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2000.8.21[he-forum 1198] 沖縄タイムス社説08/21
『沖縄タイムス』2000年8月21日付社説
少子化が教育全般に及ぼす影響は底知れぬものがある。 単純図式で考えても、入学する子どもが減れば、先生の絶対数も少なくなる。 逆に空き教室はどんどん増える計算だ。 それが小学校から中学、高校、大学へ連動する。 今がまさにその最中だと言えようか。 とはいえ、これからも少子化はなお進むという。 十八歳の大学受験人口で見ると、二百五万人をピークに減少の一途をたどり、 現在は百五十万人まで落ちた。近い将来には百二十万人ラインを予想する。 受験生が、ピーク時の六割弱まで落ち込むのだから、各大学にとって定員確 保は至上命題となる。景気回復が長引いており、授業料の高い私立大学は、学 生集めで一層し烈にならざるを得ない。 国立大学だって安閑としていられないのは確かだ。改革に取り組んでも、独 立行政法人化が論議され、先行きは不透明である。 文部省は、教員養成課程がある国立の大学・学部の再編、統合を検討する懇 談会を発足させるという。 少子化で、小中学校教員の採用が減ったのを理由とする。 教員養成課程は、三つの私立大以外はすべて国立大学にある。人材育成を目 指した戦前の師範学校を引き継ぎ、新潟県を除いて各都道府県に一校ずつだ。 教員採用の減少とともに、学部の卒業生が教員となる割合も十年連続して下 がり続け、昨春は過去最低の三二%というのも関連している。 懇談会は、地域ブロックごとに統合するスリム化や小学校教員養成のみの大 学など検討する方針だ。 大学や地域の反発は当然だろう。学部が地元教育の核として、教育現場と連 携しながら果たした役割は大きい。 離島県の本県に照らせば、小学校教員の大半や、中学校教師の多くが琉球大 学の教育学部卒業生だろう。もし、教員養成課程が廃止されるとすれば、県教 育への影響は計り知れない。 懇談会は、少子化時代の教員養成や大学運営などを論議してほしい。具体的 にどうするかは大学や地域に任すべきだ。