独行法反対首都圏ネットワーク

参加撤回要求の重要性(NHK報道問題の感想)
(2000.7.21 [he-forum 1122] 参加撤回要求の重要性(NHK報道問題の感想))

北大の辻下です。

 NHKの7月15日朝の報道について18日に国立大学協会会長と国立大学学長宛の要望書の送付を予告しましたところ同日夕方までに20大学から33名の賛同を得て計36名連名で19日に国立大学協会会長へ送付し、きょうまでに野田さんと佐賀さんと手分けし、99国立大学長宛に、電子メールまたはファックスで要望書を送りました。

 18日と19日にNHK社会部の記者の方と電話で話しをする機会がありました。「誤報」と言われることは承服できないとのことでした。「文部省が独立行政法人化の方針を決めた」と「独立行政法人に移行させる方針が決まっている」との間には実質的な違いはない、だから訂正はしかねるということでした。しかし、短いニュースの何気ない一言こそサブリミナルな影響を瞬時に与え、独立行政法人化が決まったという思い込みを深め、今後、国民の理解を得るために努力しようとしている大学関係者にとっての困難が増す、という主張は理解してくれたようで、今後は注意するということでした。(なお、今回のことが、NHKは独立行政法人化について偏った態度を持っていてけしからん、という方向に批判が広がることを記者は懸念していました。これまでのNHKの独立行政法人問題の特集などの内容からすれば、今回の問題を越えてNHK批判をすることは妥当ではないと個人的には思っています。)

 なお、記者の方は、文部省が設置する(独立行政法人化の詳細な制度設計のための)調査検討委員会に国立大学協会が参加することは、国立大学が独立行政法人化に向けて一歩踏み出したと考えるのは当然ではないか、という点を何度も強調していました。それと同時に、6月14日の蓮見会長記者会見の内容は、記者の立場からすると、報道して視聴者に理解して貰えるのに必要な「安定した意味」(いわばrobust な意味)に欠けていたと指摘していました。この指摘は、記者会見の内容を知った時に私が感じた何とも言えない不安定感と符合していて驚きました。要するに、調査検討会議参加の唯一の<安定した解釈>は、「調整法次第では独立行政法人通則法+調整法でOK」というものなのです。記者会見で蓮見会長が、調査検討会議への参加意図は何も確定していないことを文才と機知とを動員して強調されていましたが、それは次の瞬間には誰の頭にも残らないほど「無理で不安定で不自然な弁明」にしか成りえないもので、結局は報道されませんでした。

 国立大学協会は、独立行政法人化が既定路線という先入観が広がることへの歯止めとして、この機に文部省方針決定について正式な見解を述べ、国立大学協会総会の合意について明確に語るべきであると思っています。

 ところで、この「事件」は、現在の野田さんが中心となって呼びかけている、調査検討会議参加撤回要求の運動の重要性を強く感じさせました。確定した意味をもたせまいとしても行動は独自の意味を伴っており、それが好むと好まざるとにかかわらず行動の性格を決めてしまうのです。「6月14日の国立大学協会の合意は、4つの合意事項以外には何もない」などという主張は、大学内でも大学外でも通用するような主張でないことは明らかです。「独立行政法人化を条件付きで容認した」−−それが6月の国立大学協会の紛れもない合意です。そうではなかった、という学長が多数おられるのであれば臨時国立大学協会総会を開き参加を撤回すべきです。一部の大学が抜け駆けをするのならすればよいのです。その場合には調査検討会議の結論は「私的なもの」に留まり、文部省や一部の抜け駆け大学が国民やマスコミや同僚からの批判をどこまで躱せるか、それは決して容易なことではないはずです。

 野田さんから近い内に連絡があると思いますが、調査検討会議参加撤回の賛同者数は300に近づいています。7月31日の第一回調査検討会議開催の前に、国立大学協会に要望書提出する予定です。1次募集締切は過ぎ居ましたが、ぜひ、撤回に賛同される方は今からでも加わって下さいますようお願いします。

 なお、調査検討会議とは独立に、広く国民から支持される具体的改革案を形成する共同作業の開始を呼びかけたいと思っています。



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