独行法反対首都圏ネットワーク

「国立大学協会会則の解説及び質疑応答」
「国立大学協会のあり方について」
(2000.6.5 [he-forum 981] 国大協会則資料)

独行法反対首都圏ネット事務局です。

国大協の2つの資料を紹介します。(国大協関係の資料はこれで終了)

 1つは、「国立大学協会会則の解説及び質疑応答」ですが、第28条関係だけを抜粋しました。
 2つは、「国立大学協会のあり方について」の全文ですー原文のまる1はカタカナのイ、まる2はロ・・・に変えています。

<若干のコメント>

 首都圏ネット事務局のある方は、この2つの資料を「両方とも当時の国大協の矜恃が示されています。」とした上で「どうも国大協というと60年代の国大協「自主規制路線」のために印象が悪く、長い間無視してきました。しかし、上記の解説等を読むと、国大協の再建と活用の可能性を追求すべきであるという気がします。」と述べています。国大協をどうみるか、どう対処するかは、さまざまな見方があるところですが、事実をきちんと認識することは大事なことだと思いました。

 先に紹介した、「国立大学農学系学部長会議声明」も第28条を活用しました。この第28条に基づく教員の意見が多く国大協に提出されると運動の幅もひろがるのではないでしょうか。
 すでにその運動が始まっています。

<ここから国大協資料>

「国立大学協会会則の解説及び質疑応答」からの第28条関係の抜粋
 昭和39.11.26第33回総会 
 雄川専門委員

1 解説

(第28条関係)
 「意見を述べることができる」としたのは、組織整備方針とは体裁が違うが、その趣旨をまげたものではなく、むしろそれを明確にしたものである。なお、意見陳述を文書に限ったのは国立大学の教員であれば、文書で十分意を尽くすことができるし、正確な形で保存しやすいと考えたからである。また、意見の処理についても規定すべきであるとの意見があったが、どのようなものが出てくるかわからないので規定化しえなかった。意見陳述とその処理状況については、委員長から適当な形で総会に報告されるというようなことになるのでだろう。

2 質疑応答

 第28条によって意見を述べた教員は、それがどう扱われたかについて関心があるものと思う。専門委員の説明では総会に報告されることになるであろうとのことであったが、そうなると学長としては、これを教授会に報告しなければならなくなる。よって、処理を執行機関でされるようにされたい。

 今の段階で処理方法を具体的に決めることは、将来の予測がつかないの現在無理である。常識的に合理的と考えられる方法で処理して行くほかはあるまい。

 
国立大学協会のあり方について
昭和45.10.26
地区理事懇談会
(第47回総会承認)

1、国立大学協会の性格

(1)国立大学協会の目的
 会則第4条は、「協会は、国立大学相互の緊密な連絡と協力をはかることにより、その振興に寄与することを目的とする」と規定している。
 イ このうち、前段の「国立大学相互の緊密な連絡と協力」が最小限度必要なことは、当然といえよう。
 ロ 後段の「その振興に寄与すること」とは国立大学全体としての振興と解すべきであり、国立大学に関する共通の問題についての調査・研究から、共通の要望の実現の努力まで及ぶものと考えてよい。そのための方法として、対外的な意思の表明も含まれる。
 ハ 国立大学協会の性格は、自主性をもった各国立大学の連合体(federation)というべきものであり、国立大学協会の活動もその見地から考えるべきである。

(2)総会における意思の決定・表示
 会則第8条は、「協会がその意思を決定し又は表示する場合は、総会の議によらなければならない。・・・・・・・」と規定し、総会での意思の決定・表示を予定している。
 イ 共通の要望については、従来からも投票の必要はなく、満場一致の形できめてきたし、今後もそれでよいであろう。その例としては、予算・施設に関する要望等、大学の振興に関する事項が考えられる。
 ロ 内容的に意見の相違する事項については各大学の自主性に関することがらも含まれているので、多数決で拘束力をもたせることはできないと考えられる。したがって、意見が対立した場合にも、投票等による議決は原則として行なわないのがよいと思われる。
 ハ 意見の統一は困難ではあるが体外的に意思の表明が必要と思われる場合には、大勢を会長談話の形で表明するのがよいであろう。この場合にも投票等の方法をとることは適当でないと思われるが、内容的に反対はあっても、そのような形で意思を表明することには意見の一致があると見られるのがふつうであろう。また、内容的に意見一致した場合に声明を出すということも従来から行なわれており、今後もことがらによってそういう形式をとることが考えられる。

