独行法反対首都圏ネットワーク

2000.9.18[he-forum 1276] 「人事委員会」第1回会合(文教ニュース)
文教ニュース第1590号(9月11日)

独法化「人事制度委員会」第1回会合開く
―主査に梶井農工大学長、事務職員の人事の在り方など幅広く議論―

「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」の4つの委員会の一つ「人事制
度委員会」の第1回会合が9月4日、霞が関の東海大学校友会館で開かれ、主査に梶
井功委員(農工大学長)、副主査に河野俊二(東京海上保険会長)、田中健蔵(福岡
歯科学園理事長)の両委員を互選した。冒頭、工藤高等教育局長が独法化の経緯や文
部省の方針について挨拶して理解と協力を要請した。
工藤高等教育局長の挨拶趣旨は次の通り
 「日本の高等教育を振り返ると明治10年の帝国大学以来着々と発展して、今日で
は国公私立大学を含めると4年制で650校を数え短大を含めると1,200校を超
える大学・短大が我が国の高等教育を支えている。その中で国立大学は4年制で99
校、独立の短大が3校あり、この国立大学のあり方が色々と問われているのが最近で
あります。この国立大学の101校が多いのか少ないのかそれぞれ立場や見方で色々
と議論のあるところだが、少なくとも欧米諸国をみるとアメリカは私学が多いわけだ
が、州立大学で学生の8割近くを占めていることを考えると、我が国は高校以下の初
中教育はそれぞれの地域・地方が責任を負いそれを国が支援する、高等教育はかなり
が私学で、私学に対する助成が多いかというとじくじたるものが禁じえないが、今は
国立の設置形態のあり方が問われている。
 各大学等で、色々な議論が行われているが、色々な不安がまず先立っている。そも
そも独立行政法人化というのが行政改革の中の効率性、切り捨てを前提にしてスター
トしたので、学問の府たる大学になじむのかの議論が多々あるのは知っている。また
他方、これを機会に大学の活性化につなげていこうという議論をも受けている。
経緯はともかく、今の国立大学のあり方におかしい点は沢山あり、そもそも国立とい
っても行政機関の一つでしかない。それに伴って定員機構、予算、人事等なり色々な
拘束、不自由なところをかこっている部分がある。国立大学の設置形態のあり方につ
いては外部や大学人を含めた場で検討されてきた経緯がある。古くは昭和46年の中
教審答申で大学のあり様で新しい形態の法人化が検討されるべきという若干時代を先
取りしすぎた提言があった。
 その論点の一つ二つは、大学が今までのように行政機関の一員という位置付けがよ
いのかどうか、私があちこちで勇み足風に言って反発を買っているかもしれないが、
日本の大学も自治というのはかなり極端な形で国立大学に定着している。国公私立を
通してなんとなく教授会の自治や部局の自治の名の下に、全学的意思形成、全学的改
革や努力が若干阻害される面もないではない。大学の管理運営のあり方をもう少し見
直そうという中で色々な提言がされている。
 独立行政法人という全く新しいスキームであるが、他方で近年、各大学で大学改革
が固く静かに進んでいるわけで、これまでの不自由な部分をいかにゆるくし、これま
でのよさをどう生かしながら新しいスキームをつくっていくべきかについて知恵を拝
借したいというのがこの委員会の趣旨である。
 先の中曽根大臣、その前の有馬大臣の頃から各大学長、機関長の前で一度検討して
みないかと、検討の値すべき仕組みではないかと、検討に値するチャンスであり値す
る仕組みではないかと考えを示している。大学のあり方として全く独立行政法人とい
う名でない議論もあり得るわけだが、日本の形態だと大学の設置者としては、放送大
学を除くと国か地方自治体か学校法人である。国立からはずれて学校法人になるとい
うのもひとつの選択肢であるが、必ずしも私学助成が十分でない中で、学校法人にな
っていままでのよさが十分に発揮できるかどうか、特に国立大学で研究上人材養成に
果たしてきた役割を考えると国立大学を折角国の支援が必ずしも十分でない独立体と
してやっていくことが日本の将来の高等教育のためにいいのかどうかと感じる中で、
一定の国のかかわりを保持しながらかつ大学の自主性、自律性を高める方法としての
独立行政法人化のスキームを検討に値するというのが私どものスタートラインである。
 既に発行している独立行政法人を律する通則法は、このまま大学の適用しにくい部
分があるので、色々なファクターを含めて色々どこをどう手直しすれば大学に適合し
た仕組みになるかについて考えて、21世紀の日本の国立大学の新しいあり方を探る
知恵をたまわればありがたい。
 役1年余りの審議になるのではないかと思うが、協力をたまわりたい。」
 委員会では「企画立案機能と実施機能の分離と国立大学との関係」「法人の長と学
長との関係」「事務職員の人事の在り方」「中期目標の内容のレベル」「大学ごとに
異なる設置形態の可能性」「公立大学に対する扱い」など、幅広い課題が議論となっ
た。次回は、10月11に開催する。
 一方、7月31日に第1回を開いた「組織業務委員会」(主査阿部博之東北大学長)
は8月31日に第2回会合を開き、検討課題と検討スケジュールについて議論した。
そこでは「独立行政法人の目的と国立大学の目的との関係」「独立行政法人化後の国
立大学の設置者の位置付け」「先行独法化機関に関する資料の入手」「納税者の視点
に立った国立大学の在り方」「競争原理の導入の必要性」などについて議論した.次回
は9月20日に開催する予定。   

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