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都立大から、情勢報告
(2000.7.4 [he-forum 1080] 都立大から)
都立大学の五十子です。6月の大会から組合の副委員長になりました。ご挨拶代わりに以下のメールを発信します。
みなさん石原知事の発言に驚いておられると思います。最近の大学の状況と私見を若干申し上げます。
6月29日、組合の大会が開かれました。そこで議論された中で石原知事に対する議論を紹介します。石原知事について次の3点を見ておくべきと言うことです。ご承知のように青嵐会に所属していたことから想像されるように1つは右翼的考えを持っているということです。2つ目はこれと関連すると思いますが、弱いところは徹底的に追及してくる。したがって逆に強く出れば退くという面も持っていると云うことです。3つ目はウソを云うことです。東京都は巨大な都市である故に巨大な財政を持っておりある面では大きな事がなし得る可能性がありそれを1つのパフォーマンスとしてやろうという面も一方にあるとおもいます。
つぎに石原知事の教育行政に対する考え方です。東京都は教育庁の位置付けを高くして、教育長を副知事級に位置付けし、権限を強化しようとしている事が見られます。そして従来中等教育までが守備範囲であったのを高等教育まで管理しようという動きが見られます。これは7月の局長級の人事異動ではっきり現れると思います。これまで都立大学は設立当初は知事部局のひとつである総務局の中の一部署でしたが、現在は独立部局で都立大学局となっています。美濃部革新都政の頃は都立大総長は副知事級の位置付けとも云われていました。話題に上っている4大学のうち科技大と短大は私立高校や各種学校を所管する総務局のなかの学事部が担当する部署で、保健科学大学は衛生局の所管です。したがって4大学の問題は3つの局に関わる問題ですが、4大学統合は、教育長を格上げする事によって、教育庁が他の局より上位に位置付けることによって、初等・中等・高等教育を一元管理するような強力なな組織を作り、教育行政を一気にコントロールする意図が背景にあると見ることができます。石原流の教育改革。マスコミに流されている知事発言はこれらを示していると言えるでしょうし、適度にマスコミに流すことは、石原知事は何かやるのではという期待感さえ持たせる演出で、世論操作ともいえるでしょう。
話題の4大学統合については、それぞれの大学ではそれを前提にした議論は未だされてはいないといえます。メリットを見いだすことができないのと、場合によってはそれぞれが統合の犠牲にされかねないという懸念があるからでしょう。
都立大学では6月13日に「新・東京都立大学改革2000」が総長提案として出されました。各学部教授会でこれについて既に議論がされ、6月29日には全学教職員を対象とした意見交換会がありました。この会で出された意見は総長提案を是とする意見は圧倒的に少数であったのですが、否とする意見に応じる姿勢は総長には見られませんでした。7月24日の評議会で決定し、大学の対都意見にするという事です。総長提案が各学部の教授会が大勢として承認されているという状況があるのでしょう。
この計画の位置付けは、秋に策定される都の「東京構想2000」(50年後を見通しつつ、15年後の東京のあり方を構想する)の都立大学政策という位置付けです。「新・都立大学改革2000」は目標に社会に開かれた大学として1)社会との連携、2)出口評価に対応する学部教育改革、3)全
教育体系の改革を促しうるような入試改革の3項目を重点課題として掲げています。
1)では人文科学研究科院生教育部にいくつかの専門コースを置く(MだけあるいはM+Dコース)、法学政治学研究科院生教育部にロースクール(Mコース)、経済学研究科院生教育部にリフレッシュを目的にビジネススクール(M+D)、主として都市科学研究科に公共政策学院(M、専修コース)を新設、科技大と都立高専との連携でエンジニアリングスクール(M)、都市研の充実、フロンティアセンター(産学公連携の拠点)の新設、統合先端科学研究科の新設を掲げています。2)は省略しますが、3)ではアドミッションオフイスの導入、入試科目の増加によって入口管理をする。そしてその他の重点事項として、大学院部局化(現在、理・工のみ)をすすめこれを大学の基本組織とする。組織編成は大学院研究科(研究部(教員組織)+教育部(院生教育組織))、学部(学部教育組織)、連携部(社会とのインターフェイス(アドミッションオフイス、フロンティアセンター、都市研究所))の3組織にし、管理運営と説明責任については運営諮問会議を設置し、助言と勧告を求め、学生評価を含め自己評価をおこない、大学評価・学位授与機構の外部評価を積極的に受けるとしています。
以上が計画の大雑把な「改革2000」のまとめです。意見交換会で賛成意見が殆どでなかったのは当然と思います。