独行法反対首都圏ネットワーク

愛知教育大職組の大会決議および学長への申し入れ
(2000.5.25 [he-forum 922] 愛教大職組の大会決議および学長への申し入れ)

 愛知教育大学教職員組合は、5月22日開催の組合定期大会において、「自民党「提言」による「国立大学っ独法化」に反対する決議、およびこれに基づく「学長への申し入れ」を決議しました。また、24日、学長と会い、決議・申し入れの趣旨に沿っていただくよう要請しました。学長への申し入れは要請の3項目以外は重複していますが、その内容を添付します。

 愛知教育大学
 松田 正久

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自民党「提言」による「国立大学独法化」に反対する決議

 5月9日、自民党文教部会・文教制度調査会は、自民党行革推進本部幹部会の了承のもとに「提言 これからの国立大学のあり方について」を発表し、これは自民党政調審議会においても了承されています。この動きを受けて文部省は国大協会長経験者等で構成する文相の私的懇談会にこの提案についての意見を求め、「異論はなかった」として、26日には国立大学長、大学共同利用機関長を集め、法人化の具体的な制度づくりに着手することを伝え、6月13-14日の国大協総会で「回答」を求め、その後、大学関係者、経済人らによる専門家会議をつくり、来年度までに大学法人の財政制度など詳細を詰め、2002年度に法改正を行う予定、とされています。

 昨年来、多くの大学や関係団体が独立行政法人化にたいして反対や危惧の念を表明しているにもかかわらず、独法化への動きが急速に展開しようとしている事に対し、本組合は以下の諸点において強い危惧の念を表明せざるを得ません。第一に「通則法」の基本的枠組みを踏まえて、一部「調整法」による見直しを述べていることからも明らかなように、「通則法に基づく独法化」が進められようとしている点です。第二に「競争的環境」のなかでの大学の種別化・個性化・多様化の必要性を強調する中で、「主として国費で支えられる国立大学は、(中略)大学院に重点」と一部の大学重視の方向を示し大学間格差を大幅に拡大させる点です。一方、「提言」は、「国立大学間の再編統合」を「国の責任において、推進す」ることを謳っており、本学のような単科大学を中心に国立大学の廃止にもつながりかねないものです。第三に、大学関係者以外も参画する「大学評価・学位授与機構」の「評価の尊重」により、「目的大学」に対して、「広く学術を伝授する大学」の教育研究という観点からではなく、「目的大学」の機能のみからの評価が行われ、教員の市民的資質の重視という国民の期待に反することになります。第四に、「教授会運営の見直し」や「学長選挙の見直し」等における提言が、「大学の自治・学問の自由」を侵害するものであることです。第五に、「任期制の積極的な導入」に見られるように、劣悪な教育・研究条件を放置したままで、「競争的環境」のもとに大学教員を置くことが、「世界最高水準の教育研究」の達成につながるのか、きわめて疑わしいことです。あわせて、教職員の身分についてもまったく言及していません。

 私たちは、昨年来本学教員の8割を超える「国立大学の独立行政法人化に反対する愛知教育大学教員の声明」や「国立大学の独立行政法人化に対する愛知教育大学教授会の見解」を通して、独法化は(1)国立大学になじまないこと、(2)教育の機会均等の権利を奪うこと、(3)大学の自治・学問の自由が制限されること、(4)教育研究条件の一層の悪化を招くこと の危険性を訴えてきました。

 今回の自民党「提言」は、我々の危惧をなんら解消するものではなく、私たちが指摘してきた問題点を解決するものでは決してありません。私たちは、国立大学で教育研究に携わるものとして、人類の普遍的価値である「学問の自由」や「教育を受ける権利」の拡充に向けての大学の創造的改革への一層の努力を表明するとともに、自民党提言に基づく独法化に対して、強く反対の意思を表明します。

