独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学37学長「国立大学の法人化に対する意見表明」(5/21)
(2000.5.26 [he-forum 927] 5/21学長研修会)

国立大学の法人化に対する意見表明 平成12年5月21日

(今後の国立大学等の在り方に関する懇談会)殿

 国立大学学長研修会参加者37名

 国立大学の設置形態を法人に移行することに関しましては、(国立大学等の在り方に関する懇談会)に意見を求める旨の文部省の方針が示されております。
 この問題につきまして、私ども主に地方都市に位置する国立大学の学長は研修会を続けてきましたが、現在、国立大学の法人化に関する明確で具体的な制度設計が示されないままに、まず移行自体が決定されようとしております事態に対しましては、不安と危惧の念を抱くとともに深く憂慮している次第であります。
 戦後50年わが国の特に地方には種々の課題が山積し、地方の国立大学はそれらの解決の一助を担ってきました。このような課題は少子化現象に伴って第二の過疎化が起こりつつある現状ではむしろ倍加しております。今後地方分権が進むものと考えられますが、そのような状況のなかで地方の国立大学の果たす役割は従来に増して重要なものになるものと考えられます。
 一方、地方の国立大学は、一般に、本社機能をもつ大企業が少なく研究補助金等を得にくい状況のなかで、また県民所得の低い地方では大学運営費は国費に頼らざるをえない状況のなかで、教育・研究はもとより地域に対する貢献においても一定の効果を挙げてきました。たとえ法人化されたとしてもこのような状況が一変するとは考えられません。
 国立大学の制度設計は、中央の論理ばかりではなく、地方の育成をも充分に視野に入れて行うべきで、その点において現状よりも後退する可能性のある設定については再考すべきであると考えます。
 以上のような観点から私どもは、地方の国立大学が次に掲げますようなその役割を充分に果たすことのできる制度設計をすべきであると考え、ここに意見を表明いたします。

 (1)国土の均衡ある発展を計るためには、地方の国立大学の役割の維持強化が必要である。
 (2)各地方の独特な歴史・文化・経済・産業等と結びついたユニークな教育・研究の発展が必要である。
 (3)戦後50年培ってきた地域社会との提携やそれへの貢献を、法人化の結果大学同士が悪しき競争原理に翻弄されることによって、後退させるべきではない。



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