独行法反対首都圏ネットワーク

北海道教育大教職組連絡協議会の北教大学長への要望書
(2000.5.24 [he-forum 917] 北教大教職組連協の学長への要望書)

 北海道教育大学札幌教職員組合の書記長・大内です。

 北海道教育大学の5分校の各教職員組合(北海道教育大学札幌教職員組合、北海道教育大学函館教職員組合、北海道教育大学旭川教職員組合、北海道教育大学釧路教職員組合、北海道教育大学岩見沢教職員組合)の連絡協議体である北海道教育大学教職員組合連絡協議会は、5月9日の自民党文教部会・文教制度調査会による提言に関り、5月26日予定の国立大学学長会議などにあたって、一昨日(5月22日)に北海道教育大学・村山紀昭学長に要望書を提出し要望しました。
 以下は、その全文です。

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2000年5月22日

北海道教育大学長
村山 紀昭  殿

北海道教育大学教職員組合連絡協議会
議長 水野 政勝

独立行政法人通則法に立脚する大学の法人化には、どのような形であれ反対の立場を(要望書)

 貴職におかれましては、日頃の大学運営と最近の大学をめぐる諸問題へのご対処にまことにご苦労様に存じ申し上げます。
 さて、「国立大学の独立行政法人化」(以下、独法化と略)問題に関しましては、貴職には反対の立場を堅持され、機会あるごとに関係方面で働きかけられるよう、これまで要望しているところです。
 ご承知のごとく、去る5月9日、自民党の文教部会・文教制度調査会から『提言 これからの国立大学の在り方について』(以下、自民党提言と略)が出されました。この提言は、3月30日に出された同高等教育研究グループ(麻生委員長)の提言(以下麻生提言と略)に同党および行革推進本部の意見により修正が加えられたものと言われ、3つの方針、つまり、「国際的競争力」、「大学の個性化・多様化」、「教育機能の強化」を進めるとしていますが、当協議会において、これまでの独法化問題の経緯からこの提言を分析すると以下の問題点があることが明らかであります。

 第1に、麻生提言では「通則法をそのままの形で適用することは、国立大学の特性から適切でなく」、通則法をベースとするものの「国立大学法人法」といった特例法の措置に言及したにも拘らず、今度の自民党提言では「通則法の基本的な枠組みをふまえつつ」、「調整法」(または特例法)を設けるとしながら、中期目標・計画の設定、その達成度の第三者評価機関による評価、それに基づく(統廃合も含む)予算配分等の措置をこれまで以上に明確にしており、通則法を基本原則とすることに変わりはないことです。
 第2に、「国立大学の組織編成の見直し」として、学長人事では「慣例」の全学による選挙は適格な学長人事を妨げるとして、学外の第三者や「『タックス・ペイヤー』たるもの」を含む「推薦委員会」の創設を提唱し、また、「教授会の運営の見直し」では教授会、評議会、大学運営諮問会議、学長の役割分担を理由に、これらのベースであるはずの教授会を実務的役割に限定する意図が見え、これらは大学の教育研究の自由の根幹でもある大学自治の精神に反し、引いては憲法第23条(学問の自由)にも触れかねない内容を含んでいることです。
 第3に、麻生提言でも触れた高等教育予算の不備と拡充の必要性に言及しているものの、その予算を具体的に捻出する裏付けは依然としてなく、むしろ行財政改革の目的に沿うよう、そのため競争的原理により予算の重点的配分(大学院大学の重点策強化など)により国際競争や産業の発展に資する「高度職業人養成」を進め、このため大学の統廃合を含む再編成を「国の責任において」進める、としており、このことはとくに教育系大学の特性からは相容れなく、予算上の影響も考えるとき、これまでの「独立行政法人化」問題以上に危惧されることです。

 全大教(全国大学高専教職員組合)や新聞報道によりますと、文部省ではこの自民党提言を踏まえ、5月26日に国立大学長等会議を招集し、文部省の国立大学の法人化の方針を示すとのことです。さらに6月13・14日に予定の国大協定期総会では、この方針の回答を求められると言われます。つきましては、貴職におかれましては以上の状況に鑑み、次の3点につき是非とも実現されますよう要望いたします。

1.5月26日に予定される国立大学長等会議においては、通則法ベースによる国立大学の法人化には、いかなる形態であれ国大協のこれまでの立場から反対すべきものであり、文部省から 新たな方針が示され、これが自民党提案に沿うものであれば、なおのこと問題点を指摘の上強く反対され、拙速な方針には会議の総意で反対の結論を得ること。

2.上記の会議で示されるとみられる文部省の方針が、自民党案に沿うものであれば、この会議または来たる国大協定期総会において、見解または内外へのアピールとしてまとまるよう働きかけること。また、この場合、本学としての見解ないしアピールをまとめることも検討すること。

3.上記の会議における文部省の説明・方針、また各学長からの質問・意見、質疑応答、配付資料などの情報を全学の教職員に速やかに公開・提供すること。

以上



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