独行法反対首都圏ネットワーク

2000.8.22[he-forum 1199] 琉球新報社説08/21
『琉球新報』2000年8月21日付社説

教員課程再編・効率性だけでいいのか


 大学はいま、独立行政法人化問題にさらされているが、今度は教員養成課程

がある国立大学・学部の縮小、統廃合の再編計画に向けて文部省が動きだした。

来年三月までに結論をまとめる方針という。



 大きな理由として、少子化の影響で小中学校教員の採用数が年々、減少して

いること、教員養成課程を卒業し、教員になった割合が十年連続下がり続け、

昨春は過去最低の三二%であったことなどを挙げている。再編の内容は地域ブ

ロックごとに統合することや、さらなる定員の縮小などだ。



 不登校、いじめ、体罰、校内暴力など、学校を取り巻く状況はかつてなく厳

しい。大分で起きた十五歳少年による一家六人殺傷事件などにみられるように、

少年犯罪も凶悪化。その背景として学校教育と家庭教育の関連が常に指摘され

ている。これらの問題解決能力で資質の向上がより求められているのが教職員

である。



 こうした中、教職の専門家を育成する養成課程をなぜあえて、いま再編しよ

うとするのか。一方で文相の諮問機関である教育職員養成審議会は教員研修の

在り方で答申を行った。教育学部は教員養成の機能ばかりではない。少子化な

どである程度の再編、縮小には理解を示している大学でも地域の教育センター

的機能を果たしていることを無視して全く廃止されることには強く反発してい

る。当然だ。



 大学の独立行政法人化問題もそうだが、もともと、教育や研究は効率性の観

点にはなじまない。もちろん大学の組織や研究体制、職員の身分制度の在り方

は固定的であってはならないし、時代と状況に応じた改組、改善には大学自ら

積極的に対応すべきである。



 教育は国家百年の大計といわれるように、人材を育てるのは国が発展してい

くための根幹にかかわる。



 もっぱら効率性だけを前面に押し出した教育改革には反対する。むしろ教員

の枠を減らすことなく、国民の要請が強い少子化時代に対応した三十人学級を

実現することが先決であろう。

 

  


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