独行法反対首都圏ネットワーク |
2000.8.24[he-forum 1208] 第8回国立大学在り方懇談会(文教ニュース)
「文教ニュース 第1583」(7月24日)より
文部省の「今後の国立大学の在り方に関する懇談会」の第8回会合が7月19日、 千代田区竹橋のKKRホテル東京で開かれ、大島文部大臣が就任の挨拶と独法化の検討に ついて要請した。会合には、阿部勤也、石川忠雄、井村裕夫、海原猛、江崎玲於奈、 小田稔、田中郁三、前川正、吉川弘之の全員が参加し、活発な自由討議を行った。 懇談会での自由討議の要旨は次の通り。 ○基本的な検討の方向性はいいが、次の世代の大学にふさわしいものとするため、大 学の自由な裁量を拡大していくことが必要。この際、大学の大きな課題である施設整 備について、独法化後もどのように続けていくのかといった点、また、独法化後は各 大学の裁量が大きくなり、学長は単に研究業績だけでなく行政能力をもった者を選考 する必要があり、その方法をどうするのかといった点について十分検討すべき。この ほか、独法化後の学長と組合との関係を円滑にしていくための配慮も必要である。 ○国立大学の独法化の問題が行政改革の中からでてきたのは不幸なことである。各大 学は、行政改革の面から予算が削減されるのではないかと危惧している。予算の削減 は絶対にすべきでない。我が国は、文教関係なかんずく文化関係予算が少なすぎる。 また、現在の我が国の国立大学の研究水準は低く、世界の研究競争の中で生き残れな い。これは、教授会による大学自治、研究重視、悪平等の国立大学のいわゆる三悪に あると思う。世界の学界と競争できる大学作りのためには独法化が必要である。また 、任期制の導入も考えるべき。 ○近年、私立大学においても優秀な研究者を多数輩出しており、私立大学の研究機能 の強化も必要である。 ○国と独法化後の国立大学との関係をどうするのかといった点、概算要求はどうなる のかといった点、独法化後の国立大学と私立大学の関係はどうなるのか、特に、現在 の国立大学の機能はそのまま独法化後の国立大学に引き継がれるのかといった点など 、独法化のバックグラウンドについて検討する必要がある。 ○国立大学のよさである、安定的な基盤、大きな研究の自由といった点はどのような 方向にもっていくのか良く検討する必要がある。 ○国立学校特別会計では一般会計からの繰り入れが年々減少しており、現在60%を 切っている。独法化により、運営交付金の交付ということになろうが、国の負担率の 減少がますます加速化されるのでは、との危惧を国立大学側はもっている。また、当 積算校費は維持されるのか。こういった点をまず明確にする必要がある。 ○独法化の検討を、今後、調査検討会議における検討と併行して、この懇談会におい ても、特に独法化の哲学といった点を中心に、引き続き検討していくこととしてはど うか。また、調査検討会議とも絶えず情報交換を行うべき。 ○先行独法化機関の中に、明確な理念をもたないため、抵抗の少ない方向へ議論が流 れているものもある。国立大学の独法化は21世紀の日本を左右する重大な問題であ り、十分な議論が必要である。