独行法反対首都圏ネットワーク

2000.9.8[he-forum 1257] 東京新聞09/07
『東京新聞』2000年9月7日付夕刊

東工大一貫教育
付属高入試も改革へ

 東京工業大学(内藤喜之学長)は七日までに、付属の工業高校と大学の一貫
教育を行う意向を固め、学内に検討部会を設置した。大学受験のための知識や
技術にたけている人でなく、創造力やひらめきを持つ学生を発掘して学部まで
の七年間の一貫教育で才能を伸ばすのが狙い。受験競争が激化しないよう、高
校段階での入試も抜本的に改革する。中学と高校の一貫教育は各地で始まって
いるが、高校と大学の一貫教育は異例。実現すれば、国立大としては初めてと
なる。

 同大学では、大学の将来像を検討している「二十一世紀の個性輝く東京工業
大学検討委員会」の下に「付属高等学校改革検討部会」を設置することを決定。
近く高大一貫教育を含めた検討を始め、来秋までに結論を出す方針だ。

 大学の独立行政法人化もにらみながら、約千百人の学部定員のうち、最大で
付属高校の定員全員分(二百人)の特別入学枠を設けることを目指している。
実現が難しい場合は、実験的に数十人の枠を設けることも視野に入れている。

 高大一貫化と関連して、高校のカリキュラムや入試も抜本的に見直す方針。
付属高校出身者は、科目の未履修などで基礎学力が不足する場合も想定される
ため、大学入学後の補習教育についても改善を検討する。大学段階では進級を
厳しくし「入りやすく出にくい大学」を目指す。

 入試で付属枠を設けるなどした高大一貫教育は、一部の私立高校・大学で行
われているが、国立大学ではこれまで例がない。一般の受験生との間で不公平
が生じる恐れがあることから文部省は難色を示すとみられ、実現までには曲折
も予想される。

 東京工大付属高は全国唯一の国立大付属工業高校。各都道府県の工業高校の
カリキュラム研究開発などが設置目的とされている。現在、本科卒業生の八割
が大学に進学しているが、入試の難易度が高い東工大への入学は年に一人程度。

感性の多用さ重視

内藤喜之学長の話  受験一辺倒で失われがちな感性の多様さを重視する意味
でも、高校からの進学枠を設けたい。(受験エリートとは一風異なる)偏った
人を受け入れる大学があってもいい。発明や発見はずっと勉強したからできる
のではなく、ちょっとセンスが違うものだ。(高大一貫のためには)受験競争
を起こさないため、高校入試も変えないといけない。感性を問う試験を作るた
めに学内の英知を集める。

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