 以上決議します。

2000年5月22日
愛知教育大学教職員組合春季定期大会

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2000年5月22日

愛知教育大学長
仲井 豊 殿

愛知教育大学教職員組合
執行委員長 松田 正久

 5月9日、自民党文教部会・文教制度調査会は、自民党行革推進本部幹部会の了承のもとに「提言 これからの国立大学のあり方について」を発表し、これは自民党政調審議会においても了承されています。この動きを受けて文部省は国大協会長経験者等で構成する文相の私的懇談会にこの提案についての意見を求め、「異論はなかった」として、26日には国立大学長、大学共同利用機関長を集め、法人化の具体的な制度づくりに着手することを伝え、6月13-14日の国大協総会で「回答」を求め、その後、大学関係者、経済人らによる専門家会議をつくり、来年度までに大学法人の財政制度など詳細を詰め、2002年度に法改正を行う予定、とされています。

 昨年来、多くの大学や関係団体が独立行政法人化にたいして反対や危惧の念を表明しているにもかかわらず、独法化への動きが急速に展開しようとしている事に対し、本組合は以下の諸点において強い危惧の念を表明せざるを得ません。第一に「通則法」の基本的枠組みを踏まえて、一部「調整法」による見直しを述べていることからも明らかなように、「通則法に基づく独法化」が進められようとしている点です。第二に「競争的環境」のなかでの大学の種別化・個性化・多様化の必要性を強調する中で、「主として国費で支えられる国立大学は、(中略)大学院に重点」と一部の大学重視の方向を示し大学間格差を大幅に拡大させる点です。一方、「提言」は、「国立大学間の再編統合」を「国の責任において、推進す」ることを謳っており、本学のような単科大学を中心に国立大学の廃止にもつながりかねないものです。第三に、大学関係者以外も参画する「大学評価・学位授与機構」の「評価の尊重」により、「目的大学」に対して、「広く学術を伝授する大学」の教育研究という観点からではなく、「目的大学」の機能のみからの評価が行われ、教員の市民的資質の重視という国民の期待に反することになります。第四に、「教授会運営の見直し」や「学長選挙の見直し」等における提言が、「大学の自治・学問の自由」を侵害するものであることです。第五に、「任期制の積極的な導入」に見られるように、劣悪な教育・研究条件を放置したままで、「競争的環境」のもとに大学教員を置くことが、「世界最高水準の教育研究」の達成につながるのか、きわめて疑わしいことです。あわせて、教職員の身分についてもまったく言及していません。

 私たちは、昨年来本学教員の8割を超える「国立大学の独立行政法人化に反対する愛知教育大学教員の声明」や「国立大学の独立行政法人化に対する愛知教育大学教授会の見解」を通して、独法化は(1)国立大学になじまないこと、(2)教育の機会均等の権利を奪うこと、(3)大学の自治・学問の自由が制限されること、(4)教育研究条件の一層の悪化を招くこと の危険性を指摘し、広く国民に訴えるとともに、貴職に対して、教授会見解を深く受け止め、あらゆる機会に批判的姿勢を広く学内外に訴えられるよう要望してきました。今回の自民党「提言」は、上に述べたように多くの問題点を含んでおり、私たちが指摘してきた問題点を解決するものでは決してありません。

 貴職が、5月26日開催の文部省主催の国立大学学長会議および6月13-14日開催の国大協総会に出席するにあたり、以下の3項目の申し入れをすることを春季組合大会で決議いたしました。

1. 学長会議において、独立行政法人化反対の意志を明確にされ、その立場から積極的に対応すること。また拙速に結論を急がないよう文部省に要望すること。また、会議における文部省の説明・各大学長からの意見や質問など会議の状況について5月教授会もしくは臨時教員集会を学長主催で開くなどして、配布資料を含め速やかに全学に報告すること

2. 国大協総会において、拙速に国大協が文部省案受け入れなどの結論を出さないよう努力すること、また各大学において構成員の意見が十分反映されるよう、十分な討議期間を保障するよう国大協に働きかけること、また本総会の状況についても速やかに報告すること

3. 愛知教育大学としての方針を出すに当たっては、全学的討議の場・時間を十分に保証すること、そのための情報はすべて教授会員をはじめ構成員に開示すること

以上

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