独行法反対首都圏ネットワーク

国立大と地域/大学はもっと働き掛けを
(2000.7.4 [he-forum 1078] 河北新報社説07/03)

『河北新報』社説2000年7月3日付

国立大と地域/大学はもっと働き掛けを

 国立大学を国の組織から切り離して法人化する改革が、動き始めた。法人化は地方の大学の衰退につながる心配がある。東北の7つの国立大は、どう対応していくのだろうか。
 国立大学協会(国大協)としての当初の反対の意向は知られている。しかし、地元の大学の個々の考え方、将来展望はあまり示されていないのではないか。国立大と地域との連携を深めるために、大学関係者は地域への働き掛けをもっと強めてほしい。
 文部省が、全国99の国立大学を法人化する方針を正式に表明したのは、5月末。6月の国大協総会は、文部省の検討会議に国大協代表が参加することで合意し、新しい制度づくりの論議が始まることになった。
 法人化はもともと行政組織のスリム化、効率化を目指す行政改革の一環で、国大協は当初「効率化の観点は、大学の教育研究の本質と相いれない」と反対していた。
 現在はどうか。旧七帝大や都市部の大規模大学では、文部省が挙げる「大学の自主性、多様性が大幅に拡大できる」との法人化の利点に理解が広がり、国大協内部の二分化が始まったといわれる。
 東北でも、旧七帝大の1つで東大、京大に次ぐ額の科学研究費補助を確保してきた東北大と、ほかの6つの大学では、将来像の土台が違うはずだ。しかし、その濃淡は、地域の側からは見えてこない。
 各大学は、教育界をはじめ多くの人材を地元に供給してきた。その伝統は、例えば東北インテリジェントコスモス構想のように、新たな産業基盤育成への協力という形で、厚みを加えてきた。歴史が先細ることはないだろうか。
 法人化どころか、遅くとも10年で国立大は民営化されるという予測もある。授業料がはね上がるのではないか、逆に大幅に値下げする所に受験生が流出するのではないか。そんな心配もある。
 法人化について、地元の大学はどう受け止めているのか。将来の自画像に、各大学は地域とのかかわりをどう描き込もうとしているのか。大学が自ら語り掛けてくることを、地域は待っている。



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