独行法反対首都圏ネットワーク

南日本新聞7/9付、コラム
(2000.7.9 [he-forum 1090] 南日本新聞07/09)

『南日本新聞』2000年7月9日付コラム「南風録」

地方の時代とは名ばかりだ。明治以来の中央集権構造は、地方の力を奪った。徳川幕府を倒した薩摩の気概は歴史に封印され、今の鹿児島にうかがうすべもない。

 「法人化は大都市中心の論理。中央対地方の構図で闘う」。鹿児島大学の田中弘允学長が断固反対の声を上げるのは、国立大学の独立行政法人化。行政改革の一環で、文部省は国立大学を国の組織から切り離す法人化方針を正式表明した。

 法人化によって、国立大は教職員給与や予算執行で、効率的運営が求められる。研究評価を基に国が配分する運営交付金、産学協同による研究費調達など、地方大学は大都市に比べて不利ではある。

 「国立大学は絶滅寸前。しかし、絶滅に加担しているのは、教員のエゴと甘えと無関心。地方国立大学にとって不治の病かもしれない」。鹿大大学院連合農学研究科の三浦知之教授は、法人化に対する教員の危機感のなさを「自戒も含めて」訴える。鹿大は法人化に反対を唱えるだけで、納得できる対案を示せない。中央の論理を押し付けられ、ぬるま湯に慣らされた地方大学は、自由裁量の運営と独自性の要求に戸惑うばかりだ。

 深刻な少子化も大学運営を圧迫する。県内の私立大学は、女子大の男女共学や校名変更など生き残りに懸命だ。鹿大も独自の改革で、地方の自立を示す気概が欲しい。

 夏休みも間近。講義のないこの時期に教員の知恵を集めれば、世論の支持も得られるはず。大学淘汰(とうた)の時代は目前に迫る。



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