務」となると非常に限定的な感じを受け、危惧の念が生じたので、その点を質問したが、そのような意図はないとの説明であった。
しかし、組織業務委員会は7月31日、他の委員会に先駆けて開催するとのことで、そこで基本的な流れが決まってしまう可能性があるのではないかと危惧するので、是非、国大協としてもきちんとした対応をお願いしたい。
3.今後の審議の進め方について
委員長より今後の審議の進め方について諮られ、協議の結果、次のとおりとなった。
(1) 次回は、東京大学の国立大学制度研究会が「国立大学の法人化について(中間報告)」を取りまとめたので、その座長である青山副学長にご出席願い、説明を聞く。
(2) 次回からは全体的な流れを見ていただく必要があるので専門委員にも出席願う。
(3) 特別委員会の検討項目である「全体としての課題」については、フリーディスカッションでの意見収斂は困難なので、各委員の意見・考えを、来る7月31日迄に国大協事務局宛に提出願い、次回の特別委員会で審議する。
(4) 各専門委員会で分担事項の審議を開始してもらい、その審議状況を本特別委員会で報告する。
以上をもって本日の議事を終了した。
(備考)第3回特別委員会は、8月10日(木)14時〜17時(学士会分館6号室)に開催。
2000. 7. 19
「設置形態検討特別委員会」における検討項目(集約したもの)
全体としての課題
○ 国立大学の使命(accountability)と法人化の意味、大学改革の意味
○ 大学共同利用機関、公私立大学との関係
○ 大学の自主性・自律性と学問の自由、大学の国際化とは何か
○ 大学政策の審議機構について
○ 科学技術・教育研究の抜本的な整備、国費の投入、拡充について
○ 地方自治体と国立大学又は公立大学との関係
○ 公的投資等における他省庁との関係
○ 法人の役員・組織(部局長の取扱いを含む)
専門委員会「A 法人の基本」における検討項目
○ 法人の長に与えられた権限(人事・財務)
○ 監事の業務、権限等の明確化
○ 大学の設立、統廃合等を行う場合の許可手続きと、法人の主体性
○ 評議会、教授会、運営諮問会議など大学の組織と権限、大学の管理運営体制
○ 教育研究機関としての大学の名称、設置目的、定款、国の責任、関わりとその範囲
○ 大学の自治、学部の自治
○ 学長、副学長、部局長、事務局長、その他の教職員の任免の仕方
○ 通則法と「調整法又は特例法」の関係、文部省と各大学との関係
○ 大学の経営体制及び執行体制、役員組織の規模・構成・役割、部局長等の位置づけ
○ 事務組織のあり方、改変等における主体性
○ 支援法人、後援法人などの設立、民間等との連携事業、等のあり方
○ 法人業務、業務方法書の内容と学問の自由との関係
○ 学部、大学院、附属研究所・施設、センター等の位置づけとその組織の自己決定
性、時限付き機関の取り扱い
○ 学生定員、教職員定員、学費等の決定、入学試験等についての国の関与のあり方
○ 知的財産権等の所在
○ 国の監督に対するそう争訟の可能性とその具体的手続き、法人が訴訟対象となっ
た場合の問題処理(責任の所在、賠償金の出所など)
専門委員会「B 目標・計画・評価」における検討項目
○ 大学評価・学位授与機構による教育研究の評価システムと主務庁の評価委員会との関係
○ 主務省の評価機関が大学評価・学位授与機構の判断を踏まえるだけでは不適、主務省が直接法人評価に関わらない仕組みが必要
○ 管理運営体制の必要方法、システム等
○ 評価の客観性、公平性の維持
○ 多元的な尺度に基づく評価
○ 大学における長期目標の設定を認め、その中で中期目標・長期計画を作るべきこと。中期目標・中期計画の作成にあたっての各大学からの事前の意見聴取・事前協議の必要性と方法
○ 法人の主体性確保のために中期目標・中期計画の妥当性、透明性、公平性の確保をすべきこと。あるいは中期目標、計画とも国のかかわりの対象からはずし、法人の主体性にまかせること。
○ 運営費交付金に対する国の一律的な財政削減等の適用を排除でき、一律的な財政削減や人員削減等を中期目標に入れることをさせないものであるべきこと。
○ 中期目標・中期計画の変更手続きの簡略化、大学からの異議申し立ての仕組み
○ 大学内各部局の目的・理念の違いの扱い方
○ 総務省における評価委員会との関係
○ 基礎研究の擁護
専門委員会「C 人事システム」における検討項目
○ 教育公務員特例法の適用、運用、あるいは変更、また新たな規定の追加
○ 学長(法人の長)は大学の申し出によって大臣が任命すること
○ 学長のもつ人事権、法人の役員と人事権、その範囲、教官人事のあり方
○ 教職員の身分、任期制との関係、法人間、民間企業、国との間の人事交流のあり方
○ 各種の雇用制度の導入、教員のテニュア制度、サバティカル制度などの検討
○ 教職員の任命、給与、勤務条件、服務等
○ 事務職員の配置換え、権限、人事考査、職種等についての検討
○ 公務員と「公務員型」との相違、非公務員型の可能性
○ 労働三法との関係、人事院関係事項の取り扱い、労使交渉が行われることに伴う労務管理システム
○ 監事の選出における大学の関与の仕方
○ 事務局長と経営担当副学長との関係
○ 外国人教員の取り扱い
○ 教職員及び学生定員の問題
○ 教官組織のあり方
○ 教員の流動性を確保する仕組み
専門委員会「D 財務会計」における検討項目
○ 第1常置委員会の報告書「財政問題に対する検討結果について(第一次報告)」を十分考慮すること
○ 現在使用中の国有財産、国有地等を大学に移管すること
○ 老朽化、狭隘化しているものについては基準に合ったものとする保証を別途、国が約束すること
○ 中期計画を策定するときの算定方式
○ 国家会計法、国有財産管理法などの簡素化
○ 予算執行の自由度と手続きの簡素化
○ 収益部門とオーバーヘッドの在り方
○ 法人化した場合の税制上の優遇措置
○ 財源確保の方策、法人財産の処分、積立金、収益金の取扱い
○ 基盤的経費と競争的資金などのあり方
○ 企業会計原則の検討と、大学への適用における修正の可能性の検討、独立行政法人会計基準
○ 運営費交付金の算定方法、大学評価等との関係
○ 授業料の決定方式、授業料免除、奨学制度のあり方
○ 寄附金等の外部資金の取り扱い、その税制の改革
○ 国立学校特別会計の借入金の返済
○ 長期的な施設設備の仕組み
○ 地方財政再建促進特別措置法人化第4条第2項による地方自治体からの寄附・出費の問題
○ 他への出費・関連法人の設立の可能性
○ 長期借入金の可能性
○ 土地、建物等の試算の管理・運用のあり方
○ 対外的な巨額賠責任が生じた時のための対応