(3)その他の論点
 イ いくつかの大学グループに共通する問題、例えば、新設大学、単科大学、入試二期校などの問題をどう取りあげるかが、問題となる。これはそのグループだけにとどまらず他の国立大学にも影響を及ぼすことになるので、国立大学協会としては、それぞれのグループの立場を尊重しつつ意見の一致をみるように努力するほかはないであろう。
 ロ 各大学に通じる基準あるいは基本的な考え方をまとめることは、従来からも行なわれてきたし、今後も必要であろう。その場合にも、それに拘束力をもたせることはできず、その採否は各大学が自主的に決めることになる。
 ハ 各大学の自治のほかに国立大学全体としての自治をどう考えるかが問題となる。たとえば、共同利用研究所の将来のあり方、大学運営協議会の運用などについて、検討する必要があろう。
 ニ 全体として、現在は動きの多い時期であるので、はっきりした方針をここで確定するよりも、大体の方向を考えたうえで、さしあたりは個々の問題についてい適宜処理していくのが適当ではないかと思われる。

2.一般教官と国立大学協会との関係

(1)国立大学協会は、各国立大学を会員としており、学長は会員校の代表として会議に出席している。従って、一般教官も国立大学協会に内包されており、その意見のとりまとめは、各大学の代表である学長の責任において行なわれるべきである。

(2) 各大学内で一般教官の関係を緊密にするために、次の方法をとることが望ましい。
 イ 学長は、評議会、教授会等にできるだけ国立大学協会の活動の内容を伝えるとともに、それについての意見をまとめて国立大学協会に伝えるよう努力する。国立大学協会と各大学の間で意見を往復してとりまとめをしていくことが、学内での意見の交換を活発にすることにも役立つことになる。
 ロ 国立大学協会としても、各方面への要望等について、その結果や経過を各大学に伝えるように努力する。

(3)一般教官に教員委員・専門委員を委嘱してその専門的な意見を活用する方針は、従来もとられてきたが、これらの方法による一般教官の国立大学協会への協力は、今後さらに拡大すべきだと考えられる。ことに国立大学協会として、今後の調査・研究にいっそう力を注ぐべきであるとすれば、専門家としての一般教官の協力はますます必要となるであろう。その際に地区別・大学別にできるだけ広く協力を求めるように努力すべきである。

(4)従来からも、教員は文書によって国立大学協会に意見をのべることできるとされており(会則第28条)必要に応じてこれを活用することが望ましい。

(5)一般教官の加わる特別会議(二部会制など)やシンポジウムを開くことについては、反対の意見が強い。
 イ 大学の代表者として学長が出ているのに別に一般教官を一種の代表として出すことは建前としておかしい。またその選び方も問題であり、場合によっては内部で対立が起こるおそれがある。一般教官の意見は、代表者である学長の責任でとりまとめるべきである。
 ロ 二部会制の例として教育大学協会があげられているが、これは教員養成のための特別の目的をもった協会であるから、二部会制による機能分担も可能であろう。これに対して、大学全般の問題にわたる国立大学協会では、専門家としての一般教官の協力を求める以外の方法をとることは、無理であろう。

3 総会の公開

 総会の公開については、反対の意見が強い。その理由としては、次の諸点が考えられよう。

(1)公開の原則がとられるのは、公選制による議会や、個人の権利について裁く裁判所などであって、一般の団体の会議について公開しないのが、むしろふつうである。また、公開の原則のとられる上記のものについては公開の際における秩序維持の方策が制度的にとられており、それのないところで公開をすることは問題がある。

(2)大学においても、教授会、評議会等の会議は公開しない建前が一般的にとられている。その大学の連合体である国立大学協会の総会を公開する理由はとぼしい。

(3)総会での審議経過を明らかにするためには会報への議事要録の掲載、各大学内への情報の伝達等の方法で十分であり、とくに総会を公開する必要はない。

(4)国立大学協会では、常置委員会等で実質的な議論がなされることが多いので、総会を公開しても審議経過を十分に明らかにすることにはならない。常置委員会の審議内容は会報や情報の伝達によって伝えることができる。

4 その他の論点

(1)大学行政のあり方を全体として検討する必要がある。たとえばイギリスのUniversity Granto Committee(大学財政委員会)の制度などは検討に値する。

(2)国公私立の大学の間で連帯性をもつことが必要であろう。

(3)国立大学協会は公費による会費で賄われているが、自分自身の組織として十分な自主性をもって盛り立てていくだけの熱意がほしい。

(4) 積極的に調査・研究・意見のとりまとめなどの仕事をして国立大学協会を全員で活用していくことが必要である。



目次に戻る

東職ホームページに戻る