独行法反対首都圏ネットワーク

大分大学教職員組合申し入れと大分大・医科大統合問題
(2000.6.2 [he-forum 970] 大分大学教職員組合申し入れと分大・医科大統合問題)

 大分大学教職員組合は5月22日、国立大学学長会議で、独法化反対の姿勢を堅持するよう学長へ申し入れを行いました。当局からは学長・事務局長ら五人が対応しました。申し入れに対して学長は、「主旨は承りました」とし、会議での情報の公開を含め学内での論議は十分に行うと回答しました。
 これに対して執行部は、昨年九月独法化方針が提起された学長会議においては質疑時間が設けられず、その後も文部省による意見集約はなされていないこと、また、国大協でも、昨年末には第一常置アンケート「独法化にあたってどうしても譲れない事項」が取り組まれたものの、いまだに集約が取り組まれていないことを挙げ、何らの意見表明もせずに独法化やむなしとはできないことを強調しました。
 なお、[he-forum 926] でも紹介されていますが、5月23日付け朝日新聞西部本社版朝刊などで、「国立大・医科大 大分・宮崎など統合検討」と報道されました。大分大学では5月末の各学部教授会と評議会で、「検討」を開始することが了承され、全学レベルの検討委員会が立ち上がりました。医科大では4月より検討のための委員会が立ち上げられているようです。当面組合としては、学内での全構成員による民主的論議と共に、地域とも関わり、国立大学の存在意義を強調していきたいと考えています。
 以下に、学長あて申入書を掲載します。

大分大学長 野村 新 殿

申入書    
二〇〇〇年五月二二日     

大分大学教職員組合      
執行委員長 大嶋 誠     

 自由民主党文教部会・文教制度調査会は、同党行政改革推進本部の意向をふまえ、五月九日、「提言 これからの国立大学の在り方について」を発表しました。マスコミ報道によれば、文部省は、この「提言」を踏まえた独法化方針を、五月二六日の国立大学学長会議で提示し、二〇〇二年度には独立行政法人通則法に対する「調整法」というかたちで法改正を行い、二〇〇三年度に国立大学の独法化を実施する、と伝えられています。
 文部省が法案の土台としようとしている「提言」には、以下のような問題点があると考えられます。
第一に、「提言」は、独法化が「適切な方法である」と、通則法にもとづく独法化を基本的前提として是認しています。そればかりでなく、「国は、基礎研究の重視、大学院の重点化など、国策としての学術研究や高等教育の在り方を踏まえ、各大学の運営や組織編成に相当の関わりを持つ必要がある」と従来以上に高等教育の運営・組織への国の関与を強調しています。これは、通則法による独法化の問題点とされた、大学自治への国・文部省による介入をいっそう強めたものとなっています。
 特に学長選考については、「必ずしも適任者が学長に選ばれないような状況は、速やかに改善されるべきである」などと一方的に断定した上で、学外者が参加すれば適格者が選出できるかのような無責任な主張を展開し、大学の自治を否定しています。
 第二に、高等教育に対する公的支出の拡充については、「競争的経費の拡充と基盤的経費の確保」という矛盾した表現を羅列するだけで、財源などについての具体的な言及を欠いています。
 第三に、本学のような地方国立大学については、「役割を十分評価し、その維持強化を図るべきである」としながらも、整理・淘汰=再編統合が新たに提案されています。これは「様々なタイプの国立大学の併存」という表現の下に、現在すでにある大学間格差、地域間格差を当然視し、さらには一層拡大させるものです。
 以上のように、今回の提言はまさしく、従来から批判されてきた通則法の下での独立行政法人化をさらに一層、推し進めようとするものです。通則法下の独法化に対して、本組合は学長交渉(二〇〇〇年二月十八日)と三回の申し入れ(一九九九年九月十四日、九月二九日、十二月七日)で、独立行政法人化に反対の立場を堅持するよう、要請を行い、その際学長も「国大協の方針通り反対の立場である」としていました。国立大学学長会議で提起される文部省の独法化方針が、さきの自民党「提言」を土台とするものならば、国大協もとうてい容認できないはずです。
 貴職がこの学長会議に出席するに当たり、私たち大分大学教職員組合は、改めて以下の項目について申し入れます。

一、通則法のもとでの独立行政法人化に対するこれまでの反対の姿勢を堅持し、予定されている国立大学学長会議および国大協総会においても、反対の立場を表明すること
二、当該会議における文部省の方針ばかりでなく、各大学からの質問・意見などの情報を全学の教職員に速やかに開示し、これについて学内諸機関での十分な審議を尽くすこと



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