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2000.8.17 [he-forum 1186] 毎日新聞8/16
毎日新聞 2000年08月16日
東北大(阿部博之学長、学生数約1万3000人)は、韓国ソウル大、米カリフォル ニア大バークレー校など世界約20カ国の約80大学と共同で、単位互換制度の導入や インターネットで講義を行う、地球規模の大学ネットワーク構想の実現に乗り出す方針 を固めた。IT(情報技術)や環境問題など国際的なテーマの研究体制を整えるのが狙 い。国立大の独立行政法人化が検討される中で、東北大が生き残りをかけて構想を発案 した。文部省も「これほど大規模な試みは日本の大学では前例がない」と注目している。 この構想は21日に仙台市で開かれる「21世紀の研究と教育に関する国際シンポジ ウム」で共同宣言として採択される予定。その後、東北大は各大学と具体的な協議に入 る。 構想では、各大学で受け入れた留学生が受講した講義の成績を正式に評価し、留学生 の自国の大学の単位と認定する単位互換制度の導入▽インターネットを利用して大学相 互に教材を提供し、指導する「サイバースペース・ユニバーシティ」の実施▽アジアや 米国の大学と共同で、環境や人口問題を研究する組織の設置・運営▽大学院生を若手研 究者と位置づけ、長期間、第一線の研究者とともに活動する場の提供――など7項目の 実現を目指す。 単位互換制度は欧州の大学では実施されている。また、インターネットを利用した講 義は、米国の7〜8割の公立大で導入されているが、「日本は5年ほど取り組みが遅れ ている」(清水康敬・東京工大教授)という。 今回の構想の背景には、少子化と国立大学の独立行政法人化で、優秀な学生を確保す るための激しい大学間競争が予想されるうえに、温暖化や食糧不足など地球規模の問題 が深刻化する中で、国際的に通用する教育環境を提供するのに学内だけの授業では限界 があるためだ。 東北大が交流協定を結んでいる25カ国137大学に構想への参加を呼びかけ、モス クワ大、北京大など約20カ国の約80大学が理解を示した。東北大では「情報革新で 国際化が急速に進み、グローバルな視点での大学改革が必要になった。各国の大学の良 い点を吸収し、広い視野を持った人材を育てたい」と話している。 【田中 泰義】