独行法反対首都圏ネットワーク

臨時国大協総会の開催を求めて
(2000.6.18 [he-forum 1037] 臨時国大協総会の開催を求めて)

 北大の辻下です。

 豊島氏の指摘は重要だと思います。

 国立大学協会総会の結論を見て、第一ラウンドはもう終わってしまった、間もなく始まる第二ラウンドに期すしかない、と一旦は考えたのですが誤判断でした。第一ラウンドは終わっていないし、第二ラウンドに期すというのは自他を欺く空想に過ぎないと思うようになりました。

 第一ラウンドが終わっていないのは自明なことでした。会則を見れば、国立大学協会の会員は国立大学であり、学長は単に各国立大学の代表として総会に出席しているだけです。したがって、今回の国立大学協会総会合意は、各学長が学内でほとんど何も議論せずに総会に臨んでいた以上、「批准」によって、すなわち、各国立大学に持ち帰って承認を得て、初めて正式の効力を持つ性格のものです。

 北大を例にとって言えば、このMLでも投稿がありましたように、6月7日の予算評議会の終わりに報告事項の中で、学長が5/26国立大学長会議の件を報告し、調査検討会議への参加の是非を13/14日国立大学協会総会で議論してよいか、と評議員の意見を聞いただけで正式な議題として議論されたわけではないし、評議会としての何らかの合意があったわけでもありません。

 国立大学協会総会の合意は手続き上で完結していない以上、第一ラウンドは終わっていなかったのです。各大学では早急に学長に国立大学協会での議論の詳しい内容の開示を求め、「批准作業」を学長に要求することが必要です。それをしなければ大学として、代表の学長の選択を事後承認したことになり兼ねません。

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 豊島氏が指摘したように、「外交ルール」によれば調査検討会議に参加することが会議の結論に国立大学全体が従うという合意を含んでいる点に、誰も国立大学協会総会で気づかなかったとすれば大問題です。国立大学が最終的に(具体化した)独立行政法人化案の是非を議論を尽くして決断をする時点が明確にあることを保障することが重要です。

 何度も言ってきましたが、何の拘束の下にもない自由人の10万余の小さな組織が、何となく成り行きで自分達と次世代の自由を奪うことを意味する組織変革を甘受してしまった、という経緯を辿るとすれば、日本社会の行く末に極めて不吉な影響を与えずにはおかないと感じます。それだけでなく、公立大学の独立行政法人化も検討が始まりましたし、私立大学も助成金の条件として独立行政法人的設置形態を勧めるという話しも有馬氏が朝日新聞でしています。また、教育改革国民会議は小中高全体を独立行政法人化するという案も検討しています。国立大学の決断は、それらすべての動きを左右する責任が伴っています。

 しかし、外交ルールを承知の上で調査検討会議への参加を合意したのであれば、調査検討会議での不明瞭な発言権と引き換えに、最終的な法人化案を国立大学として受け入れるか否かを自分自身で判断する責任を回避したことになります。このようなシナリオを用意してしまったことは、国立大学構成員全体への背信行為です。それだけでなく、数年後にその事情が国民全体に知れ渡ったとき、これまで例外的な教員の不見識で減少しつつあった国立大学の信用が、総体として決定的に傷つけられるのではないか、と危惧します。

 確信犯でない(と願っていますが)とすれば、それを明確にするためにも、国立大学協会は「協会が法人化宣言した」という東京新聞6/15報道にある「実質的法人化宣言」という解釈が間違っていることを東京新聞に公式に伝えるとともに、国立大学協会長は、国立大学協会の真意を明確にする記者会見をして、マスコミ報道にある諸解釈を正すべきです。

 そして、外交的ルールを踏まえて、調査検討会議にはオブザーバとして参加することに修正し、豊島氏が示唆するように、国立大学協会自身の「設置形態検討特別委員会」は、調査検討会議の最終案に対置すべき独自の法案を(高等教育基本法などと共に)作成し、それを国会に(しかるべき議員を通して)提出するべきです。その過程をリアルタイムに広く公開し意見を募ることで、国民的議論を惹起することが可能になるでしょう。

 「九仞の功を一簣に虧く」という事態にならぬよう気を抜かずに、各大学で、学長に、大学の意思確認の明確な手続きを取るように要求していきましょう。そして、調査検討会議へはオブザーバとしての参加に留めるよう修正する臨時総会開催を請求するように求めましょう。「会則第11条:2 会員総数の8分の1以上の大学から、議題を示して要求があったときは、会長は、臨時総会を招集しなければならない。」より、13大学から開催要求があれば臨時総会が開かれます。

 それと同時に、大学の本性についての学外の理解を深めるために、あらゆる手段で発信することに力を入れなければなりません。また、4月から始まった運営体制の中央集権化と「大学分」予算の配分を監視するシステムを急いで作らないと大変なことになります、「大学分予算」の配分法については、様々な馬鹿げた案の噂を聞きます。

 色々な模索が必要で、学生・事務・卒業生などを加えた「第二評議会」のようなものを全学で作り、定期的に開催して評議会と相互作用を持つようにする、などの案もあります。今までのように学長や幹部に面倒な仕事を押しつけて自分は研究と教育に没頭していればよいというスタイルは自殺行為である時代になったことをすべての教員は自覚して欲しいと思います。



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