独行法反対首都圏ネットワーク

しんぶん赤旗、5/27付報道、解説
(2000.5.27 [he-forum 943] しんぶん赤旗05/27)

『しんぶん赤旗』2000年5月27日付

独立行政法人化に着手を
国立大学長会議 文相が説明

文部省は二十六日、東京都内で、国立大学の学長や事務局長、大学共同利用機関長を集めた会議を開催。国立大学の独立行政法人化についての文部省としての現時点での考え方と方針を説明しました。
説明にたった中曽根弘文文相は、独立行政法人制度について「大学改革の方策」「行政改革に資するもの」として検討してきたが、この制度は「国立大学についても十分適合する」と断じ、国立大学を独立行政法人化する方向で具体的な検討に速やかに着手することを表明しました。
独立行政法人化が大学の自主性、自律性をそこねるという批判にたいしては、これまでの国と国立大学の関係が維持されるべきだとして、昨年成立した「通則法」との間で「一定の調整を図る」としています。
「調整」の具体的内容については先送りし、文相が開く「今後の国立大学等の在り方に関する懇談会」の下に「調査検討会議」を開催し、二〇〇一年度中に「独立行政法人化後の大学の在り方について、最終的な結論を得たい」とのべ協力を求めました。

国立大法人化
国大協会長が"検討"を表明

国立大学協会(国大協)の蓮実重彦会長は、二十六日の国立大学長会議をうけて記者会見し、「通則法をそのまま国立大学に適用することは、ひきつづき反対する。文相説明には、調整法で法人化し国立大学法人とすること、高等教育予算を高めることなど、昨年九月七日に国大協第一常置委員会のまとめた方向がもりこまれている」と表明しました。
また文相が示した「調査検討会議」への参加について、「国大協が文部省と同じテーブルにつくかどうかは、総会を待って決める」としつつ、「私個人としては、高等教育を国全体の視点で政策的に考える場を設けてもらい、いわば学術・文化基本計画のようなものを確立することをのぞみたい」とのべました。

解説
大学と相いれない独法化

文部省は昨年九月、国立大学の独立行政法人化の検討にふみだし、大学関係者からの厳しい批判をうけました。
二十六日に開催した国立大学長・共同利用機関長会議での文部大臣説明は、国立大学のはたしている役割を認めながらも、来年度概算要求の編成を前に、「独立行政法人制度は国立大学にも十分適合する」と結論づけたものです。しかし、その理由づけはあいまいであり、批判にこたえていないものです。
説明では、法人運営費の弾力的執行や、組織編成・教職員配置の学内手続き化などをあげて「大学の自主性を大幅に拡大する」といいますが、この制度が「行政組織の減量化、効率化」を目的に導入され、教育研究費や教職員数の削減に道をひらくという最大の問題点について、説明を避けました。
また、独立行政法人は「大臣の各法人に対する監督、関与を限定し」ているといいますが、この関与そのものが、憲法の保障する「学問の自由」をそこなう危険をもっています。
文部省は、通則法との間の調整をはかる法令面などの検討を、各界の有識者も参加してすすめ、二〇〇一年度中に結論を出す意向ですが、もともと独立行政法人は大学とは相いれない制度であり、「自主性、自立性を実質的に拡大」することができるのか問題になるとみられます。



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